2粘勝(徳島ヴォルティス戦 感想)

2016年05月01日

 まさに粘りがちだ。8:7、これはコンサドーレと徳島のシュート数比較だ。事前の予想通り中盤におけるボールの奪い合いとなったこの試合。前半20分に生まれた内村圭宏の「らしい」ゴールで先制し、主導権を持ったままいい形で前半を終えることが出来た。「相手の裏を意識することで、背後を取れていたところと、相手が下がったときにボールを動かしてサイドから崩すというところに関しては非常に良い形が作れていたと思いますし、そこから得点が生まれたのも大きかったと思います。」と四方田修平監督もゲームプランどおりに進めたことに関して手ごたえを持っていた。
 しかし後半徐々に押し込まれる場面が増えていく。徳島のキーマンとなったのが藤原 広太朗と交代で入ったキムキョンジュンだ。前節まで出場2試合、プレー時間も7分・5分と決して多くない。そんな彼が今まで機能不全を起こしていた徳島オフェンスを牽引していく。スペースへ抜ける動きを繰り返し、対応するコンサドーレDF陣のスタミナをボディーブローのように削っていく。「思っていた以上に相手が攻撃的に、前からボールを奪いにきたり、攻撃の場面でも工夫しながらボールを動かしてきて、予想した以上にお互いが攻め合うような展開になったと思います。」「後半はある程度守備のところをしっかりやって、自分たちから奪いに行くということをやりながら追加点を狙っていこうと話して入ったのですが、途中から少し消耗が激しくなり、攻める時間が少なくなって押し込まれてしまいました。」と四方田監督も反省を口にした。消耗という点を目に見える形で示したのが後半32分の福森晃斗の途中交代だ。セットプレーのキーマンは無念、足の痙攣でゲームを後にした。ここで四方田監督は櫛引一紀を投入し、1点を守りきるという選択を取った。荒野拓馬、上原慎也と追加点を狙う交代策を取っていたものの、本調子でない荒野が徳島ディフェンスを押し込むことが出来ず守勢に回る一因となってしまった。言い方は悪いが怪我の功名とも言えるタイミングでの交代となった。後半シュート1本と追加点が取れなかったことは反省材料であるが、しっかりと勝ち点3を奪った。この勝利はチームの成長の証と捉える事が出来るだろう。
 「強きを挫き、弱きを助く」。近年のコンサドーレはこう揶揄されるような試合結果が多かった。特に下部リーグからの昇格組に弱かった。初顔合わせとなると、J2の戦いに慣れていない彼らに一息吐かせ自信を与えてしまう体たらくであった。また、ここで勝てば昇格圏であるとか首位浮上を賭けてといった試合にも弱く、勝負弱さも散見されていた。選手たちも自覚があるらしく、徳島戦の前には「この試合に勝たなければ前節セレッソ大阪に勝った意味がなくなってしまう」とモチベーション高く試合に臨んでいたようだ。その試合を勝ち切り、コンサドーレは自動昇格圏の2位に浮上した。とはいえ勝ち点1の差で3チームがひしめき合っており、油断は禁物だ。
 次節は中3日でアウェイに乗り込んでのツェーゲン金沢戦。昨季は首位に立つなど旋風を巻き起こした金沢だったが、今季は不振に喘いでいる。ロアッソ熊本戦が九州を襲った震災の影響で1試合少ないものの、10節終えて7敗2分といまだ勝利はない。今節の清水エスパルスにも1-4と「完敗」を喫している。とはいえ侮れない相手であることは間違いない。注意しなければならないことは2点。モンテディオ山形戦同様に先制点を与えないこと。そして古田寛幸を自由にさせないことだ。石井謙伍が愛媛FCに所属していた時、彼には何度も「恩返し弾」を喰らっていた。お得意様を作らせないためにも、最初の対戦で「一発カマす」くらいのことをしておかなければならない。
短い試合間隔、遠いアウェイの地、そして勝利に飢えているホームチームと悪条件が重なっている。非常に難しい試合になるだろう。勝ち点3を狙うのか、それとも勝ち点1でも良いから持ち帰るのか。中途半端なゲームプランでは逆にしてやられてしまいかねない。この試合もまた首位の座を目指す挑戦となる1戦だ。ぜひともこの壁を乗り越えてもらいたいものだ。
 最後になるが、内村圭宏は今回のゴールでコンサドーレ所属となって節目の50点目を挙げた。絶えずDFの背後を狙い続け、献身的なチェイシングを続けるその姿勢は、まさに北海道コンサドーレ札幌を体現する選手といって過言ではない。「長くいるから多いのは普通。外したのを決めてたら100点ぐらい取れていていい。外した分これから取り返す」と彼は謙遜しながらコメントをしていた。ぜひ金沢戦から「取り返す」ゴールの1点目を奪って欲しい。最高のGWを送ろうじゃないか!



post by kitajin26

10:22

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