撃てば入る(VSカマタマーレ讃岐 感想)

2016年05月24日

 「撃てば入る!」かつてこう豪語した男がいた。あの日、昇格を決めた喜びそのままに道内TV各局を行脚した札幌イレブン。昇格を決定付ける2ゴールを決めた背番号13番は、初めてのビール掛けに目元がトロンとなりながらも言い切った。「撃てば入る」と。その男の名は内村圭宏。6戦4発。エースの帰還だ。
 過去4戦未勝利だった「鬼門」讃岐戦。試合立ち上がり早々、高木和正のFKからゴール前フリーになったエブソンに狙い澄ましたクロスが上がる。これはエブソンが上手くミートし切れず枠を大きく外れたものの、あわやというシーンを作られてしまった。ファーサイドでエブソンをマークしていた宮澤裕樹が、外に流れてきた永田亮太に釣られてしまい、スルッと抜け出したエブソンにボールが渡ってしまった。昨シーズンはセットプレイからの失点が多かったので、今後も「兜の緒を締めよ」ではないが、しっかりと反省すべき点は反省してもらいたい。
 なぜこのシーンを細かく上げて反省を促したか。開始3分という一番集中していなければならない時間という点もあるが、…この場面以外特に危ない所がなかったからだ。確かに後半は風下に立ち、サイドを抉られゴール前の混戦からシュートを撃たれるシーンもあった。とはいえ讃岐の枠内シュートは試合を通して1本のみ。「J1はこんなもんじゃなく一瞬の隙が命取りになる!相手に助けられた。今回も運良く勝てただけ。」このような意見も勿論あってしかるべきだ。
 だが、先取点はコンサドーレに入った。綿密なスカウティングを活かし、それをプレーとして実現して得たゴールという結果。これはチームの成長以外何物でもない。飛行機を乗り継ぎ、気温28℃湿度40%というアウェイの地。このタフなコンディションの中、ジュリーニョの創造性溢れるパスワークを活かしワンタッチでボールを繋いでいく。宮澤のワンツーや都倉賢の反転からシュートは精度こそ欠いたが、ゴールの匂いを感じさせる見ごたえのある崩しだった。そして産まれた内村のゴール。これはどうすることも出来ない、非の打ち所のないゴール。讃岐GK清水健太は不運だったとしか言いようがない。
 「後半はボールを動かしながら無理はしない、しかし2点目を取りに行こうと入った。」と四方田修平監督は安全運転に終始した。小野伸二やヘイスといった攻撃的な選手を投入したが、より攻撃的にいくのならば交代の順番は逆だっただろう。分かりやすいメッセージはヘイスという「ストライカー」を投入した上で、小野伸二という「プレーメイカー」を中心に「攻撃のギアを上げる」。ただ、ヘイスのプレス技術に関して不安が残るため、バランスを意識した上で小野の投入を先にしたのだろう。あくまでも素人考えなので、当たるも八卦なところで聞き流していただいてかまわない。
 「竜二さんが入って引っ張ってくれたので、移動の疲れがある中、踏ん張れた。」とは3バックの中心となり獅子奮迅の活躍をしている増川隆洋の弁だ。後半34分、堀米悠斗に替え河合竜二が投入されたことでチームの意思は統一された。前節とは違う「この試合勝つぞ」という強烈なメッセージだった。アディショナルタイムを含めた残り15分。足を止めることなく「最後はよく体を張って頑張ってくれた。」
 9年ぶりの5連勝。すべて1-0での勝利だ。宮澤キャプテンはこの連勝に手ごたえを感じており、「勝ち癖がついている。しっかり点を決めきって守り抜ける。攻守の切り替えもよく、球際も100%の力で戦えているので負ける気がしない」と口も滑らかだ。追加点が取れないのが課題と見えるが、試合の主導権を奪い完封勝利を続けていることは素直に評価するべきだろう。1試合少ないながらも2位ファジアーノ岡山に勝ち点4差をつけての首位に立っているのだ。先はまだまだ長い。油断はできないが、更なる成長を遂げたコンサドーレの姿を楽しみに今シーズン共に走って行きたい。


post by kitajin26

07:03

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