レオニー Leonie

2010年12月06日

日曜日、札幌シネマフロンティアで映画「レオニー」を観てきました。この映画は、彫刻家イサム・ノグチの母親レオニー・ギルモアの生涯を描いた作品です。イサム・ノグチといえば、大通公園のブラックスライドマントラ(滑り台)やモエレ沼公園の作品を思い浮かべますね。札幌市民には身近な存在です。

この映画で、レオニーは、かなり個性的な女性として描かれています。自分勝手で頑固といえるかも知れません。編集者志望の彼女が知り合ったのが、詩人・ヨネこと野口米次郎です。彼の編集者として働くうち、二人は愛し合いやがて彼女は身ごもりますが、ヨネは米国で高まる日本人差別を口実に単身帰国します。

レオニーは、母アルビアナを頼りカリフォルニアに移り住みますが、イサムがいじめられるのを知り、ヨネを頼り日本に渡ります。しかし、ヨネにはすでに妻子がおり、愛人のごとき扱いに怒り、自活することを決心します。その後、日本は戦争への道を進み、息子の徴兵を案じ、イサムを単身渡米させる決断をします。

この間の生活でイサムのアイデンティティは確立したのかと思います。彼は日本人であり米国人ですが、そのどちらでもないと思っていた気がします。まあ、結局イサム・ノグチという名で芸術家デビューしたので、違うかも知れませんね。映像がとても綺麗で、日本の描写もまともでしたが、深みを感じない作品でした。淡々と描かれているといえば、それまでですが。あと、ヨネ役はほかにいないのかな…。

とにかく、レオ二―の決断のすべてが、イサム・ノグチを世界的な芸術家にしたことは確かだと思います。息子のためには、疎遠になっていた大学時代の友人キャサリンや決別したヨネに無心するのは、些か勝手な気もします。また、13年間も日本で暮らしたのに、日本語が話せなかったとは信じられません。

脇役ですが、イサムに大工仕事を教える頭領役の大地康雄や女中役の吉行和子と山野海の演技が印象に残っています。特に山野さんは凄い。ブログも面白いですよ。そのほか、豪華キャスト多数出演です。映画の前半で時々挿入される彫刻に没頭するイサム役に勅使川原三郎。評価は★★★☆☆!


20101206-00.jpg  2010年日本・アメリカ合作映画(132分)
  監督:松井久子

  出演
  エミリー・モーティマー(レオニー)
  中村獅童(野口米次郎)
  メアリー・ケイ・プレイス(アルビアナ)
  クリスティーナ・ヘンドリックス(キャサリン)