※10 最終結果

2006年02月14日

骨髄バンクから、検査結果の電話連絡が来た。
それは、コンサドーレ札幌の試合の真っ最中だった。

平日ナイター、横浜FC戦(札幌ドーム)

キング・カズこと三浦知良が移籍したばかりで、彼目当てに2万人を越える観客が入っていた。
試合開始草々に先制したものの、前半終了間際に追いつかれ、嫌なムードで折り返す。

後半20分過ぎに、その電話は来た。



「骨髄バンクのコーディネータのTです」
ホームゴール裏の熱烈サポーター席で応援していたため、周囲の喚声で殆ど電話の声が聞き取れない。
慌てて観客席の階段を駆け上がり、2階コンコースに移動する。
もう一度、電話の声に耳を傾ける。

「残念ですけど、患者さんの都合によりコーディネートが終了しました」

…私は、ドナーには選ばれなかったのだ。
力が抜けた。
思わず、冷たい床に座り込んでしまった。

患者さんの都合?
…もしかして容態が急変して移植が受けられなくなったのか!?
嫌な想像が頭の中をよぎる。
でも、骨髄バンクには守秘義務があり、患者さんの情報を一切教えてくれないので、知る術はない。

しばらく座り込んでいたが、ようやく、気を取り直し、ゴール裏に戻る。

患者さんのことを気にしても、今の私にはどうすることもできない。
私の他に、もっと条件の良いドナーが見つかったと、信じるしかない。

今現在の私にできることは、自分が応援しているチームの勝利を信じて応援すること。
しかし、懸命に応援したものの、結局、逆転されて1‐2で敗戦。

試合後、札幌ドーム周辺は激しく雷が鳴り響き、土砂降りになっていた。


※ もし興味を持って下さいましたら、日本骨髄バンク骨髄バンクドナーの輪ドナーズネットをご覧下さい。
05年夏には、元日本代表キャプテン井原正巳氏がCM出演していた。
初回から読みたい方は、こちらへどうぞ。


この記事に対するコメント一覧

rocket2号

Re:※10 最終結果

2006-02-14 16:11

うわっ!びっくりです。 イリスさんがへたりこんでいたその日、 rocket1号が骨髄提供の手術をしていたんですよ! 「俺が行かなかったから負けたんだ」と彼は言ってましたが。

イリス

Re:※10 最終結果

2006-02-14 23:49

rocket2号さん、いつもありがとうございます。 rocket1号さんの手術日が同じ日だったとは、こちらも驚きです。 何だか、骨髄移植に縁がある日だったようですね。 私も、もう一度チャンスが欲しいです。 この体験記は、結論が出たにも関わらず、もう少しだけ続きます(笑)

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