2006年03月26日
【J2:第5節 札幌 vs 横浜FC レポート】
試合の主導権を握りながら、勝点を取れない札幌。横浜FCは前節に続き最少得点を守り抜き勝利。 [ J's GOAL ]
3月25日(土) 2006 J2リーグ戦 第5節
札幌 0 - 1 横浜FC (13:04/室蘭/5,065人)
得点者:'15 北村知隆(横浜FC)
札幌の典型的な負け方だった。ゲームの主導権を握っておきながら、ちょっとしたスキを突かれて失点。そして守りを固める相手を崩せないままに敗戦する。昨年から何度となくあった試合展開に、この日も陥ってしまった。
試合は、序盤から札幌がペースを握る。横浜FCの左MF北村が高めの位置を取っていたため、左サイドバック中島との間に生まれたスペースで札幌は右ウイングバックの芳賀が起点となり、そこからの突破さらにはDF加賀のオーバーラップを引き出して、このサイドから何度もチャンスを作りだした。後方からロングキックを蹴る場面でも相手の192cmの長身DFトゥイードを避け、178cmの鄭容臺が守るエリアで空中戦を仕掛けた。そうした戦い方が功を奏し、札幌のペースで試合が進む。
しかし、15分。札幌が蹴ったコーナーキックからのこぼれ球を横浜FCの内田が拾い、そこからのカウンター攻撃で劣勢だった横浜FCが先制点を奪ってしまう。
敵地で理想的な形から先制点を奪った横浜FCは「待ってました」とばかりに、ここから強固な守備網を敷く。札幌にボールを持たせ、2トップの三浦、城はむやみに走り回ることなく、札幌の最終ラインからボランチへのパスコースを消す。両ウイングバックの前にあるスペースも埋め、札幌がここでボールをキープしても手詰まりにさせてしまう。そうして選択肢を狭めさせ、仕方なく札幌が前線にクサビのパスを入れたところでボランチとDFで挟み込む、あるいはインターセプトを狙う守備を徹底した。
特筆すべきは小野、中島の両サイドバックだ。相手にサイドを突破されかけても、慌てずに落ち着いてポジションを取り、精度のあるクロスボールをほとんど上げさせることがなかった。
もちろん、札幌もただ無策に攻めたわけではない。石井を投入して動きのリズムを変えたり、スピードのあるクロスボールを蹴れる藤田を起用するなど横浜FCの守備網に対して揺さぶりをかけた。しかし、ベンチ入り16人の平均年齢が27.25歳という経験豊富な横浜FCの試合運びは見事なもの。広いエリアへうまくボールを運び、リスクの少ないプレーを的確に選択してアクシデントの起こらないような戦い方をしていた。21歳のGK菅野もうまく時間を使いながら戦った。札幌も惜しいところまでは攻め込んでいたものの、結局はうまく逃げ切られてしまう結果となった。前回のホームゲーム同様の、相手を攻め立てながらの敗戦にはサポーターもさぞかし歯がゆい思いをしたことだろう。
リズムよく攻めていたチームが一瞬の隙を突かれて敗れるというのはサッカーの世界にはよくあること。しかし、この試合については「これがサッカーだ」の一言では片付けられるものではない。横浜FCは単純に人数を割いて守りを固めたわけではなく、しっかりと狙いを持ってボールを奪うための守備網を敷いた。そして要所では身体を張った守備で凌ぐ。なによりも、リードした試合終盤の戦い方を知っていた。
札幌の放ったシュートが14本で、横浜FCはわずか5本。シュート数では約3倍くらいの差があったが、札幌はその大半がミドルレンジから放ったもの。相手の肝を冷やすような場面は皆無だった。そういう意味でも、この日横浜FCが勝ったという結果は極めて妥当なものだと言っていい。
札幌も決して悪い戦い方をしていたわけではない。90分を通して意欲的にボールを動かして攻めることができていた。次節は試合がないため、ここでしっかりと休息がとれる。移動ばかりを繰り返していた札幌にとっては、待望のインターバルだろう。個の力を持ったフッキの出場停止も解ける。J1昇格を目指す札幌の真価が問われるのは、ここからになるだろう。
高木新監督になってからの横浜FCはセットプレーとカウンターからの得点しかない。だが、それについては「内容はともあれ、勝点3を取るということが、今ウチのチームにとって大事なこと」という高木監督のコメントに着目したい。まずはリアリストに徹し、結果を残すことでチームのムードを高め、そこから攻撃の質を高めてゆこうという狙いなのだろう。「勝利したことは、勢いになる。去年まではこういう試合を引き分けたり、負けたりしていたので」と城が話せば、「2連勝くらいで満足してはいけない」と三浦が言う。監督と選手の意識は、しっかりとシンクロしている。
まだ5節が終わったばかり。この両チームが今後どういった成長を見せるのか。非常に楽しみである。
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以上
(2006.03.25 Reported by 斉藤宏則 より)
プロフィール
カズ 北海道旭川市生まれ、仙台の工業系大学を卒業し、北海道に戻り日立Gr.会社に就職、営業畑で●年間の外勤族、その後業務・企画の仕事に替わりつつ現在は総務所属もっぱら内勤族に転向しました、さらに社内報等にもたずさわる、管理人。今年は、何か資格にチャレンジを目標に頑張りたいですね。 スポーツ観戦で札幌ドームをこよなく愛す・・・
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