最後の忠臣蔵

2010年12月11日

先週の木曜日、共済ホールで映画「最後の忠臣蔵」の試写会を観てきました。映画の設定は、吉良邸討入りから16年後。原作は池宮彰一郎。2004年にNHKでドラマ化されています。

大石内蔵助をはじめ赤穂浪士47人は、仇討ちを成し遂げ切腹しますが、内蔵助から密命を与えられた2人の生き残りがいたという設定です。一人は、討ち入り前夜に行方不明となった瀬尾孫左衛門。もう一人は、討ち入り後切腹を許されず、生き証人として後世に真実を伝え、浪士の遺族を援助するよう使命を与えられた寺坂吉右衛門です。

討入りから16年後、吉右衛門は、諸国を訪ね47士の最後の遺族に会い、京に戻りますが、偶然、孫左衛門を見かけます。孫左衛門は、美しい娘と暮らしていました。だれでも察しが付く内蔵助の隠し子ですね。彼の使命は、内蔵助の遺児・可音を立派に育て上げることです。つまり、吉右衛門の役目は、永遠に続くわけですが、孫左衛門の場合は、切りがあるわけです。彼にとっては、可音を名家に嫁がせるのが切りですね。内蔵助は孫左衛門に「そちの命を拙者にもらえぬか」と頼むわけだし…。

可音は孫左衛門や吉原の花魁だったゆうにより姫君に相応しい躾やお稽古ごとを身につけ、やがて16歳の麗しい姫君になります。そして、人形浄瑠璃を観に行った際に豪商茶屋家の嫡男に見初められます。孫左衛門と暮らしたいと駄々をこねる可音。しかし、自分の定めを知り嫁入りを決断します。祝言に向う籠の列に加わる旧赤穂藩士たち。

孫左衛門の裏切りの汚名も晴れ、めでたしめでたしなのですが、孫左衛門は、祝言の最中に自家に戻り切腹しちゃいます。嫁入りの日に切腹。愛しい可音はどうなるわけ。そりゃないでしょう。姿をくらまして、どっか人目のつかない場所で腹切ればいいだろうに。その方が、まだ理解できますよ。エンドロールを見つめながら、とても暗い気持ちになりました。

映像はなかなか綺麗でした。でも2時間15分は長いですね。時々挿入される人形浄瑠璃も必然性を感じません。高名な方々が、この映画に賛辞を送っているようですが、私はお勧めできません。


20101211-00.jpg  2010年日本映画(133分)
  監督:杉田成道

  出演
  役所広司(瀬尾孫左衛門)
  佐藤浩市(寺坂吉右衛門)
  桜庭ななみ(可音)
  片岡仁左衛門(大石内蔵助)
  安田成美(ゆう)