2016年04月29日
シュート1本で1-0勝利。ある意味究極の省エネで前節勝利を勝ち取った徳島ヴォルティス。名将小林伸二(現.清水エスパルス監督)の副官として2度の昇格を勝ち取った長島裕明を監督に据え、ある種の継続性を持ってシーズンに臨んだ。もののだ。9節終わって2勝5敗2分の17位。開幕ダッシュに成功したとは言いがたく、また1試合平均8.7本のシュート本数は12.7本というJ2平均に対しても少なく、J2全22チーム中最下位だ。チャンス構築率としても同じく22位と低迷しており、攻撃におけるストロングポイント不在という苦しいシーズンとなっている。その中で守備は光るものがあり、タックルでは2位、クリアは1位、インターセプトは5位と高い数値をたたき出している。一方で前述どおりチャンス構築率は最下位、30mライン進入回数は21位と攻撃回数が4位の割りに上手くカウンターが機能していないという問題点が見えてきている。''
ここにきて調子を上げ2試合連続スタメンが予想されている堀米悠斗は「相手は真ん中に人数をかけてくる。サイドからいかに崩せるかが勝負」「2次、3次攻撃ができるようにボールを取られても、取り返せるようにやっていきたい」と攻撃のスイッチになるような動きが出来ればと意気込みを語っている。9試合も戦えばチームの基礎戦術というものもある程度固まってきている。今年のコンサドーレは、硬い中盤で相手のカウンターを受け止め、奪ったボールを裏へと蹴りこみ「鋭利」なカウンターを志向している。サイドの福森晃斗・マセードの両翼が機能しジュリーニョがアクセントを加える。そして都倉賢・内村圭宏の強力2トップがゴールを叩き込む。これが今後の基本戦術となっていくだろう。プレーする3人も攻撃の軸になることは重々承知のようで、内村は「3人で柔軟性を持って戦う。距離感を近くして、自分のパフォーマンスを発揮したい」 「(徳島は)引いてきたら(崩すのは)難しくなる。動き続けられるだけ動き続けて、最後に決められれば」とコンサドーレでの50ゴール目へ向けてやる気満々。他方都倉も、「押し込んでいる状態なら3人の良さは出る。特長を引き出し合っているし、距離感がいい」「自分のゴールがなくてもチームが勝てているのが救い。苦しい時に自分も取れれば。欲は常に持っている」単なるターゲットマンで終わる気はさらさらないようだ。
これにアクセントを加える選手の有無が、昇格を左右する。後半苦しい時間帯に多彩なプレーで疲弊した相手を掻き回しゴールを奪うスーパーサブも勿論必要だが、ここはボランチに期待したい。そう、俺らの10番、宮澤裕樹である。「今季はまだなんで、早く点を取りたい」と徳島戦に向けてゴールに飢えた発言をしている。やはり前節の稲本潤一のゴールに影響を受けているようだ。ボランチの仕事は、しばしば己の仕事に忠実なあまりギャップを生んでしまう攻撃陣と守備陣のバランスを取ること。そして「このボールを攻撃につなげるぞ」と意思を持ったパスを供給し、攻撃のスイッチを入れる。このバランスが難しく、ともすれば弱気と形容されてしまいかねない。そこでリスクを負い前に出て攻撃のバリエーションに自らを加えていく。その結果産まれたのが稲本の今季初ゴールだった。
攻守のメリハリ。このタイミングの妙を教えてくれるのが、稲本潤一であり小野伸二である。彼らのプレーをチームメイトとして体験できることは得がたい経験であるといえる。存分に彼らに使われ、そして使うことでプレーの引き出しは増えていくことだろう。野々村社長が実績充分なベテラン2人に期待していたことだ。ベテランと若手の融合。目に見えないころでのチームとしてのレベルアップ。この化学反応が起きると昇格は手の届くところまでやってくるだろう。
外はあいにくの天気で、開き始めた桜の花もまた萎んでしまいそうだ。コンサドーレも町田や大阪の試合結果次第で首位に立つ可能性が芽生え始めている。今年のチームは強いんだと一足先に大輪の花を咲かせてくれるような試合を期待している。会場の熱気と外気の冷たさのギャップに風邪など引かれないよう、各自注意されたい。さぁ皆さん準備はいいか?コンサの春はもうすぐそこまで来ている。
プロフィール
98年J1参入決定戦に敗れ涙に暮れる札幌サポを見たことで、コンサ愛に目覚めた非道民。 何の因果か札幌に居を構え、試合結果に1週間のテンションを左右される日々。 いい年こいてまだ中二病が完治していない。 思い出とコンサの試合と日常をミキサーに投げ入れて、味の素で整えた文章を提供していく。 ご笑覧いただければ幸いだ。
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