「ウェブ進化論」と「ウェブ人間論」

2007年03月02日

「ウェブ進化論」はだいぶ話題になった本なので、読んだ方もいるかと思います。著者である梅田望夫氏が長年シリコンバレーでIT企業の最前線に関わってきた経験を生かして、今日の「web2.0」を読み解いた内容です。
詳しい内容は同書を読んで頂くとして、要点は①グーグル革命について、②ネットの「こちら側」と「あちら側」、③オープンソースの果たした役割、という所でしょうか。21世紀に生き、ましてやブログを書いている人間であればw必読の書です。多少おおげさな表現もありましたが、そこは梅田氏もわかっての事のようです。「web2.0」という得体の知れないものをここまでクリアに理解できる内容になっているのは、素晴らしいの一言です。

「ウェブ人間論」は、前書を読んで感銘を受けた作家の平野敬一郎氏が梅田氏との対談を行ったもの。ただ、本書については辛口の評価にならざるを得ません。序盤の第1,2章は何とか読める内容ですが、肝心の第3章以降でインターネットと文学の未来を語る場面では、平野氏はただひたすら梅田氏の論理に圧倒されてしまいます。大学在学中に芥川賞を取った平野氏ですが、この程度の見識しか持っていないのであればわざわざ対談をして、しかも本にする意味が果たしてあったのでしょうか?私の印象では、ただネットを少しかじっている文学好きの青年という以上の言葉を話せていませんでした。
従って本書は梅田氏が語るネット、文学、、、の現状と未来をうなずきながら読むしかなくなってしまうのですが、特に興味深かったのは次の2点。
①始めに「ウェブ進化論」の構成をネットで公開しようとした読者に対して、著作権を理由に差し止めをお願いしている事。オープンソースの功績をこれだけ語っている人でも、やはりビジネスがからむとそういう方向になってしまうのだな、と。海賊版への対処なら話は別ですが、基本的に丸写しでなければOKかと思うのですが。尚、本の未来については私もかなり楽観的ですが、映画や音楽については正直わかりません。PCの普及によって内容をあまりにも簡単にコピーできてしまうのが致命的に痛いですね。
②最後の方で「羽生氏が『量をある程度集めると質に転化する』というのが彼のテーゼ」と述べている事。インフラの拡充に伴う今のインターネットの隆盛ぶりからして、これは自明の事だと思っていたのですが、あくまでも羽生氏とは違う見解を梅田氏はもっているのでしょうか?


post by roque816

21:34

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