※4 家族の同意

2006年01月17日

さて、骨髄移植のドナー候補になったが、一抹の不安があった。
骨髄提供には、家族の同意が必須である。

正式なドナーになる前に、家族(既婚者は配偶者、未婚者は親)が同席した上で、
コーディネーターさんや医師から詳しい説明を受け、
本人と家族が同意書にサインしなければならない。

勿論、リスクについても詳しく説明されるのだが、
その段階になって、家族の同意が得られずに撤回してしまうドナー候補が以外と多いらしい。



自分は、一応、両親から(かなり強引に)同意を得ていたものの、当初、母はかなり難色を示していた。
直前になって撤回されないように、とにかく説得しなくては。
万が一、提供できなければ、患者さんに多大な迷惑を掛けてしまうかもしれない。

骨髄バンクには、家族に資料やビデオを貸出してくれるシステムがある。
私は、その資料を家族宛に送って貰うように手配していた。
それが届いて数日経った頃を見計らって、母に電話した。

「骨髄バンクからそっちに資料送って貰ったけど、見てくれた?…やっぱり、まだ、同意したくない?(おそるおそる)」
「いいよ(あっさり)」

えぇぇぇっ!?
一体、どういう心境の変化なのか?

どうやら母は、看護師長の経験を持つ友人に相談したそうだ。
で、いきなり怒られたらしい。
    なんで賛成してあげないの?
    親のあんたが応援してあげなくてどうすんの?
    心配しないで大丈夫だから…等など

私にとって、思わぬ援護射撃だった。初めて賛成してくれる人がいた。
凄く嬉しかった。

骨髄提供によって助かる命があると言っても、所詮は他人事。
どこの誰だか分からない赤の他人より、
やはり、自分の家族に「何か」があっては嫌だと感じるのは、正直な気持ちだろう。

しかし、実際は、提供者に「何か」が起きる可能性はかなり低い。
必要以上に、おそれることはない。

自分のほんのわずかな勇気で誰かを助けることが出来るのなら、
…私は前に進みたい。

私は、母の友人に次の言葉をお伝えしたい。
賛成して下さって、しかも、母を説得して下さって、本当にありがとうございました。


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