11月の第3木曜日

2005年11月17日

つまり今日のことだけど、世界的にこの日は「ボジョレー・ヌーボー」の解禁日。ヌーボーが何かなんて書くのは野暮なので書かないけど、まあ早い話が今年のワイン新種・搾りたてってやつです。

物好きで酒好きでもあるロクデナシなので、「今年は樽のまま輸入しました」なんてDMが来たらじっとしていることなんてできるはずもなく、いそいそといつもの店に顔を出してスプモーニなんぞ啜りながら日付が変わるのを待っていた。スタッフはそわそわして電話で時報なんか聞いちゃったり、めでたく午前0時をまわっていざグラスに注いでから「飲みますよね?」とオーダーを聞いてくる(おいおい)。聞くところによると今年のボジョレーは過去最高とも呼ばれた2003年の出来にも劣らないというので楽しみにしつつも、まずは一口。確かに甘みと酸味、渋みのバランスがよく葡萄の味も濃く出ていて去年のものよりは間違いなくおいしい。突出した感じはないけれど、高いレベルでまとまっているという印象を受けた。
残念なのはふらっと入ってきたひとが「ワインはもっとこうフルボディで渋みのあるうんたらかんたら」とぶち上げたことでやや興を削がれたのだけど、おおむね楽しく飲んだ昨晩。

僕がどうして「フルボディ云々」という人の言葉にカチンときたかというと、ボジョレーの事も知らずに通ぶっているなあ(ということを書いている自分も同類だが)、と思ったからで。ボジョレーは収穫後数ヶ月で仕込んだもので、フルボディのワインのようなコクのある複雑な味わいが出ないのは当然のこと。楽しむべきはその年に取れた葡萄の出来やボジョレーならではの華やかな香りと爽やかさなのであって、日本酒の新酒と古酒では味わいが違うようにワインもまた然り。基本的には今年もワインが出来たことを祝ってわいわいと飲み、数年後、あるいは十数年後にこの葡萄からどんなにすばらしいワインが出来るのかと想いを馳せるものなのだから。

ワインで思い出したけど実家の地下倉庫(「ムロ」ってやつですね)には98年フランス大会記念の赤ワインが置いてあってそのうち一本を今年空けてみたのだけれど、これがなんというか非常に失敗した寝かせ方をしたらしくとんでもなく苦い何らかの液体になっていた。料理酒にも使えないくらい。まあワインもサッカー選手も「育て方」が大事なのです、っていうオチで。

京都に勝ったら、いいボジョレーを一本買おうかなあ。
(今年のはかなり気に入ったらしい)



post by イシモリ

23:29

miscellany コメント(0)

この記事に対するコメント一覧

コメントする