フットボール大学院 オフサイドの回

2006年03月26日

 いやいやお久し振りです。しばらく休講が続きましたが、皆さんには良い休みになったでしょう。それでは前回の問題解答です。

 解答は、74年大会で伝説になった選手。そう、あのクライフ選手(オランダ)です。
 彼は当時、P社と契約していたが、オランダ代表はA社と契約していたため、クライフ選手だけユニホームの腕のラインが2本線でした(ほかの選手はA社だから3本ライン)。昔の写真などを見て確認して下さい。

 これと似た話では、当時西ドイツのマテウス選手が代表デビュー当時にP社のスパイクを履きたいと言い物議を醸したことがあります(西ドイツ代表はA社と契約)。
 これは、マテウス選手の親がP社の工場で働いていたことから発言したものであります。


 
 今回の演習では、何かとわかりにくいルールというオフサイドを取り上げたい。
 しばしば、オフサイドの判定がされるとき過剰なブーイングをする方がいるが、そういった方はこの演習でオフサイドの本質を理解して欲しい。

 最初にオフサイドの三つの絶対条件を理解して欲しい。

①相手陣内にいる
②ボールより前にいる
③相手の後ろから二番目の選手より手と腕以外が前に出ている。

 以上の条件が全てそろうとオフサイドになる。以外に簡単ですね。

 しかし、このルールを複雑にする一つがオフサイドトラップです。攻撃側がパスする直前に守備側が前進し、オフサイドポジションにいなかった攻撃側選手をオフサイドにしてしまう戦術です。

 一説にはクライフ時代のオランダ代表がこの戦術を編み出したと言われています。

 私、実は昔からのオフサイドトラップ信奉者です。ですから、トルシエのフラット3を見たときはかなり興奮しました(でも本家は、グレン・ホドル監督時代のイングランド代表)。

 もう一つは、94年のW杯から採用された、プレーに関係ないと判断された選手がオフサイドポジションにいてもオフサイドにはならない点です。W杯でのブラジルVSオランダの試合では、ロマーリオがこのルールの下にベベットのゴールを生み出したシーンは印象的でした。

 プレーする身としては、セルフジャッジをせずに笛が鳴るまで動きを止めるなということです。
 また、審判員を目指す方は副審の試験では必ずオフサイドのジャッジを素早く正確に判断することが求められます。


 それでは今日の問題

 91年(イタリア)と93年(日本)で開催された、U-17世界選手権で採用されたオフサイドの新ルールをそれぞれ答えよ(実用化されなかった)。

 ヒント93年は財前(山形)が大活躍。91年は、けっこう難しいです。



post by パンターニ

17:51

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補講 ユニホームこぼれ話

2006年03月13日

 この1週間、勉強はしましたか?演習の前に前回の問題の解答です。

①の解答は、交換したボールをドロップして試合が再開されます。
いわゆるドロップボールです。これは簡単でしたね。
もしボールがインプレー中ではなく、キックオフ、ゴールキック、コーナーキック、フリーキック、ペナルティーキック、またはスローインのときにボールが破裂などをした場合は、試合をそのときの方法で再開することになります。
このとき主審の承認を得ないで、試合中にボールを交換してはなりません。

②の解答はインドです。実は1960年くらいまではアジアの強国でした。現在は・・・。ですが、プロリーグもあり人口の多さからいって正しい強化策を実行すれば、いつかの日か日本のライバルになるかも。


 今回は、前回に説明しきれなかったユニホームについて語っていきたいと思います。

 現在、さまざまなスポーツメーカーが競いユニホームの進化が続いています。
短パン(ショーツ)などは最近はロングなものが主流ですが、20年前まではかなり短いものでした。
私も86年W杯優勝時アルゼンチン代表モデルの短パンを持っていましたが、今考えると恥ずかしいくらい短いものでした。

