2007年09月25日
その4から続きます。
翌朝はチェックアウトの前に、(大あらため)中浴場で一風呂浴びることにしていた。 二人して眠い目をこすりつつ、浴衣姿にタオルを持って部屋を出る。 朝の9時である。平日だから、宿泊客はほとんどがビジネスマン。 彼らがこれから出張先に向かうために忙しくエレベーターを使っているのに、 お気楽にお風呂に入るだけの私たちがエレベーターを使ってもいいものだろうか… というふうなことを覚め切っていないアタマでふと思った私たちは、非常階段を目指した。 5階の部屋から4階の(大あらため)中浴場まではほんの1階、おりればいいだけなのだから。 非常階段はエレベーターのすぐ横にあった。 ノブを回して押してみる。難なく開いた。当然だ。非常口なのだから。 しかしドアを開けたとたん、その空間に広がる風景を一目見て、私たちはウッと息をのんだ。 階段も踊り場も、バックヤードと化していたのである。 つまり、新しく交換されるシーツやら浴衣やらタオルやら… 階段の幅を半分くらい残して、そういったものが隙間なく、しかし整然と並べられていたのである。 整頓が行き届いているところをみると、臨時に置かれているわけではなさそうだ。 防火の観点からするとこれはどうなんだろうか… なんとなく不安な気持ちになり、きむちゃんと顔を見合わせる。 ま…今日はもうチェックアウトだし… 気を取り直して階下を目指す。 そのときふと嫌な予感がしたのは虫の知らせか… 「こんな非常階段、初めてだよ~」「私も」 困惑しつつ足早に階段を下りる。4階に着いた。 きむちゃんが笑いながら「開かなかったりしてね」とノブに手をかけ、ドアを引いた。 開かない!!!!! 「キャーーーーーーーーーーーッッッ!!!」 絹を裂くような悲鳴が階段にこだまする。 「開かない!!開かないよ!!!」 ノブを握ったまま、きむちゃんの顔から血の気が引いていた。 しかーし! 「きむちゃん、大丈夫!こんなこともあろうかと思って」 おののいているきむちゃんを連れて再び階段を上り、5階へ戻る。 さっき嫌な予感がして、ドアのロック部分を引っかけるようにして半開きにしておいたのだ。 脱出成功!!! ああ~とっさに締め切らなくてホントに良かった… でなかったら非常階段のドアをドンドン叩いて「開けてぇ~~~!!」状態だった(^^; しかしそんな非常階段で、いざって時どうするんだろう… ホッとして大笑いしながらエレベーターで4階に下り、朝日の差し込む展望浴場できれいな雲を眺めながら一風呂。 目も覚めました。 時間ぎりぎりにチェックアウト。 駅前のミスドで朝食。ドーナツとコーヒー。カフェインでしっかり覚醒。 そしてもう時間はなかったが、JR徳島駅構内を一巡り。 ん?あれ?画像だと判別しづらいが、駅名看板(というのだろうか)の左横に見覚えのあるマークが… 空港行きのバス停で他のサポさん達と行き会い、うちそろって空港へ。 搭乗を待つ間、前日下見しておいたお土産を購入。 前日の憂さを晴らすかのように買いまくり。左上から祖谷地方のそば、すだち果汁、阿波うず潮ビール2種類、左下から徳島ラーメン(ばら売り)ひと揃い、そば米 飛行機に乗る前に、搭乗口のブルースカイでサッポロ黒ラベル350ml缶を発見!キミにどんなに会いたかったことか。 讃岐地ビールには目もくれず一缶購入。四国ではこちらの方が貴重品だい。 ところでこの日は台風が刻々と関東地方に近づいていたのだった。 徳島を昼過ぎに出るこの便も、万一の時には引き返すかもしれませんと言われていた。 試合も終わったし、仕事の予定もないし(ゴメンお仕事な皆さん)どうでもいいや… などといい加減な気持ちでいたら、東京に近づくにつれ揺れる揺れる。 さすが台風だ…揺れの中、睡眠不足とビールのほろ酔いとでうとうとしていたら、羽田に着陸できた。 札幌便に乗り継ぎのサポさんをお見送りして、さぁ台風と競争で帰宅しなきゃ。 もう疲れてしまったのと、お土産が重くて電車で帰るのがおっくうになり、羽田から立川行きのバスに乗った。 これがけっこう混んでいた(平日の午後なのに)。 一番後ろの窓側席に落ち着くと、すぐとなりにケバい若めのおねーさんが乗り込んできた。 携帯で音楽を聴いている、髪の長い、今時のおねーさんだったが、出発してしばらくすると、ブランドのバッグからハンカチを取り出して目のあたりに押し当てている…泣いてる?? ひとしきり目のあたりを拭うと、メールを打ち始めた。 見るつもりはなかったけど、泣いてるふうだったのが気になって、なんとなく画面が目に入ってしまったのでチラ見したら… 彼氏と別れたばかりの人らしかった。 友達宛てで、彼氏と別れてつらい、曲を聴いたら泣いてしまった、というふうな文面だった。 なんとなくこちらも切なくなって、目頭が熱くなった… いろんなことのある徳島行きだった。チームのことだけじゃなくていろいろ思ったし。 同じように、このおねーさんにもいろいろあったんだなぁ… 全く面識のない人だけど、皆それぞれ同じように苦しんだり思ったりして生きているのだなあ人間というものは…などとしみじみしてしまった。 彼女も立川駅で降りた。 JRの駅改札口近くで追い越しざまにちらっと顔を見ると、鼻筋の通って色白な、それはそれは美しいヒトだった。 こんなきれいなヒトでも彼氏と別れてしまうんだ… 人生いろいろである。 そして私は帰宅してサッポロビールを飲み直し、寝てしまいましたとさ。 さ~て次はサテライト戦だ。
きむちゃん
Re:忘れたい。でも忘れられない徳島行き・その5(第28節 vs徳島・ポカスタ)
2007-09-25 19:20
いやいや、あの朝風呂事件は目が覚めたよ~~。 余計にお風呂が気持ちよかったw 帰りのバスでそんなことがあったんですか…。なんかドラマみたい。 うちらのコントとは大違い??? でもこうやって世の中辛いことを経験してあとから笑って話せるときが 来るんだよね!!!がんばれ彼女!がんばれコンササポ! 2日間ホントありがとうね!楽しかったよーーー♪
A小さん
Re:こちらこそ!ありがとう!
2007-09-25 20:40
>きむちゃん お待たせしました~やっと完結…(遅すぎ) あの非常階段は危険だよね~(^^; 彼女、ドラマみたいでしょ…うちらのズッコケ旅行とは大違い(^^; 試合に行くだけなのにいろいろあって…試合はホントに辛かったけど、それ以外は楽しぅございました。 ありがとうございました! …でもそのあとにまたつらい思いをすることになろうとは。とほほ…
プロフィール
東京の西、山の近くでコンサを応援している主婦「A小」。学生時代に旅行で北海道を訪れ、すっかり魅了される。初めてサッカーを見たのは、94年・W杯アメリカ大会。九州旅行の帰りのフェリーの衛星放送だった。その後コンサ誕生を知り、旅行がてら各地に試合を見に行き始め…。当初はサッカーに興味のない夫を置いて一人で出かけていたが、彼は2007年にわかに「各地のウマイもの」に目覚め、その飽くなき食欲と舌を満足させるべく、妻にくっついて遠征を始める(ただし留守番の猫が心配なので宿泊ナシの日帰り)。個人的にFC東京にはいろんな意味で負けたくない。
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