ウチの小さな鉄ちゃん

2006年08月25日

えぞももんがのドイツ日記10

我々の友人の子供に鉄道大好きな兄弟がいる。我々の間では秘かに「ウチの小さな鉄ちゃん」と呼ばれている。
ドイツで鉄道にのって 面白い事実に突き当たる度に「ウチの小さな鉄ちゃんに知らせてやらねば」と話していた。


その「ウチの小さな鉄ちゃん」のために 今回は鉄道のおもちゃを買って帰ろうと思っていた。
ドイツ人にとっても鉄道は自慢の物だと聞いていたので 駅などで簡単に手に入るだろうと思っていた。
がしかし、デパートに行っても、駅のお土産屋に行っても、駅のおもちゃやへ行っても、ミニカーはあっても鉄道のおもちゃがない。最初は ちょっとしたおもちゃやへ行けばあるだろうと高をくくっていた。大きな駅では逆に細分化されていて無いのかもしれない、やや小さめの駅のお土産やならあるはずなどと いろいろ店に入ってみるものの あるのはミニカーばかり。
あった!列車だ!と思ってみてみると「機関車トーマス」。これはドイツの物じゃないじゃないか。

大きなおもちゃやへ行くと、すっごく高くて精巧ないわゆるAゲージなどの玩具はあるのだけれど、これはお土産に買える値段ではない。
ドイツ人は、鉄道が自慢なだけに 半端なおもちゃは許せないのだろうか。それとも鉄道おもちゃ専門店というのがあるのだろうか。どちらにしろ探せなかった。

結局、形状が似ている「バス」でお茶を濁すことになった。荷物を送る時に、せめてもと言う気持ちでドイツ鉄道の車内でもらえるパンフレットや時刻をプリントアウトしたものなども入れておいた。
 「ウチの小さな鉄ちゃん」達はバスでも喜んでくれたらしい。良かった良かった。
おまけのパンフレットなどは 全く反応が無かったので つまらなかったのだろう。当然だ。
確かに 乗ったことがあるわけでも無く、ドイツ語でかかれている あのパンフレットは単なる紙くずだよね。当然だ 当然だ。

ドイツ鉄道、乗れば乗るほど 君たち早く「大きな鉄ちゃん」になって 自分で乗ってみなさい!と「ウチの小さな鉄ちゃん」に言いたくなるのでありました。
まぁ、大きくなればいいのであって「鉄ちゃん」でいる必要はないのだけどね。

鉄ちゃん:鉄道マニア・鉄道おたく の愛称。 隠れも含めると鉄ちゃんはかなり多い。ざっくり言って小さな男の子の44%くらいが鉄ちゃんである。車も含めた乗り物好きに範囲を広げると男の子の82%くらいになる。女の子には鉄ちゃんがとても少ないのが興味深い。
(実は細かい数字に余り根拠は無い)


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22:53

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ドイツ鉄道万歳! その2

2006年08月24日

えぞももんがのドイツ日記9

駅の設計や列車の設計 それらの物は 日本と違うところも多くて、成長の歴史や何を重要に思うのかという文化の違いや旅の違いを感じさせる。
国民性は似ていると言われる 日本とドイツだけど、こんな所もこんな所もと 違いの面白さが見えてくる。


<街からそのままプラットフォームへ>
ヨーロッパの鉄道はみんなそうなのだけど、日本で言う改札というものがない。外と中を区切る物が無いので列車を降りるとそこはもう街。ここら辺が駅 と言う漠然とした区切りはあるものの、道を歩いていく延長線でそのまま列車に乗れる。駅に通じる地下道みたいな所を歩いているといきなりホームが出てきた時は驚いた。
改札がないので、指定券などの付いていない切符には乗る人自身がスタンプ機で日付をスタンプするらしい。

