2017年05月05日
【堺】U-15世代の全国大会であるJFAプレミアカップ2017が大阪・堺市の堺市立サッカー・ナショナルトレーニングセンター(J Green堺)で5月3日から5日まで行われた。 全国12の代表チームを4チームづつに分けて行われた1次ラウンドで、北海道第一代表の北海道コンサドーレ札幌U-15(以下札幌U-15)はグループCに属し、名古屋グランパスU-15(東海代表)、サガン鳥栖U-15(九州代表)、湘南ベルマーレU-15平塚(関東代表)と対戦した。 札幌は昨年はベスト4に進出し、一昨年の大会では初めてベスト4に進出した勢いのまま決勝戦まで進み京都に敗れている。が、それ以前はあと一歩で準決勝への扉が開かず涙を呑んでいる。冬の間グラウンドを雪に閉ざされ、春になっても他地区のチームと比べて実戦経験が乏しい北海道のチームにとっては、毎回厳しい現実を突き付けられてきた大会と言えた。 3日午前の第一戦は名古屋との対戦となった。名古屋とは4年前の大会でグループラウンドの3試合目に顔を合わせたが、エース菅(現・札幌トップ)が警告の累積で出場停止となっており、藤村(現・札幌U-18)らの奮戦むなしく2-7で大敗を喫している。 前半は互いに決定機はなく、やや名古屋の攻撃力が札幌を上回っている様相だったが、昨年からレギュラーとなっていたGK川上のゲキのもと、3東らDFラインが踏ん張りゴールは許さない。0-0のまま後半になり試合はさらに膠着しかかったが、5分(通算35分・今大会は30分ハーフ)に相手GKのミスキックから13DF鈴木がタテに仕掛け、ゴールライン際から折り返したボールを11FW谷内が相手DFに寄せられながらもボールを失うことなく反転して左足でシュートを放つ。タイミングを狂わされた相手GKがキャッチしきれずボールがインゴールにこぼれ、札幌に待望の先制点がもたらされる。その後は札幌が決定機を重ね優位にゲームを支配したが追加点は奪えずタイムアップとなり、札幌が幸先よく勝ち点3を得た。 同日午後の第二試合は関東代表の湘南。実は関東地区では本大会への予選が開催されておらず、代表の2チームは昨年冬の高円宮杯U-15の全国大会での上位進出チームから選ばれていた。すなわち必ずしも本年の地区最強のチームとは呼べない実情があった。湘南と並んで出場した横浜F・マリノスJr.ユース追浜は3戦全敗、得点も奪えない惨状で大会を去ることになってしまう。湘南も今大会初戦は鳥栖相手に0-1で敗れており、さらに湘南と札幌はつい5か月前の高円宮杯準決勝でも対戦して、札幌の攻撃陣が爆発し6-0で大勝を収めている。左様な札幌優位の条件であっても勝負ごとはやってみなければわからないという一戦となってしまった。 札幌は立ち上がりの湘南の攻めをしのいだ8分に右サイドから2DF菊池が上げたボールを9FW大和が落とし、18FW渡邉を経て再び大和に渡るとゴール前へ絶妙のクロスを通す。ここに11谷内が左足で合わせ札幌が先制する。このまま札幌ペースに持ち込みたいところだったが中盤でのパス回しにミスが多くリズムに乗れず、逆に湘南の攻撃にも迫力が乏しく、1-0で前半を終える。後半になると6分(通算36分)にゴール前左サイドで札幌は不用意なファールを犯してしまいフリーキックを与えてしまう。ニアサイドに放たれたボールに札幌守備陣は判断を誤り、湘南13MF秋山にヘディングで決められ同点に追いつかれる。その後も中盤で激しい攻防は見られたものの札幌はシュートはおろかクロスで終えるシーンも少なく、結局1-1のドローとなる。60分を通じて札幌のシュートは得点を取った谷内のシュートだけという不満が残る内容だった。 各チーム2試合を消化した初日の結果、勝ち点1の湘南の敗退は決定。準決勝進出は鳥栖を降した名古屋と札幌、第一試合で湘南を破っている鳥栖との争いとなった。札幌は鳥栖と対戦し、勝てば名古屋の結果如何にかかわらずC組一位として準決勝進出となる。 そして4日(木)に行われた鳥栖戦。全グループ同時キックオフとなった。昨日とうって変わって真夏のような日差しが降り注いだせいか、あるいは昨日までの天然芝から人工芝ピッチとなったせいか、札幌の攻撃陣にキレが乏しく、ボールは回すもののまったくシュートを打てない。軽快にボールを運ぶ鳥栖の攻撃を守備陣の健闘でしのぎ、無得点のまま前半を終えようとした終了間際に、札幌の左サイドから上がったボールを5MF会津がバックヘッドで後方に送ったところ、GKとの呼吸が合わず川上の頭上を越えゴールに吸い込まれてしまう。札幌は痛恨のオウンゴールでビハインドで後半を迎える。すると9分(通算39分)に右サイドから27MF西岡のクロスをニアサイドで受けた11谷内が、この試合札幌の初シュートを鳥栖ゴールへ流し込み反撃ののろしを上げる。ギアを上げた札幌は攻撃に厚みを与え、後半のシュートは7本と鳥栖を圧倒し始めるものの、残り時間はなく最終的に1-1で引き分けた。 鳥栖は勝ち点4、札幌は勝ち点5となったが、湘南を降した名古屋が2勝でC組の1位となった。2位の中から最上位での準決勝進出も勝ち点6を挙げたBグループのレノファ山口の手に落ち、札幌の準決勝進出の望みは絶たれた。 札幌は新チームの主力選手にけが人が多く、ベストメンバーからほど遠い布陣となったものの、川上、東ら昨年のチームを知る3年生が中心線を固め、変わらぬ強固な守備陣で相手の攻撃を跳ね返し続けた。一方で得点を奪うために相手の危険地帯を貫く力に物足りなさはあった。しかしながら今後の道内カブスリーグや夏のクラブユース、そして冬の高円宮杯とタイトル戦は続いている。けがから戻る選手との競争と融合を重ね、チーム力を向上させてほしい。 なお普及枠として北海道2チーム目の出場となったスプレッドイーグル函館はAグループに属した。初戦のセレッソ大阪U-15戦は0-4と大敗し、二戦目のアルビレックス新潟U-15戦も前半だけで0-2とリードを許したものの、後半になると攻勢に転じ、29古田、27阿部の連続ゴールで瞬く間に同点に追いつく。そしてアディショナルタイム2分に阿部が主将35宮崎からのパスに抜け出し鮮やかに決勝ゴールを決め、大会初勝利を挙げた。その勢いのまま3戦目は横浜F・マリノスJr.ユース追浜をも1-0で破り、他クラブとの得失点差で準決勝進出は成らなかったものの勝ち点6、堂々のグループ2位で初出場の大会を終えた。 大会は5日に決勝戦を行い、清水エスパルスJr.ユースが名古屋グランパスU-15を降して2年連続優勝を遂げた。 …ってか、清水強すぎ。モンテ山形村山が非常にいいサッカーをしていたのですが、その山形にまるでサッカーをやらせずひねっちゃうのですから。レノファ山口はまともに見なかったのですけれどまさにダークホースでしたね。