札幌vsC大阪 斉藤宏則さんの「レポート」 

2022年09月03日

Jリーグ公式HPに掲載されています。


   タイトル「激動の終盤。フィナーレは青木亮太のミドル」


全文のコピーです。

他会場に先駆けて金曜日に行われたこのカード。なんとか連敗を止めて残留争いで少しでも優位な位置に行きたい札幌と、上位進出に向けて勝点を伸ばしたいC大阪による対戦は、立ち上がりからともにモチベーションの高さを感じさせるアグレッシブな展開が繰り広げられた。9月夜の札幌市内はすでに若干の肌寒さも感じさせていたが、白熱の好ゲームだった。

 序盤から主導権を握っていたのはアウェイのC大阪。ボール保持としては札幌のほうが上回っていた印象も受けるが、C大阪はそれに対してしっかりとした守備網を敷いて応戦し、札幌の選手を引き込みながらカウンターで背後を狙うプレーが機能していた。前方には上門 知樹、アダム タガート、ジェアン パトリッキらランニングスピードのある選手が並んでおり、鋭くスペースへと走り込む。時にはGKキム ジンヒョンからの精度の高いロングキック1本で好機が生まれた場面も。5分にはアダム タガートのシュートがポストに当たる決定的な場面もあった。

 重複する表現になるが、構図のハッキリとした見ごたえのある展開が続いていった。札幌は自陣からポジションチェンジを織り交ぜながら丁寧にパスをつなぐ。それに対してC大阪はアウェイチームらしい戦い方とでも言うべきか、強固な守備を保ちながらはね返す。札幌は揺さぶりをかけて相手の守備網にスキを作り出そうとする。そうした仕掛けを待っていたかのようにC大阪はその背後を虎視眈々と狙う。サッカーの試合ではさまざまな試合展開があるが、やはり双方の狙いがよく分かる試合というのは面白い。

ただし、時計の針が進むにつれて展開は変化していく。プレー自体は札幌のボール保持から始まるものの、最終ラインでは動かせているボールが、ミッドフィールドに差しかかるとC大阪の鋭い守備に阻まれ、札幌はなかなか良い形で敵陣へとボールを持ち運べなくなる。ロングボールを使ってなんとか押し込むのがやっとで、そこからはおおよそC大阪の思惑どおりに試合が進んでいったように見受けられた。じわりじわりと力の差が表れてきたと言っていいだろう。

 札幌は後半に選手交代を行ってからは前線の選手の動き出しが増え、攻撃が手詰まりになりにくくなり、押し返すことができるようになっていた。だが、同じようにC大阪も前線にフレッシュな選手を入れて両サイドを使いながら運動量を増やすと、そこからは個人でもグループでもC大阪が再び優勢になる。

そして終盤、スコアは劇的に動く。78分、途中出場の中原 輝が左足で素晴らしいコントロールシュートを流し込んでアウェイチームが貴重な先制点をゲットすると、86分にはキム ゴンヒが来日初ゴールとなるヘディングシュートを流し込んで札幌が同点とする。

 本当の最終盤となったラスト数分は勝点3を目指して両チームが激しく相手ゴールを目指し合い、完全にオープンな展開となったアディショナルタイム、青木 亮太があまりにも鋭いミドルを蹴り込んで決勝弾。札幌が見事かつ劇的な勝利で連敗を止めた。


以上です。


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