改札の替わりに検札がある。列車が走り出すと 車掌さんが回ってきて切符を確認していく。無賃乗車はここで見つかると 罰金が科せられるそう。ちなみに、街を走るバスや地下鉄も同じ。乗り口にも降り口にも切符の回収箱も銭箱もなく、各人が切符を持っていればOK。これまた抜き打ちで検札があって、そこで持っていないと罰金が科せられるらしい。バスや地下鉄には結構乗ったけれど、検札には一度も会わなかった。
言葉が通じないのに「切符をもっていないのか!罰金払え!」などというトラブルに対処できる自信も無いしで 我々はまじめに切符を買って乗っていた。しかし、これが普通なのかどうなのか疑問だ。本当に皆 きちんと切符を買って乗ってるの?バス停や地下鉄などで切符を買っている人が少なかった。もちろん、1日券や定期券などもあるのだろうから 必ずしも皆が買わなくてはいけない人ではないだろうけど。

改札が無く、プラットフォームの中と外が分かれていないのは 快適。ちょっと買い忘れたお水を買いに走るのも、乗り継ぐべき列車が遅れていて時間をつぶすのも そのまま外に出て行ける。
家族のお見送りに来た人も、別れを惜しむ恋人達も、列車のすぐそこまで来れる。逆に言うと、怪しい人もすぐそこまで来ることができるのだけど。
この何気ないまま 国境を越える列車に乗れるのだと思うと 本当に不思議。
いまや ユーロ圏内は県境ていどの差しかないけれども、国境を越えると言葉も文化も違う国がそこにはある。また、ユーロに加盟していない国に行く時には、今でも国境の車内でパスポートチェックがあるのだろう。そんな列車にも 自由に乗ることが出来る。
日本なんて、在来線の改札を通った後、さらに新幹線用の改札を通らないと新幹線に乗ることができないと言うのに!

<文化が違う車内設計>
日本の新幹線にあたるICEや特急にあたるCEは2等でも十分快適。席の座りごこちも良いし、向かい合った座席の間にかなり立派なテーブルが配されている席もあって、ビジネスマンはパソコンを広げてなにやらはじめ、学生はサンドイッチとコーヒーを広げてランチしていた。
そして、多くの長距離列車についているのが 自転車格納庫。それは2等車両からガラスの扉で区切られたスペースで車輪を固定して自転車を運べるようになっている。さすがヨーロッパだ。遠い場所まで列車で行って 現地で自転車を下ろして自転車で旅を続ける そんなことが自然に出来るようになっている。

2等車両にもいくつかのコンパートメントがある。その中で目を引いたのが、お子様連れのご家族向けコンパートメント。大人用の座席4席は間にテーブルを挟んだタイプ。その背中側に お子様用の席。よく公園で見かける遊具で 木馬の足元が強力バネになったようなもの。子供がまたがって前後左右に身体を揺らして遊ぶことが出来るものだ。これと、黒板などがついたちょっとしたおもちゃ。こういったものが詰まっている。
2等の車内でこんな立派なコンパートメントがあるなんて。長い時間 狭い空間に退屈する子供を快適に運ぶ。これなら列車が好きになるだろうなぁ。
ドイツのおもちゃは本当によく出来ていて、子供が怪我をしたりと言うことが無いように考えられていると聞いていた。子供と子供連れに対する姿勢が列車の設計にも現れている。

素晴らしいぞ ドイチェ・バーン。


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22:42

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ドイツ鉄道万歳! その1

2006年08月23日

えぞももんがのドイツ日記8

はっきり言って 私は乗り物に酔う。激しく酔う。体調が悪い時は、ほんの10分のドライブでも酔うほどだ。
旅は好きだけれど、乗り物に乗る前はかなり緊張もするし、体調を整える、食事を控える、薬を用意するなど諸々の準備をする。乗り物は、どこかへ行くのにしょうがないから乗るものと言う度合いが高い。