 最近、話題のユニホームはP社が提供するカメルーンのユニホームでしょう。
ノースリーブ、伸びるユニホーム、そしてワンピースなど。
でも試合で使用するたびにFIFAに怒られ、使用禁止となってしまいます。
袖がないのは競技規則違反。これは、おそらく競技者の保護を考えているのではないかと思います。
伸びるユニホームについては、一方がこのユニホームを着ていると他方に不利になる可能性があるということでしょうか。
また、ピッチ内の公序良俗を考えてのことと思います。

 昨年までの札幌のユニホームもかなり驚きのものでした。
見た感じタイヤ痕。
試合中は選手の背中を見る機会の方が多いから背中だけに縦縞を入れたとのこと。
この論理ならスポンサー料は胸より背中の方が高くなりそうなものだが・・・。
 A社は、世界的にもこのデザインを発表していくとコメントしていたが、札幌以外の何処のクラブでこのデザインが使われたことでしょう。ミランなどのクラブがこんなデザインになったら暴動ものでしょう。

 人それぞれ、好きなデザインのユニホームがあると思います。
皆さんはどのチームのユニホームが好きですか?
私は84年~85年のフランス代表のユニホームが好きです。


 それでは今日の問題

 74年西ドイツW杯で、ある選手が自チームの選手とは一人だけ違うユニホームを着てプレーしました。それはいったい誰でしょう?



post by パンターニ

21:33

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フットボール大学院 第2回 

2006年03月06日

ルール演習 その2

 最初に前回の演習の宿題についての解答です。①は、W杯アメリカ大会のアメリカVSスイスです。試合結果は1-1のドロー。試合会場はデトロイトのポンティアック・シルバードームでした。ドーム球場といっても札幌ドームとは違い、気温33度、湿度52%といった悪コンディションで行われた試合でした。
 ②については、フラッグポストは立てても、立てなくともよい。つまり任意設定ということになります。最近では競技場の中心から選手が入場してくるので、フラッグポストを立てていない場合が多いと思われます。③は、最小人数は7人以上が必要です。つまり6人では試合が成立しません。私が中学生のころ、ある中学チーム(ツッパリ)が当初7人で試合をしていたのを見たことがあります。最初は、当時としては珍しい1トップをやっていると思ったら、要は3-2-1だったのでした。


 
 それでは、競技規則の第2条のボールと第4条の競技者の用具について演習を行いたい。ボールの品質と規格については、球形で皮革または他の適切な材質。外周が70㌢(28in)以下、68㌢(27in)以上で、重さが試合開始時に450g(16oz)以下、410(14oz)以上。空気圧が、海面の高さで0.6~1.1気圧(600~1100g/c㎡)と細かく規定されています。ボールの品質と規格については、審判員資格を取得する方は必須事項でしょう。さて、その他の方に是非知っておいて欲しいことがあります。実はサッカーボールの7割はアジアのパキスタンで製造されています。これらのサッカーボールは、パキスタンの子どもたちの手によって作られており、過酷な児童労働の実態となっています。98年にFIFAが主催する大会では児童労働で作られたサッカーボールは使わないと決定したが、FIFA主催以外の大会で、これらのボールが使われていないという保障はありません。

 競技者の用具については、ジャージやショーツ、ストッキングと靴、そしてすね当てを身に付けなければなりません。すね当てについては、20年くらい前に着用が義務付けられたと記憶しています。また、国際評議会の決定事項として、スローガンや広告のついているアンダーシャツを見せてはならない。また、それらを見せるためにジャージを脱いだ競技者は、大会の組織責任者によって罰せられるとなっています。ジャージには袖がなければなりません(これはカメルーン代表で有名)。


 今日の問題
①Aチームがドリブルし相手Bチームのペナルティーエリア内に入ったところでボールが破裂した。試合の再開方法はどうするか?

②1950年ブラジルW杯に出場が決まりながら裸足のプレーが禁じられ、W杯に出場できなかった国は?



