5月だな。
自宅の電話が鳴った。たまに家電も鳴る。
ナンバーディスプレイは大事だ。へんな番号は極力とらない。
しかしうっかりとってしまった。

「○○さん（ダンナのフルネーム）の番号でしょうか？」　おお、そうだよ。で？
「えっと･･･実はわたくし、えっと･･･○○さんに　どこどこで（ダンナが新卒で勤めていた職場）
　お世話になったものでして･･･○○さんに連絡をとりたいのですが･･･」

何かの勧誘か？それにしては素人のような喋り方だ、まだ慣れてない？しかもおばさんだ。
それともなんか怪しい関係？しっかしこの時代に家電にかけるか？しかも昼間だよ。
む？ダンナがペーペーだった頃に世話になった？何十年前だよ！まだ感謝されてる？
一瞬の間にあらゆる憶測が頭の中を駆け巡る。とりあえず妻としての礼儀は必要だ。

「夫は今仕事で留守ですが、そうでしたか･･･あの、お電話があったこと伝えますね」
しとやかな声で言ってみた。

相手。沈黙････　少し鼻息のようなものが聞こえた気がする。どう出る？ん？
決意したようだ。相手は言った。ドスのきいた低い声でいきなり
「aru？！（わたしの本名）」　　　こっちもドス声で言う。　だれ！
「みっちゃんだよ～～～」　　みっちゃ～～～ん！懐かしい懐かしい！
なしたのさ～～～ダンナに用かい！
「こないだね、旭川に帰ってね、みんなに会ったのよ。そしたらねあんたの話になってね、
　でね、音信不通だよね、どうしてるんだろね？年賀状もこなくなったんだよー、
　ね、もしかして離婚してるかもね。そーだ。たぶんそうだわ、離婚したんだわ！
　やー、どーやって連絡する？ダンナさんの番号ならうちのダンナの名簿にあるわ！
　やー、やっぱり気になるよね！んじゃその番号教えて。あたしがかけて聞いてみる！
　こういうことになったわけよ。離婚してないの？してないよね、あんたが出るんだから。
　あ～～～～～もうマジで緊張したよ～～～～
　ダンナさんが出ると思ったのに女の人出るもんだから、新しい奥さんかと思ってビビッた～！
　でも、声がちょっと変わった時に　aruの声だ！そう思った！　あああああ良かった～～～」


勝手に話ふくらませていた旭川の友人たちよ。ありがとう。
そうよ。一時期年賀状やめようブームを勝手に作り、後に再開したが指が疲れて友達省略したんだ。
だって、なんかいつでもその気になったら会えると思ってたし。
しかーし、時はどんどん流れ、気がつけば根も葉もない噂がでるまでになったってことだな。
いやー、年賀状あなどれん。

しばし近況報告に花が咲き。ソンファンの話しようかと思ったが知らないと思ってやめた。

でもさ、こんな昼間に自宅に電話してダンナが出るとでも思ったわけ？
－うん、韓国じゃさ、011っての　携帯電話の最初と同じなんだよね･･･で思い込んじゃったの、
　　これはダンナさんの携帯だって。ダンナさんにaruの行方を聞こうって決意したんだ！

そう、彼女は今ご主人の関係で韓国に住んでいるのであった。
（＊調べてみたら　韓国の携帯電話は　010で始まるようだ。011とちゃうやん、みっちゃん）

よし、喋るのもキリがないからメールアドレスでも交換しようや！
わたしは彼女にdocomoの携帯アドレスを教えた。
なんとも時間がかかり、彼女も必死にメモした模様。
小文字だよ！docomoの「こ」は「c」だからね、はい復唱。よし。疲れるわー。
「あのね、docomoとうまくメール出来ないないんだよね、わたしの携帯」
早く言え！
んじゃ、ホットメールのアドレス教えるからメモして。
「あのね、なんかそういうのともうまくいかないんだよね･･･よくわからんけど。
　うちね、ヤフーコリアのアドレスなんだ。だからaruもヤフージャパンのアドレス作って！
　妹（日本にいる）といろいろ試してヤフー同士なら出来るみたいなの！」
（＊みっちゃんの言うことだから正しいとは限らないし、たぶん間違ってると思う）

よし、わかった。作ってからわたしがみっちゃんに電話してアドレス教えたらいいんだよね？
番号教えて。あ、それ自宅のね、で、これが携帯ね。わかった作ってかけるよ。
時差とかない？仕事してる？日本語教えてるって？！みっちゃんが？
ちょっとちょっとー　変な日本語教えないでよね！なんか不安だよ！
「うん、そうなのさ、この　「さ」　ってのもね、　『さ』ってなんですか？って聞かれるのさ」

早速ヤフーアドレス作った。電話した。
通じないんですけど。
現在使われてないとか電波がどったらとか、通話中みたいとか。
どっちにかけても無理。みっちゃん番号間違って教えてる！もう、どーやって連絡するんー。

あーだこーだ言いながら時間をおいてはかけて奮闘してた。
その模様をずっと背中で感じていた長男が言った。
「かあさん、どこにかけてる？」　みっちゃんって学生時代の友達！韓国にいるんだよ～
「韓国かあ･･･日本じゃないよね･･･」　　

！！！！！！！！！！！！！！！！！

韓国！日本じゃない！つーことはなにかい？　こ！こくさいでんわかけるわけ？！
国際電話！　かけたことないかけたことない！
みっちゃんが教えてくれた番号は、
札幌でいえば、「011」という市外局番からで、まるでそのへんにいる友達と電話番号教えあう図。

10桁だか11桁だかの数字なんぼ押したって通じるわけないし。
早速グーグルで　「国際電話のかけ方」　を調べる。

国番号～～～～～～～～！　そんなもんあったのか～～～～～～～！
やだねやだね、45年生きてきて国番号なんて知らなかったっすよー。
で、いろいろやってみたんだけどね、なんかゼロゼロ発信が出来なくてね･･･
ダンナに話したら　静かに笑って聞いてて、かけ方　紙に書いてくれた。
ネタにしようと思ってその紙探してみたんだけど、あれ？どこだ？
ネタにする前にみっちゃんに電話しなさいってこと。
してない。紙ない。友よ、待つんだ。