それが、ドイツに限っては ドイツ鉄道万歳なのだ。
ドイツに行ったら 是非またのりたいドイツ鉄道 ドイチェ・バーン。


<一緒に行動しよう>
ドイツは鉄道のみならず、公共交通が判りやすくて使いやすい。フランクフルトの市内を走るバスも地下鉄も鉄道も全て同じところが経営していて、一定区間内乗り放題のチケットなどの種類も多い。なかでも不思議だったのは、一緒に行動する人用チケットの料金設定。
例えば、ハイデルベルグ市内を24時間乗り放題の1人用チケット「24」は6ユーロ。これに対して5人まで使える「24+」は8ユーロ。どうして1.3倍の料金で5人まで大丈夫なのだ?本当?本当?と思いつつ「24+」を2人で使ったのでした。
乗り放題チケットは、万が一乗り間違えても大丈夫という心のゆとりができるのが一番の利点。

今回の旅で使用したのはユーレイルパスのドイツ版、ジャーマンレールパス。これは新幹線も特急も含めてドイツ国内の全ての列車(近距離と地下鉄などは除く)・ライン川の観光船が乗り放題になるもの。ドイツへ行く前は 料金的にお得ということで購入していったけど、使ってみると「乗り間違えても大丈夫」なゆとりがありがたかった。
ちなみに、このジャーマンレールパスも1.5人分の料金で2人が乗れるペアチケットを使用。

<ご案内ありがとう>
外国で列車に乗る際、一番のネックが時刻表。どのくらいの時間がかかり、どんな列車が走っているのか。行く前にインターネットで調べていくことも可能。ドイチェ・バーンのHPで乗り換え検索から時刻表・乗り換え駅から出発到着のプラットフォームまで調べられる。
我々も基本的なモデルプランを作成してプリントアウトしていった。
このプリントアウトを車掌さんに見せれば 違った列車に乗っていないかなど 言葉は通じないながらも意志は通じる。

ドイチェ・バーンが素晴らしいのは、この乗り換え検索のHPで出来ることが 駅にある券売機で出来ること。小さな駅のホームにある券売機の中にはこの機能が付いていない物もあったけれど、ほとんどの券売機にはタッチパネルが付いていて、自分が乗りたい駅・降りたい駅を入れて検索すれば、時刻・乗換駅・プラットフォームなどが数種類提示される。そして必要に応じてプリントアウトすることも可能。もちろん、決めた列車の切符を買うことも出来るし、買わずに済ませることもできる。券売機は駅に通じる通路からプラットフォームまで 方々に置いてあって、どこででも検索可能。
W杯期間中ということもあって、主な券売機にはボランティアの人がついていて この操作を代行してくれたりもしていた。しかし、やってくれているのを1回横で見ていれば自分でもできるくらいの簡単さ。日本語が無いのが残念だけど、ドイツ語以外にも英語・フランス語・イタリア語・スペイン語などの言語が選べるので ゆっくりやっていけば自分の必要な情報が導き出せる。ドイツ人にドイツ語はもちろん、英語でも 自分の意思を確実に伝えられる自信など全く無い我々は、窓口に尋ねるよりもよっぽど素早くできた。

この自動券売機 というより チケットも買うことができるインフォメーションボードは本当に素晴らしかった。旅先での 自由な計画変更や 急に思い立って途中の街に降りるなどの組み換えに何度もお世話になった。

ドイツの鉄道は正確だ と思っていたけど、10分遅れ、20分遅れなどは結構あったし、その乱れに伴ってプラットフォームの変更もあった。しかし、プラットフォームの掲示版を見ていると変更などがわかりやすく表示されていた。この辺の正確さがありがたい。
ドイツ語のアナウンスなど全く判らないにも 自由に列車で旅が出来るのは こんな一つ一つの表示のお蔭だ。車内でもドイツ語のアナウンスの後に英語でのアナウンスが流れていた。
ヨーロッパは地続きで、列車も国境を越えていろんな国を走っている。我々が使った列車の中にももオーストリアまで行くICE(新幹線)があった。
そんな状況だから、インフォメーションボードはいろんな国の言葉が選べ、車内のアナウンスでも2ヶ国語で話されるのだろう。
英語は決して得意ではないし、こちらの意思を伝えることは難しいくらいのレベルだけど、聞いても全然判らないドイツ語よりは 言葉を拾うことが出来る。そんな旅行者にも判りやすかった。

