山形戦メモライズ。

2006年03月20日

スタンドの脇に山形サポーターが除雪をした雪がまだ残る天童。山形はこの試合が今季の初ホームゲーム、この日を待ちわびてボランティアでピッチを除雪してくれたサポーターのためにもまずは一勝をあげたいところ。対する札幌は前節試合をある程度支配しながら、水戸のワンチャンスに屈してしまった。この試合ではよりプレーの精度を高め、札幌にとって難敵となっている山形を下してスタートダッシュをかけたいところ。

札幌は前節の暴力行為で3試合の出場停止となったフッキと、プレーエリアがフッキと被って目立つところがなかった清野に代えて相川と中山の2トップがスタメン。この二人だとトップにロングボールを当ててこぼれ球を拾うという展開をさせやすく、試合開始から札幌がボールの主導権を握って進めていく。相川は中心付近に構え、中山が精力的に動き回るタイプなので前節のようにフッキと清野でお互いにプレイエリアが被ってしまうような心配はさほどない。また、チーム全体を見てパスの回し方などは前節よりもミスなくできている感じがしたけど、それは山形がいわゆる「リトリート」を徹底しているからというように見えた。水戸といい山形といい、こういう「守備から入る」スタイルをとる相手だと札幌はボールを持っていてもなかなか崩せないのが悩みどころだ。

札幌の攻撃は相変わらずサイドが好調。左サイドの関は安定したボール運びを、右サイドの芳賀は前節にも見せた良いポジショニングと周囲との連携ある飛び出し。ただどちらもやっぱりサイドをえぐるまではうまくいくけど、そのあとの工夫というか、クロスの精度が悪いというか・・・。サイド深くへの侵入を意識しすぎるあまり、ワンテンポ、ワンプレー遅くクロスを上げてしまっている気もするのがもったいないところだ。あとはトップ下の砂川ももう少し積極的に前へ飛び出して欲しいところ。一本目、二本目の矢はあるのだが、決定的に仕事のできる三本目の矢が足りなく前半を見た限りではまだ「矢が足りない」感じ。シュートも微妙な感じに枠に飛んだり飛ばなかったりだし、集中して落ち着いてパスを回せているのだけれど物足りない。

一方の山形は落ち着いたゲーム運び。チーム全体のポゼッションの良さは昨年と変わらず、最終ラインからのビルドアップの確かさもある。これに財前のアクセントをつけるゲームを見る目が加わって、組織としてのまとまりは高いレベルで安定している。その安定に貢献しているのは高橋健二と新加入の渡辺匠。高橋が落ち着かせ、渡辺が安定したボールさばきを見せる。財前からのセットプレー、ラストパスは相変わらず怖い。互いに「これ」という決定的なチャンスを作れないまま前半終了。

後半札幌は砂川に代わって西谷を投入。砂川が最後の場面でおとなしい場面が多かったので、西谷にはもっと積極的に飛び出していってもらおうという意図なのだろう。山形はメンバーの変更はなし。渡辺匠の持つ攻撃の起点となるプレーの確かさも作用していると思えるが。札幌は簡単に相手のパスコースを空けてしまうのがところどころ見られる。ここを大塚、鈴木のボランチがしっかりと埋めて攻撃へ繋げることが重要になるだろう。また昨年からの課題であるのだが、最終ラインからのゲームの組み立てがセンターバックからから横に流すだけしかアイデアが見あたらないのが悩みどころ。ボランチに預けてそこから素早く展開できるようになると攻撃の厚みもぐっと増すと思うのだが(ハーフタイムには、このセンターバックととボランチとの連携を高めることを監督が指示していた)。

59分には曽田との接触で負傷した氏原に代わって根本が入るが、中山がしっかり下がってボールにプレッシャーをかけに行き、山形の前線に簡単にはボールを回させない。このことで札幌の選手はやりやすくなる。大塚も永井の押さえどころをよく知っている、という感じで決定的なパスや突破をさせていない。前節よりはサッカーとして見ていられる。しかし、ペナルティエリア近くでやはり財前に仕事をさせてはいけない。FKでもラストパスでもファンタジックで、攻撃の柱としてもはや山形には欠かせない存在になっている。また、66分には高橋健二に代えて高速サイドアタッカー・佐々木を投入。和波がつかまえきれない場面が出はじめ、札幌のカウンターとなって関からクロスがあがるもポストに入れた後の飛び出す選手がいない。最終ラインでの集中は70分すぎても保たれているが盤石ではない危なっかしさが感じられ、不安な空気が流れ始める。

選手交代によりもう一度攻撃を組み立て直す山形に対して、うまくサイドの突破ができなくなってきた札幌は関に代えて藤田を投入、芳賀が左で右に藤田というサイドの組み替えでで打開を試みる。直後に加賀がオーバーラップでシュートを放つ。去年よりも大きく変わったのがこの場面にあるように、和波や加賀が積極的にオーバーラップする場面がゲームの中で多く見られるようになってきている。そして77分、いったん下がっていた相川からのエリア前へのクロスに西谷が反応し、首をひねってヘディングで逆サイドへ流し込む。札幌先制。直後に芳賀のFKが見事な狙いで決まったのだが、相川の足がオフサイドになりノーゴール。その判定に怒った柳下監督は抗議、ベンチに帰る途中でコートを脱ぎ捨てベンチに叩き付ける。山形は反撃を試みるもゴールのにおいがしない。高さは曽田が、速さは和波と加賀がしっかり対応できているのだろう。それ以前に山形FWが裏に抜けられていないところが気になるのだけれど。試合終了間際に危ないシーンがあったものの切り抜けて札幌が2勝目をあげた。

札幌の完成度は少しづつであっても高まっていることは確かだし、上昇のレベルは昨シーズンとは上のレベルにあることは確かだ。ただ、そのレベルを試合での勝利に必ずしも繋げられないところに今の問題がある。これは試合をこなしながら強化していくしかない。あとは今節のように集中できていれば、というところか。山形も負けたとはいえ、遜色のないサッカーを展開していたように思われる。「樋口イズム」が浸透すれば、昇格争いに絡んでくる勢いがある。

息つく暇もなく、次節はJ2に今年から参入した愛媛とのアウェイ戦が待っている。ここでつけた勢いを加速させるためにも、ハードスケジュールではあるが勝ち抜いて行きたいところだ。序盤戦のトーナメント、早くも一つ目の「ヤマ」がやってくる。



post by ishimori

20:35

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