雪、降りつむ

2005年12月11日

「SUPER SOCCER」でJ2入れ替え戦のニュースと、天皇杯のニュースを見た。

日立台で行われた入れ替え戦第二戦、何かが一気に爆発したようにJ公式戦一試合最多得点までも更新してしまったバレーは、試合が終わった後も爆発したように泣いていた。本当に、顔が、真っ赤になって、ぐしゃぐしゃで。破顔一笑の大木監督の姿を見つけると、彼は真っ先に「なんだよー、そんなに泣いて」とにこやかに笑う監督に抱きついた。感情が一気に爆発してとまらないのだろう。バレーが流したあの涙の量が、今年の、そして今までの甲府の苦しさを象徴しているような気がしてならなかった。「ぼくらはJ1に行く」--その、強い思いが、あの日立台の強く張り詰めた空気を打ち破ったのだ。

その、二時間と少しくらい前。

磐田スタジアムで行われた天皇杯5回戦、試合終了後のプレスカンファレンスで、反町康治がメガネをはずして、机に突っ伏して、嗚咽をあげていた。
「だから、今日は勝たせてあげたかった。みんなよく頑張った。ジュビロの1.5倍走った。だから、勝たせてあげたかった」と、いつものクールで皮肉屋な反町監督の顔ではなく、新潟を愛し育ててきた一人の男の顔で、泣いた。昇格した最初の年に0-4でなすすべなく敗れたチームを、よもやPK戦まで行くかというところまで引き上げた。

頬に流れた涙は、その分だけ、ドラマがある。
打ち勝った者の涙。去る者の涙。
今日はそのふたつがいっぺんに僕に飛び込んできて、どうしたんだと困惑しつつ、泣いた。
どうか、僕が今日流した涙が、歓喜の涙になりますように。

札幌の夜、窓の向こうは雪が降り続いてて、おそらく根雪になるだろうというような降り方だ。
世界には雪も雨も太陽も、みんなに平等にやってくる。
天気だけじゃない。心の雪も雨も太陽も、平等だ。
雪が解けたときには、新しい芽吹きがある。
雨が降った後には、虹がかかる。
太陽が照らした光は、僕たちを暖める。
今はたとえ雪でも雨でも嘆くことはない。太陽を、待とう。

だけど今は、雪の下で、ひそかに力を蓄えよう。

太郎の上に雪降りつむ、次郎の上に雪降りつむ--。



post by ishimori

01:01

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