素晴らしいぞ、ドイチェ・バーン。


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23:04

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結局かなわないのか

2006年08月22日

えぞももんがのドイツ日記7

驚きは 小さなカツレツくらいでは済まなかった。

W杯観戦ツアーのメンバーの宴会でアップルワインの老舗で伝統的なフランクフルトの料理をいただく事になった。
皿数としては、コーンスープ、酢キャベツの盛り合わせ、アイスヴァイン、デザートとたいした皿数ではない。


このアイスヴァイン 豚肉を塩蔵してその塩を洗い流してゆでた物。問題は大きさ。原始人が手に持っている骨付き肉を想像していただきたい。私の頭の中にはもっと具体的に「はじめ人間ギャートルズの肉」という言葉が浮かんだ。判らない人は周りの大人に聞きましょう。
1キロから1.5キロはありそうな骨付き肉。ウサギ1羽がうずくまったくらいの大きさ。これは1テーブル分なのねと皆が納得している所 どんどん皿は運ばれて 1人用だと悟る。
食べたかった物だし、美味しいのだけど、段々と 皿との戦いのようになってくる。
これを1人で食べるような人達とサッカーの試合をして勝てるはずが無いではないかという気がしてくる。

見回してみると、ドイツでは杖をついた年配の人が目に付く。年を取るとどんどん腹回りを中心に巨大になっていく人が多いということから 膝にかなり負担がかかるのかもしれないと思ってみたり。もちろん、日本にも同じように巨大な方はいるのだけど杖をつかないとか、外にはでないとか別の理由があるのかもしれない。
ドイツ人は杖をついて積極的に外に出て 人とかかわり、楽しい生活を送っているのかもしれない。事実、年配のカップルが地域の食堂で楽しそうに食事をしている様子などを沢山見た。

それにしても ドイツ人 あんなに食べるとは。
食べ盛りの10代の男子はどんだけ食べるのか ちょっと見てみたい。


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21:31

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シュパーゲル

2006年08月22日

えぞももんがのドイツ日記6

6月は北海道でもアスパラが旬だけど、ドイツでも初夏を知らせる食べ物のとしてアスパラガスが大人気。このアスパラガスをドイツ語でシュパーゲルという。
ドイツのアスパラはほぼ全てがホワイトアスパラ。
この旬のシュパーゲルをぜひ食べてみたいものだと思っていた。


さて、昼時だし何を食べようか と思っている時に目に飛び込んできたのがホワイトアスパラの写真。ここだ、ここだ、ここにしよう!と決めたお店に入る。
メニューの皿に20本ばかりのっている写真に、これ位いけると思うよという相方。 「ちょっと待って、ここはヨーロッパ。彼らは何しろ食べる量が我々とは違う。もしも足りなかったら どこかでビールでおやつにすれば良いからここは少ないものを頼もう」と提案し、アスパラ15本程度の小サイズ皿と「小さなカツレツ」というシロモノを頼む。もちろん白ワインもね。

さて、出てきたアスパラを見て驚いた。直径3~4センチ(イヤそんなに太くない、最大で直径2cm程度byアナベル)、長さ30~35センチのホワイトアスパラ それがシュパーゲル。それが15本積みあがっている。お願いだから写真にはメジャーを一緒に入れてください。
そして、「仔羊の小さなカツレツ」は長い辺が22センチ、短い辺が12センチ位のしろもの。確かに叩いてあるので厚みは無いけれど、小さくは無いだろう、これは。お願いですから写真にはメジャーを一緒に入れてください。
これで普通のカツレツを頼んでいたら 大変辛いことになっていたはず。怖い物見たさで普通のカツレツを見てみたい。
お店を出る時には 本当におなか一杯になっていたのでありました。

