オーケストラ! Le Concert

2010年04月30日

きょう、札幌劇場で映画「オーケストラ!」を観て来ました。かなり、お勧めの映画だと思います。

映画が始まると、いきなりボリショイ劇場で交響楽団の指揮に没頭する男が映し出されます。かつて天才指揮者と呼ばれたアンドレイ。ブレジネフ政権下、楽団から解雇されるユダヤ人を助けようとしたため職を追われ、いまは清掃係として働いています。でも、彼には夢がありました。

ある日、アンドレイは、パリのシャトレ座から送られてきた公演依頼のメールを見つけ、かつての仲間と、ボリショイ交響楽団になりすますという計画を思いつきます。そして、チェリストのサーシャと楽団員を集めます。シャトレ座との交渉には、かつてアンドレアの指揮棒を折り、演奏会を中断させたイワンがあたることに…。

30年間、ステージから遠ざかり、色々な職業についていた仲間たちは、快く彼の提案に応じます。演目は、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲第1番。ソリストには、人気絶頂のアンヌ=マリー・ジャケを指名します。理知的な顔立ち。美人です。

随所に笑いを交えながら、感動的な物語を紡いでいく監督のミヘイレアニュには感服です。旧ソ連や共産主義、さらにはロシアの石油王まで茶化すのは、彼がルーマニアから亡命したユダヤ人だからでしょうか。

ラストの12分間に及ぶ演奏シーンは、圧巻です。演奏が解きほぐすように、謎が明かされていきます。曲が始まり下手な演奏にあきれる観客ですが、アンヌ=マリーのソロが始まると、まるで魔法がかかったように、素晴らしい演奏があたりを包みます。この瞬間のために作られた作品といっても過言ではありません。その後、幾重にも重なる気品に満ちたメロディ。夢がかなったアンドレイ。頬をつたう涙。

演奏が終わり、スタンディングオベーション。そして、アンドレイとアンヌ=マリーの二人の横顔のカットでエンドロールです。この何とも、潔いエンディング。トレヴィアン!

シャトレ座の支配人オリヴィエ役で、フランソワ・ベルレアンが出ています。絶妙のスパイスです。

映画って本当に素晴らしいですね☆


20100430-00.jpg  2009年フランス映画(134分)
  監督:ラデュ・ミヘイレアニュ

  出演
  アレクセイ・グシュコブ(アンドレイ)
  ドミトリー・ナザロフ(サーシャ)
  メラニー・ロラン(アンヌ=マリー)
  ヴァレリー・バリノフ(イワン)