3連勝ならず、町田戦感想

2016年04月04日

 2-0.攻撃のキーマンである都倉賢とマセードを欠き、大型FWヘイスとベテラン稲本潤一をスタメンに組み入れた。その上で3ボランチから宮澤裕樹をトップ下に据えたWボランチへ変更した結果、連携不足も祟り攻守両面で機能不全を起こした。システムの変更について四方田監督は「町田のサイドハーフが中央に入ってきて中盤に5人並ぶような状況が多いので、パスの出しどころのMF李漢宰をマークするためにもダブルボランチにしてトップ下を置いた」とその意図を説明している。この変更は前半の早い時間帯には功を奏し、少ない手数からのショートカウンターで町田ゴールを脅かした。しかし「プレーのクオリティを欠き」シュートまで結びつけることができなかった。この好機を活かしきれなかったコンサドーレはじりじりとゼルビアの圧力に屈していく。
 中盤でボールを持つことが出来ず、最終ラインの増川がロングフィードで攻撃を組み立てるシーンが増えていった。このシーンは町田MF鈴木崇文の芸術的なFKが札幌ゴールを揺らしてから目立つようになった。なぜ中盤でボールキープできなくなったか。答えは簡単である。コンサドーレの2トップ、ジュリーニョとヘイスが足元でボールを貰いたがり、中盤まで顔を出すようになったからだ。その結果オフサイドライン際で競り合う選手が居なくなり、GK高原寿康への信頼感もあってか町田はDFラインを高く保つことができた。
 そもそも得点につながるFKはコンサドーレのミスで与えてしまったと私は考えている。安易に蹴り出すなとは言わないが、ゴールに近いあの位置で変にボールキープからロングフィードという色気を出すより、リスク回避のため大きく蹴り出すべきだったと思う。結果論だという批判もあるとは思うが、リスクとメリットの天秤の狭間で最良の選択をするのがDFの仕事だ。ましてGKが一歩も動けないFKを蹴らせる位置となってしまったことも反省材料だ。試合前に掲載した記事で指摘した「前半30分までにどちらがゴールを奪うか」という注目点。これが町田ゼルビアに入ったことで、試合は町田ペースに流れていく。
 ゼルビアが高いDFラインを敷いた結果、センターラインに両軍入り乱れてのボールの奪い合いとなる。ここでもう1つコンサドーレにミスマッチが起きた。彼はこう反省する。「僕もチームも少し受け身で戦いすぎた。相手を下げさせる作業が必要だった。状態をもっと上げていきたい」稲本潤一。この試合の彼は運動量が少なく、ボールを奪ってもカウンターの起点となることが出来なかった。運動量が少ないとは書いたが、彼のプレースタイルは豊富な運動量でボールを拾い潰すというものではないのは重々承知だ。だが勝ち点を積み重ねてきたここ数試合、素早く人数をかけてボールホルダーにプレスし、ボールを奪ったあとはピッチを広く使ってゴールへ迫るということが出来ていた。このプレスのタイミングが若干ズレてしまったのは、受身で戦いすぎたからだったのだろうか。
 1点を追う後半から内村圭宏と上原慎也が投入され、DFラインの裏を取る動きが増え攻撃は活性化された。だが、コンサドーレ攻撃陣の前に立ちふさがる者が居た。高原寿康である。宮澤裕樹、内村圭宏、彼らのシュートは惜しくも町田の壁に弾き返された。シュートストップに自信のある高原は、声の限りDFに指示を出し続け高いDFラインをキープさせ続けた。第2節まで顔をのぞかせていたスタミナ不足から出る陣形の間延びは改善され、失点を許すどころかDFを削りFW菅大輝を投入し攻撃に傾斜するコンサドーレの間隙を縫い、重松健太郎は追加点まで挙げて見せた。追加点の場面は言ってみればコンサドーレ守備陣の集中力の欠如が招いた失点である。深井や堀米が攻撃に軸足を置きすぎたため、ボールウォッチャーとなってしまった。あの位置から急いで戻っても決められたとは思うが、少なくともDF1人で相手攻撃陣2人を見るという2006年W杯オーストラリア戦のような無様を晒すことはなかっただろう。
 この敗戦でコンサドーレは7位に後退。首位セレッソ大阪とは勝ち点差6と広げられてしまった。これで6試合終えて勝ち点10。3勝2敗1分。またバランスのいい星取表となっている。今年も混戦模様となっているJ2だが、自動昇格の椅子は2つ。この試合で見せた連携不足がシーズン初期に見られる「よくある」連携不足ならいいのだが。次節のファジアーノ岡山、そしてセレッソ大阪と難敵がこれから待ち受けている。取りこぼしの出来る試合などないが、また一山来そうな気配だ。次の目安は10節終了後。プレーオフ圏内は確保出ていると今後の応援も身が入るのだが…。


post by kitajin26

23:08

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