ドイツで街を歩くと、街の中心にちょっとした広場「マルクト広場」がある。これは「マーケット広場」のこと。毎日だか毎週だかは解らないけれど、現在もそこには市が立つ。午前中に到着するとまだ市が立っていることがあった。市場でも 野菜屋さんの店頭にはシュパーゲルが山になっている。これまた太くて長い。日本で売られているアスパラが本当に小指の太さに見える。贈答用のアスパラでもあんなに太くは無い。何が違うのだろう。土?品種?気候?何が違うのか、とにかくでかいシュパーゲルでありました。

そして お味は、北海道産の贈答用ホワイトアスパラを正しいゆで方で茹でた物と同じ。ほんのり苦味と、しっかりとした旨味で大変おいしゅうございました。
大きさだけが大きいのがとっても不思議。


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07:29

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ボンは中津川村状態

2006年08月21日

えぞももんがのドイツ日記5

G-Jumpsができているというボンにも行ってみよう!という事で、ケルンからボンへ。
多分、G-jumpsができていなければボンには寄らなかっただろう。


ボンの駅を出ると 街にはSAMURAI BLUEの旗が一杯。商店街も 街頭にも、一般住宅とおぼしき窓にもはためいている。窓だけではなく、小学生の集団が腰に巻いたり マントのように羽織ったりしている。彼らは毎日そうしているのだろう。
SAMURAI BLUEの旗はG-Jumpsで無料で貰えるものだけど、町中が歓迎してくれている気がしてとても嬉しい。ありがとう、ありがとう。
多分、ボンの人々も こんなことがなければ日本の正確な位置も知らない人が多かっただろう。私もボンの位置を正しく把握できたのは ここに来ようと列車に乗ったからだ。

我々もSAMURAI BLUEの旗とネックストラップを貰って、記念にした。

ちょっとうだった夕暮れ時、列車に乗ろうと駅に向かう我々に、自転車に乗った小学生が恥ずかしそうに「コンニチハ」と言って来た。とっさに私は笑ってしまったが、相方は「こんにちは!」と返していた。そうだ、「こんにちは」と返すべきだった。君は正しい。

ほんの少しふれあいだけど、W杯が運んでくれたそんな一コマがとても嬉しい。


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19:32

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お取り寄せは贅沢か

2006年08月20日

えぞももんがのドイツ日記4

  ドイツでは大きな町があると言うよりは、小さな町が沢山寄り集まって出来ている感じだ。
ドイツと言えばビールとソーセージだけど、ドイツのビールは地ビールが基本。ドイツ人はビール工場の煙突の影が落ちる範囲内で飲むべし というらしい。鮮度が命。
その町その町に違ったビールがある。違ったビールを呑みたければ他の街に行かねばならない。逆に言うと、同じ町にいる限り そこのビールしか味わえない。
列車で20分走っただけでもう違うビール。


 実際、我々は列車で20分程のケルンとボンに行ってケルンではケルシュを、ボンではボンシュを飲んだ。ケルンでは午前中からまだろくにお店が始まっていないお店に入り、身振りなどでケルシュを飲ませてと頼んだはずが、まぁ座れと指された待合席のようなところで待つことしばし。
 おやじはずっと仕事をしている。あのぉ、我々ケルシュが飲みたいんだけどと再びお願いすると「何だそうだったのか」とばかりに小さなカップに入ったケルシュを4つ持ってきてくれた。やや酸味の勝った味のケルシュ。180ccしか入らないグラス4つはあっという間に空。「もっとどうだ」という親父の表情に「お願いします」と返す。ドイツ語を解さない東洋の端っこの人間と 日本語を解さないビール屋の親父とのやりとり。それでも意思は伝わる。再びビールを持ってきた親父は紙のコースターに何か書いていった。紙のコースターには落書きのように縦線4本を束にくくって さらに1本。
 これはドイツではよく見かけたシステムで ツマミは伝票につけるがビールは伝票にはつけない。何杯呑んだのか運んで来るたびにコースターに印を付けていって最後にそれを集計する。コースターには日本では「正」と書く所を、西洋人は縦線4本を5本目の斜めの線でくくっていく、その記入方法で何杯飲んだのかを確認する。回転寿司で皿数を数えるような物だね。
 ボンで飲んだボンシュはやや力強い感じの味わい。ここでもまた小さなグラスを何杯という単位で注文していく。