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22:47

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Bosnia and Herzegovina

2006年02月28日

 今回の代表の試合相手です。けっこう日本でも馴染み深い国かもしれません。実はあのオシム監督の出身国です。でもオシム監督って、どの民族に属するのかな。ほかには84年の冬季オリンピックが首都サラエボで開催されました。でも、このときの国はユーゴスラビア。終身大統領チトー死去後、いろいろとあった国です。そのことについては、いつかフットボール大学院の演習で・・・。
 私がこの国で思い出す選手といえば、94-95シーズンをバルセロナに所属したクエジャールです。このシーズンはアメリカW杯後のシーズンであり、W杯で大活躍だったルーマニアのハジを追いやりバルサの10番を付けた選手です。私の知っている限り、それ以前のバルサの10番はマラドーナ、バケーロ、そしてロマーリオなど名選手ばかりで、リーグ開幕前はどんなに凄い選手かと思いました。しかし、開幕すると怪我はするし下手だし、もう勘弁して下さいという選手でした。まるで何処かのクラブの外国人のようです。そして、このシーズンからしばらく常勝バルサは低迷するのでした。
 札幌にも旧ユーゴスラビア出身の監督や選手もいましたが、私の思い出のクエジャールのように短命でしたね。



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20:41

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フットボール大学院開設

2006年02月28日

 今回から、ブログの中でフットボール大学院を開設しようと思います。サッカーのルールや隠れたネタなどを提供したいと思います。審判員などを目指す方には、筆記試験対策にも良いかもしれません。成績優秀者には修士号の学位を授与。その後、博士課程に進んでいただいて博士号にチャレンジしていただきたいと思います。なお、この学位は一般社会ではまったく役に立ちませんので、宜しくお願いします。


募集要項 
      入学資格 サッカーが好きな老若男女
      定員   無制限
      学費   0円(試合での実習費・飲み屋での研究費は含まず)
      授業形態 ブログ上のコメントなどで運営


第1回 ルール演習
 サッカーのルールであるLaws of the Game(サッカー競技規則)は国際サッカー評議会によって制定され、FIFAから発行されている。このサッカー協議規則は毎年2月または3月に開催される国際サッカー評議会の年次総会でその改正が検討され、その決定がFIFAから通知される。FIFAの公用語は英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語であるが、日本では日本サッカー協会審判委員会の責任の名の下に英語版を日本語に翻訳している。

 本日は、その競技規則の第1条、競技のフィールドと第3条、競技者の数について演習を行いたい。
 世界にはさまざまな競技場がある。私が行った競技場の中でのお気に入りは国内なら仙台スタジアムと県立カシマサッカースタジアム、海外ならバルセロナのカンプ・ノウですね。これら3つのスタジアムの共通点は、サッカー専用であることと試合時の雰囲気(因みに筆者は、バレンシアのホームであるメスタージャのピッチに立ったことがある)。我が札幌のホームスタジアム、札幌ドームも世界でも珍しいスタジアムなのは周知の事実。札幌ドームに行くたびに、野球観戦をするような錯覚にとらわれます。
 ではフィールドに下りてみましょう。フィールドの中心にはハーフウェーラインがありますが、何故かセンターラインという方が多いようです(私の中学、高校時代の体育教師でさえセンターラインと言っていた)。これは、完全なる間違いです。ほかのスポーツでセンターラインという言葉を使うのでしょうか?
 第3条の競技者の数ですが、競技者の中に1人は必ずGKを入れなくてはならないとなっています。GKが退場するならば、替わりのGKを必ずプレーさせなくてはなりません。94年W杯のイタリア―ノルウェー戦でGKが退場し、エースであったR・バッジォが控えのGKと交替させられたシーンは大変印象的でした。競技者の人数については宿題とさせていただきます。
 
それでは問題
①世界にはさまざまな競技場があるが、W杯初のドーム球場で行われた大会と 試合カード名を答えなさい。
②競技フィールドのコーナーには必ずコーナーフラッグポストを立てなければ ならないが、ハーフウェーラインの延長上はポストを立てるべきか?(審判員試験対策)
③試合を成立させるには、1チームの競技者最小人数は何人以上必要か?(審判員試験対策)



post by パンターニ

11:01

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