君のスロットに僕のメモリをインサート

2007年02月08日


Happy Hacking Keyboard Lite2 USB JP 黒

Windows Vistaも発売され、自分もPC使って10年超えてきたわけですが。
ここまでネットが普及して、その真偽はともかくとしてとりあえずの情報はネットの中で手に入るだなんて思ってもいなかった。95発売ブームに乗せられてうちでも富士通のPCを買ったはいいが、高価なフリーセルとマインスイーパ専用マシンと化してしまった。

でもこれが最初のコンピュータ経験というわけでもなくて、その前にはこれまたその時代には高価だったパナソニックのワードプロセッサー(あえて正式名称で呼んでみる)をいじっていた。今にして思うと父はこういう新しいものが好きだったんだろうなー。それだけじゃなくMSXも持っていて、ひとしきり文字を打ち込むには苦労はしなかった。ワープロはさいしょかな入力だったのを無理矢理ローマ字入力に矯正してがしがし打ち込んでいたし。何を書いていたのかは忘れてしまったけれど、たんたんたんとリズムよくキーボードをたたき文字を打ち込んでいく作業は僕にとってはすごく楽しい時間だった。打鍵音とともに画面に映ってゆく文字列をえんえんと増やすのは子供ながらに快感だった。



大学に進んでさっき言った富士通のパソコンも「レポート作成用に」と頼んで持ってきてもらって、1年目はその付属キーボードをかたかた言わせながらレポート作成にいそしんでいた。レポートのパフォーマンスが良かったのかはまた別の話だけど……。

で、3年目にそのパソコンが壊れちゃって、先輩からCOMPAQのパソコンを譲り受けることになった。こいつはデカかった。前に使ってた富士通の1.5倍くらいあった。CRTには奇妙な出っ張りがあってそこにスピーカーを引っかけるようにできていたのでデカかった。本体もなぜだか妙にでかかった。そしてなにより、キーボードが病的にデカかった。当時の僕の机はパソコン本体が半分を占めていたんだけど、それに加えて付属のキーボードをつけるのはレイアウトから見てどうみても不可能だった。いや、不可能ではないだろうがイヤだった。そんなわけで出かけたのだ、初めてのアキハバラシティへ。
初めて電気街に足を踏み入れたとき、どこに何があって、どこへ行けばいいのかさっぱりわからなかった。

魔都だここは。
そうにちがいない。

そう思いながらもダンジョンを探検するような緊張感で大通りから一本裏の道へ入るととたんにそのレベルが上がった。何に使うのかもわからないパーツだらけ。むき出しにされて売られているメモリ、店頭に飾られている茶こけたPC、すすけた筐体、謎の電源スイッチみたいなもの。何が何だかわからないまま、自分がほしいのは省スペースのキーボードであるというのも忘れそうになるままパニック状態で歩くと、ジャンク屋や中古屋や怪しげな中華料理屋なんかが並ぶ通りに一軒の店が見つかった。その店はキーボードだけを売っていた。

まさに天恵。
まさに奇跡。
ねんがんの アイスソードを てにいれたぞ!

そういう店に行きたかったのだ。そういう店で自分の部屋にぴったりサイズのキーボードを探したかったのだ。そうして魔都秋葉原から帰還した僕は、1枚のキーボードを手にしていたのであった。テンキーもなくノートPCのキーボードのような形をしていたそれは、自分の机にあるスペースを有効に使うにはもってこいの品だった。もっとも、ストローク(キーを押し込む深さ)が浅いせいで幾度か突き指のようになったりとか(それは単純に自分の押圧が高いせい)しながらもほぼ2年半、卒論を書き上げるまでの相棒になったり、ながながとしたメーリングリストの返信に使ったりした。そうして社会人になってお金ができると、今度はもっと打ち心地のいいキーボードを探しに秋葉原に行くようになった。もっと重厚感のあって、押しごたえのあるやつをと思ってみつけたのはFILCOのメカニカルキーボードだった。押してみるとじゃきん、という音がする。続けて打ってみる。じゃきじゃきじゃきじゃき。その重厚感というか、「機械っぽさ」に惚れて買い求めた。後にしてそのキーボードが「名機」と呼ばれているのを噂に聞いて得意げになったものだ。札幌に戻った後もがしゃがしゃがしゃがしゃとこのキーボードを使いまくり、隣室の弟から使用禁止令が出るくらいまでになった。それでもちょっとやそっとじゃ壊れないのはタフな証拠だ。主キーボードが壊れたときの代替機として待機してもらっている。

そして、その「名機」をサブ扱いにしてまで、今使っているのは「Happy Hacking Keyboard Lite2(略称HHK)」だ。キータッチはほどよい打鍵感をもたらしながら、しっかりとしたストロークが中途半端なキー入力も逃さない。そしてなにより小さい。文庫本を縦に2冊並べたくらいの横幅しかスペースを必要としないこのキーボードは、小さい分無用に指を広げる必要もなくリズムを刻んでくれる。実はこのHHK、2代目だったりもする。初代はコーヒーをこぼして動作不良になり、泣く泣く現在の2代目を注文したのだった。同じキーボードじゃないと打てないってところがガンコっていうかマニアっていうか。

そんなわけで、このブログもHHKで書いてます。こいつと一緒にどんだけ文章が書けるのか、楽しみです。



post by ishimori

00:36

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