ソーセージもしかり。もちろん、ビールほどではないにしても、その町その町に伝統の味がある。町の人は自分の街の自慢の品を毎日食べている。

 ドイツにいる間、かなりのビールを呑んだ。昼も夜も飲んだ。丁度 天気が良くて 気温が高かったせいもあるけれど、あの乾燥した空気がビールをうまくしている。鮮度がいいこともそうだし、この空気の中にいるからビールがうまくなる。
 余談だけれど、W杯本会場のビールはドイツの地ビールでは無い。スポンサーのアメリカ産ビールが供されている。かなり残念。

 今日は和食、明日は中華、あさってはフレンチといろいろな国の料理が食べられ、お取り寄せで行ったことが無い土地の料理も食べられる。しかし、それはそれ風のものを食べているに過ぎないのではないか、結局はその場所に行って食べないことには 本物を味わうことはできないのではないかと思えてくる。隣町の物が食べたかったら 隣町に行けばいい というのは 本当はとっても贅沢なことなのではないだろうか。
 沖縄で食べる沖縄料理と 北海道で食べる沖縄料理はやっぱり違う物だ。

 実際にはフランクフルトはビールではなくワインやアップルワイン(日本で言う焼酎のような庶民的なお酒)が主流の土地。もちろん、アップルワインも頂いた。そのお話はまた次の機会に。


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20:58

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完全アウェーのパブリックビューイング

2006年08月18日

えぞももんがのドイツ日記3

 ドイツに到着した日は 日本の第2戦 クロアチアとの対戦の日でした。
 すぐ近くで試合が行われるにもかかわらず チケットを手に入れられなかった我々はフランクフルトのパブリックビューイングで観戦することにしていた。


 試合の開始は15時だが、早朝には着いてしまった我々は特にすることも無く、パブリックビューイング会場を下見しに行くことにする。
 日本にいる時にフランクフルトにあるマイン川の中州のような所に 大型ビジョンが設置され、河の両岸から試合を観戦する様子がTVで流れていた。あそこで試合を観ようと思っていた。場所ははっきりしないものの いろんな人の知識を総合してここだろうと思われる場所に行ってみる。
そこはW期間中 FIFAのファンフェスをやっていて さながら移動遊園地のようになっていた。しかし午前中から人がいるはずもなく、寂しい開園前の遊園地。大型ビジョンを見ることができる場所には階段状の席が作られている様子がみえる。がしかし、その場所にはバリケードが出来ていては入れない。そばにいる人に聞いてみると、12時からOPENだという。そりゃそうだ。試合は15時開始だもの。

