最奪首!(水戸ホーリーホック戦 感想)

2016年05月18日

 まさに会心の勝利だろう。試合後の四方田修平監督の口は滑らかだった。「勢いのあるチームとの対戦でハードな戦いになると予想していた。前がかりに来る相手を凌ぎ、前半から怖がることなくチャンスを作ることが出来た。後半も押し込み続けこう対戦選手もいい働きをした。」このようにゲームプラン通りに試合を進めることができたことに満足げだった。その上で、「これまでの1-0とは違う成長を感じた。」と手ごたえも口にしていた。
 これまでとは違う「成長」とはどの部分に見ることが出来たのだろうか?ヒントになると思われるのは次の質問、「4連勝を監督はどのように捉えているのか?」これに対し四方田監督は、「それぞれ内容が違うので一概に言えないが、チームで一丸となって高い守備意識を保ち、気持ちのところでも一つにまとまっていることが結果として顕れたのだと思う。」と答えている。各選手がコメントの中で「ハードワークする」という意気込みを述べているので、前節からの成長という点には当たらないだろう。ではどこが・・・。おそらく「気持ちのところ」。精神論に近くはなってしまうが、ここで内村圭宏の決勝点をアシストした堀米悠斗の試合後コメントを引用しよう。「伸二さんが入って、ちゃんと勝つんだというのが伝わってきてスイッチが入った。」
 意図のない選手交代はない。ピッチに残る10名はこの意図を読み取り、プレーとして具現化しなければならない。ハーフタイムのミーティングでベンチからの指示は無論あっただろう。だが、アウェイの地。無理に攻めにいった結果失うかもしれない勝ち点1。他チームの勝敗によってはプレーオフ圏争いの泥沼に片足を突っ込みかねない状況。着実に勝ち点を積み上げるという選択肢を選ぶ選手も出てくるだろう。この迷ってしまう時間帯。この流れを内村圭宏、小野伸二という交代策を用い、チームの意思統一を図った。送ったメッセージは唯一つ、「この試合勝ちに行く」。
 内村の投入だけでは、この意図は伝わり切らなかっただろう。疲れた水戸DFラインの裏を取り、ラインを押し下げる。勝ち点を確保するという目的しか伝わらなかったと思われる。そこでボランチ深井一希に替えて、小野伸二を投入する。これで四方田監督のメッセージは明確になり、内村がDFラインを押し込んで生まれたスペースを小野が活用しタメを作ることで攻撃の起点となった。その結果生まれた決勝点。監督の意図を読み取り、守りきるだけではなく泣き所となっていた後半での得点を奪い再び首位に立って見せた。これが成長の証だ。
 殊勲の内村は言う。「去年はいい流れからでも、いきなり失速した。」勝って兜の緒を締めよ。油断は禁物である。腰に不安を抱える彼がジョーカーとして機能している現状は、故障離脱のリスクを減らすという面から考えるならば、ある程度満足のいくものとなっている。だが、やはり内村は90分プレーすることで進化を発揮する選手だと思う。コンサドーレの真の泣き所。後半の得点不足、追加点不足は先発メンバーにおける内村の穴を埋める存在の有無。これに尽きるのではないだろうか。この試合は前節から4人変更して臨み、4連勝という最高の結果を残すことが出来た。誰が出ても同じチームパフォーマンスを発揮する。今年のコンサドーレは層の厚い良いチームになりつつある。そのなかで誰がゴールゲッターとして台頭してくるのか。その切磋拓馬、もとい琢磨こそがJ1昇格への原動力になる。私はそう信じている。


post by kitajin26

06:47

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