必死剣鳥刺し

2010年07月03日

6月29日、共済ホールで映画「必死剣鳥刺し」の試写会を観てきました。

原作は、藤沢周平。「隠し剣」シリーズの一編ですが、凄いタイトルですね。「必殺剣」じゃなく「必死剣」。間違いなく死ぬわけですね。劇中、主人公の兼見三左エ門が、この剣を使うときは、ほとんど死にかけていると呟くのですが…

冒頭、能を楽しむ海坂藩主・右京太夫と側室・連子。このシーンが長い。嫌な予感。イライラする勿体つけた演出なのか。結論から言うと、テンポの悪い映画でした。上映時間はほぼ2時間ですが、100分ぐらいでよかったのでは…

さて、能が終わりご満悦で席を立つ連子を刺殺する兼見。何でこうなるの。藩の財政難を顧みず、遊蕩三昧の連子。かといって、なぜ兼見が殺人に及んだのか、最後まで、明瞭な説明はありません。

誰もが、兼見の斬首は免れないと思ったのに、中老・津田民部のとりなしで、1年間の閉門を申し付けられます。津田は何を企んでいるのか。右京太夫は、なぜ延命を認めたのかですね。それには、別家の帯屋隼人正が関係しています。隼人正は、右京太夫の民を苦しめる奉りごとに怒っているわけで…。

兼見は、閉門をとかれ、亡き妻の妹・理尾と静かに暮らしていたのですが、2年後、何故か近習頭取という藩主の側用人に取り立てられます。時を同じくして、怒りの頂点に達しつつある隼人正。隼人正は剣の達人で、彼と渡り合えるのは、兼見だけ…。

まあ、見どころは、兼見と隼人正の一騎打ちであり、藩士たちと兼見の壮絶な殺陣でしょうが、何か気分が暗くなりました。兼見の亡き妻・睦江の思い出や兼見を思う姪・里尾の心情も描かれていますが、あまり慰めにはなりません。そもそも、兼見役の豊川悦史の表情のない演技がなあ…。

山田洋次監督の「隠し剣鬼の爪」や「武士の一文」のような作品を期待すると、がっかりすると思います。現に私はがっかりしました。


20100703-01.jpg  2010年東映(114分)
  監督:平山秀幸

  出演
  豊川悦司(兼見三左エ門)
  池脇千鶴(里尾)
  吉川晃司(帯屋隼人正)
  戸田菜穂(睦江)
  村上淳(右京太夫)
  関めぐみ(連子)
  岸部一徳(津田民部)
  あと兼見の同僚役で小日向文世