 しょうがないので昼ごはんを済ませてから 再度向かうことにする。なぁに、試合は15時開始だしと思って14時位を目安にいってみると とんでもなかった。出入り口は 保安上の理由で 一人ひとりボディチェックと手荷物検査を行いながら入れている為 長蛇の列。と言うよりじょうごの様に広がっているので 人の群れ群れ群れ。
大変長らく待った後 会場に入るとすでに席は1席もあまってなどいなかった。人が居ないところは席の無いところ。
せっかくここまで来たのだし、会場にはビールを売るお店もあるし、ここで見よう。いわば かぶりつき 最前列の川岸のフェンスのあたりに陣取って 立見席確保。と言う所で改めて見回してみると、辺りはクロアチアサポーターばかり。日本の青い色はほとんど見えず、赤白のチェッカーばかりが目立つ完全アウェー状態。もちろん、我々が陣取ったあたりの両側も赤白チェッカー。そりゃそうだ。日本からやってくるんだったらフランクフルトなんぞでパブリックビューイング見てないで ニュルンベルグに行けという感じだ。
もしかしてこれはちょっと怖い?日本が勝っても ひっそり騒がない方がいいかなぁ、などと心配する。しかし、開始時間も迫ってきてるし、警官も頻繁にみまわっているようだ、ここで見るか。
デポジットカップのビールも買ってきて観戦体制。
 なによりとても良いお天気で暑いし、半袖から出た腕がじりじりと言っている。しまったもっときちんと日焼け止めを塗ってくるべきだった 後の祭り。帽子はかぶっていたものの、つばの陰にならない部分もじりじりいっている。

 試合が始まってみると、大型画面の中の青のユニフォームの動きに 騒がない方が良いかなどという抑制は吹っ飛ぶ。回りも我々も大いに騒ぎつつ観る。もちろん、PKを取られた場面では頭を抱え、その後の川口の神がかりセーブには両手を高々と掲げて叫んでいた。柳沢が外した場面で案委を言ったかはここには記さない。

 終わってみれば、無得点ゲーム。終了の笛が吹かれた時にはがっくりとひざを突きそうだった。そのまま 力弱く出口に向かう。
とぼとぼと出口をでると次の試合を観る為に入れ替えを待っている人の群れが見えていた。そうか、次の試合もあるんだものね。今から入れ替えだねと思っていた。思いながら出た後 気が付いた。次はブラジル対オーストラリアだった。しまった、これも見逃せない対戦カードだった。あの会場に残っていれば 入れ替えの隙に席を見つけることは簡単だったはず。しまった。思った時には既に会場を後にしていた。
 しかし考えて見れば、我々はなにより覇気が無かった。ドイツに着いた早々だったし、炎天下で叫び騒いでいた。はっきりと疲れていた。帰ったほうが正解だ。

 95%がクロアチアサポーターではないかと思われる 圧倒的アウェーの雰囲気の中、親切にされることはあっても、意地悪など全然されなかった。どうもありがとう ありがとう。

 真っ赤に日焼けした腕には真っ白な時計のあとが残っていた。 真っ赤な部分は真っ黒に変わって、白い部分はそのまま 2ヶ月経った今も残っている。


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22:44

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プレッツェルをつまみに

2006年08月18日

えぞももんがのドイツ日記2

ドイツに行って何が嬉しかったって、W杯がまともな時間にやっていること。
開催国なのだから時差が無いのは当然なのだけど、深夜はまだしも、早朝に起きて観戦する必要がないというのはとても快適。まぁ、仕事をしていて 仕事を休まないと見ることができない時間に試合があるよりは、深夜・早朝のほうが良いといえばいいのですが。


ドイツで5泊した我々は 朝は早くからドイツ鉄道に乗って 観光へ。夕方くらいになると息切れしてきて 早めに夕食。
夕食の帰り ぶらぶら帰ってくると ちょっと小腹がすいてくる。
そこで、ホテルの近くのプレッツェル屋でプレッツェルとビールを買って 部屋へ帰る。
部屋でブレッツェルをかじりながら W杯をTV観戦する。

どうして開催国に居ながら TV観戦?なんてことは日韓大会を経験した人ならば聞かないでいてくれるでしょう。ただ、同じTV観戦でも やっぱり開催国は違う。
翌朝、ゴミや壊れた物で一杯の街を見ると、あの国のサポーターが暴れたに違いないとか、本日観光に出かけた街で いやにメキシコサポーターを見ると思ったら その日に近くで試合だったり。
ドイツが試合をやっているその日には、ドイツ中がそわそわして仕事になんてなりゃしない。
そんな風景が見える。それが開催国でW杯を感じつつ試合を観る楽しみ。

