ハイジの部屋のガスストーブが新しく付け替えられた。

その設置作業を見ながら、ありがとうって本当に思う。

仙台ではまだガスが復旧されていないところがあり、
その復旧作業に北海道から向かった友人もいた。

そして、ハイジの友人宅はそのガスが復旧されていない地域です。

温かい部屋にいながら、仙台に連絡をとった。

「どう？」

ハイジはそれしか聞けない。

「大丈夫だよ～ガスが無いからちょっと辛いけど」って。

「今日ね、震災後始めてお風呂入ったの！もうねすごく気持よかった～！！
近所の人がなんとかガソリン入れれたからって、みんなで秋保温泉までいってきたんだよ」

確かに彼女の電話の向こうにたくさんの笑い声が聞こえる。

彼女のアパートは3家族が常に行き来していて、
宴会なんてしょっちゅうある環境。

だから「じゃあ、みんな今集まっているんだ」と聞くと、


「カセットコンロでしかご飯作れないから、ガスボンベ節約のため
毎回各家持ち回りで12人分のご飯を一気に作るの」


「毎日、楽しいよ～」と彼女は言った。


楽しいだけじゃないのに、「楽しい」と言いきれる彼女が本当に大好きで、

その声の後ろで、

「ハイジちゃん遊びにおいで～」

と言っている旦那さんも大好きで、

「うん、行くよ！絶対行くから！」ってハイジも言う。

「やばい、早く部屋掃除しなくちゃ…」ってちょっと焦っている彼女がいて、

そんなに早く行けないから安心して（笑）
ハイジもまだ足治りきっていないし（笑）

そんな会話の最後に、

「でもね、きっと自分の家だけだったら無理だった」

と彼女がぽつりと言った。

3家族で助け合ってるから今の生活が出来るんだって。

電話の後ろから聞こえる笑い声はずっとつづいていて、
なんだか少しうらやましくなってしまった。

ハイジは温かい部屋にいるのに、なんだか一人が寂しくて寒く感じる。



昨日の夜、彼女の母親が仙台へ向けて北海道を出発した。
きっといろんなものを持って。

取りあえず盛岡まで汽車で行って、そこからバスに乗ってみる。
なんとかなるんじゃない？

そう、彼女に言っていたらしい。


やっぱり彼女の母親だね！