稲本劇場

2016年04月27日

 この記事を書くPCの横の壁にはカレンダーが掛かっている。同じ部屋で毎朝着替えもするのだが、そのカレンダーを見るたびに顔がにやけてしまう。2016年北海道コンサドーレ札幌オフィシャルカレンダー。3・4月で大きく特集されている選手がいる。背番号17、稲本潤一。6勝2分、今季無敗の首位セレッソ大阪を相手に移籍後初ゴールを叩き込み、コンサドーレは3位に浮上した。
 2試合連続で後半交代出場した選手がゴールを挙げた。未勝利相手と無敗相手と両極端ではあるが得点を挙げることが困難な状況で結果を残した。前節の山形戦。今季初先発が予想された内村圭宏は結局ベンチスタートとなった。四方田修平監督としては彼にジョーカーとしての役割を期待し、岡山戦であわや初ゴールかと思わせるような輝きを放った菅大輝を先発で送り出した。結果不運ともいえるゴールで山形に先制を許し、満を持して内村を投入し最善ともいえるような結果を勝ち取った。そして迎える首位セレッソとの対決。監督はどんな判断を下すのか。この判断が勝利への分水嶺だった。
 ふたを開けてみれば都倉賢・内村圭宏の2トップにトップ下ジュリーニョという布陣で臨んだ。この決断を後押ししたのが荒野拓馬の復帰だ。まだ本調子ではないとはいえ、交代でピッチに入ればその突破力と決定力は相手チームの脅威になる。なにより彼の持ち味をチームメイトも理解しているので、選手交代で監督が意図するところが選手たちに伝わりやすい。稲本がゴールを決めたことで3枚目の交代カードは小野伸二から櫛引一紀になってしまったが、荒野がピッチで躍動する日も遠くはないだろう。
 ボール支配率で45.2%:54.8%とセレッソに大きく水を空けられたにもかかわらず、シュート数がほぼ互角の15:18で終わることが出来た要因はジュリーニョに尽きるだろう。懐が深いプレーと独特なリズムを持ったドリブル、そしてそこが見えているのかと唸らせるサイドチェンジ。シュートが中々入らないのはご愛嬌だが、間違いなくコンサドーレの攻撃の中心は彼が担っている。
 だが、シーズンが後半に進むにしたがってキーマンは対策を講じられていく。より高いレベルのチームへ、混戦を抜け出しJ1昇格を勝ち取るためには攻撃のスイッチを入れる選手がもっと必要だ。というより、よりゴールを挙げるんだというチームの統一意識が必要だ。まだまだサイド攻撃は改善の余地がある。ここにサポートへ入る選手を増やし、分厚い攻撃を組み立てることが出来れば胃が痛くなるような試合は減るはずだ。
 足首の怪我で途中交代した深井一希の具合は心配だが、今のコンサドーレは誰が入っても一定のクオリティは維持されている。「維持」から「進化」へ。このチャンスにどんなアピールを見せてくれるのか。不安半分期待半分。楽しいシーズンは続いていく。


post by kitajin26

06:55

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