話は戻って プレッツェル。
日本ではなかなか売っていないが、塩味のベーグルとパンの中間のようなもので、ひらがなの「め」のような形をしている。パン屋の「アンデルセン」「リトルマーメイド」などのシンボルマークにも使われている形。この細い部分は香ばしく、太い部分はもっちり。つやつやとして表面には塩の結晶がついている。
これが何故かビールによく合う。食事の後にビールとパンというとぴんと来ないが、プレッツェルとビールなら結構いける。
紙袋から熱々のブレッツェルをちぎってほおばりながら 合間にビールを飲む。何故だか後を引く、止まらない味。ちょっときつい塩味がビールを誘うのだろうか。もちろん顔はTVを向いている。
狭いホテルの部屋ながら なんだか幸せな気分になってくる。

たった数日の滞在ながら「なじみ」の店が出来てくる。
夜にホテルに帰る前に、今日もあの店によって帰ろうか そういう毎日が何より楽しい。


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21:09

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ドイツ家事の神髄みたり

2006年08月17日

えぞももんがのドイツ日記1

我々メオトは2006年6月に行われたW杯ドイツ大会を観にドイツまでいって参りました。
その道中で見たこと、感じたことなど。
                 (アナベル談 えっ、今更かい)

W杯を観に行ったっというくせに、そこから始めるかと怒られそうですが、一番私の印象に残ったのがこれ。
ホテルでも、デパートでも、駅でも、スタジアムでも、有料・無料を問わずいろんなトイレを利用しましたが、どの個室にも1つづつ トイレブラシが常備されているのでありました。


解りますか?トイレブラシ。トイレ2点セットなどといってゴミ入れなどとお揃いである、あの棒付きブラシです。あれが、どの個室にも1つづつついているのです。
これが、どれだけすごいことなのか男性陣にはなかなか理解してもらえないのです。
実際、アナベルも、そうだったっけ?などと全然気がついていない様子です。

日本では家庭のトイレには常備しているというご家庭も少なくないでしょう。多くのご家庭では1家に1個しかトイレがないのですから。
では、公共のトイレの場合はどうなっているかというと、通常 個室の様に見えて個室ではない「道具入れ」なる小部屋に予備のトイレットペーパーなどと一緒に隠されているか お掃除の方がもっていらっしゃいます。要するに、1スペースで1本しかないし、その1本も隠されている。

それが、ドイツでは1便器に1個がセットになっている。
これはどういう事かというと、汚したら自分で処理しろといっているのです。
ドイツ家事の基本、それは「汚れる前に掃除しろ」なのです。
汚れが頑固にならないうちに取り除く そうすれば ほぅら簡単 すぐにきれいになりますよ、これがドイツの「効率的家事のススメ」なのです。

ホテルやデパートなどでは、お掃除を専門にする方もいらっしゃるし、有料トイレとはその為に有料なのではないの?などというのはあくまで日本人の考え方。ドイツでは、汚したら早いうちに処理する これをみんなが実践する これが基本なのです。
これを聞いた男性陣、どんだけ凄いことなのかだんだん解ってきましたか?
そうです。あなたが汚した所はあなたが処理するのです。

確かに、ドイツのトイレはイタリアのトイレよりも数段きれいでした。
余談ですが、イタリアのトイレはなぜか便座がないトイレが多い。特に街中のトイレはほぼ100%ないと言っても過言ではないくらい ない。
あれは、全員中腰で用を足しているのだろうか。太ももの前部の筋肉、大腿四頭筋が発達するよ。

それにしても、家庭の主婦のみならず、家族全員、国民全員で実践するドイツ家事の神髄をトイレブラシに見たのでありました。


post by えぞももんが

21:50

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