『HFCの構造的な経営問題の本質。』 -その2-

2009年11月15日

まず、前回、問題があることを認識することが大事だと書きました。

では、次に、その問題をどうやって解決するかという話になります。

しかし、その問題の存在を認識したとしても、複雑な利害が絡んだ結果、
それを解決する具体的な手段は、自己矛盾を抱えてしまう結果になりがちです。






例えば、前回同様に環境問題なら、これを根本的に解決しようとすると、
CO2などの温室効果ガスの排出を今すぐ全面ストップするべきだという話になる。
そうなると、我々の今ある「大量生産、大量消費の生活スタイル」そのものを変えねばなりません。

しかし、これを完全に実行すると産業界の大きな反発を招きます。
大きな生活スタイルの変更を求められれば、一般大衆の受けも悪いでしょう。
発展途上国は、先進国だけが今まで散々CO2を出してきたのにと不平を言います。


だから、温室効果ガスの排出を抑えつつ、産業の発展も同時に目指すという
自己矛盾を抱えた玉虫色の“持続可能な開発”という話になります。






HFCの経営問題の場合、経営を万年赤字体質から脱却し累積赤字を完全に解決するには、
予算を昇格前提で過大に見積もるのではなく、厳しく見積もった上で、
その収入見込みにみあった強化費の範囲内で、(≒“身の丈”の)経営をし、
毎年、黒字を出さねばならないという話になります。


HFCには親会社がありませんから、赤字を補填してくれる存在がいません。
したがって、赤字を計上し続けると再び債務超過に陥り倒産状態になります。

つまり、赤字を続けることはチーム消滅を意味します。(←当たり前ですけど・・・。)


しかも、このような赤字経営を続けていると財務状況を理由としてJ1に上がれません。


であるにもかかわらず、今までのほとんどの予算が、
単年度で昇格を前提とした博打的な予算になってきました。

具体例を挙げれば、今季30万人と見積もられた観客動員は、
2007年のJ1昇格時の観客動員数を基に出されています。
したがって、当然の結果として、昇格に絡めないと大赤字になります。

しかし、昇格前提の予算だったのだからと無理に昇格に絡もうとすると、
さらにチーム強化費の増加を招き、2003年のように、
トップチーム人件費ばかりかかって、成績は向上しないという泥沼になると、
残されるのは多額の負債ばかりという最悪のケースになる可能性もありました。

今季は、2003年より傷は浅そうですが・・・。


先ほども書いたように、現実問題として、このような事態に陥っても、
HFCには赤字を補填してくれる親会社がありませんし、
そう頻繁に減資や増資をするわけにもいきませんし、
財政赤字の行政にこれ以上借金を頼むわけにもいきません。
(※返済も残ってます。)

したがって、基本的にHFCは、
“身の丈”経営をして毎年黒字を出すことが望ましいはずなのです。


しかし、一方で、“身の丈”経営を実行した場合、
2003年の反動で極端な“身の丈”経営を行った2004年のように、
(注:2004年から5段階計画が始まりました。)
成績が低迷してJ2最下位になる可能性もある。

そして、その結果、昇格争いからも遠ざかり多くの人間の関心をよべなくなって、
結果を残さないと事態がより悪化してしまうことになりかねないという人たちが増えていく。
(※まだ、声を上げる人はましで、声も上げずに他に興味の対象が移る人が大半であるともいえます。)

すると、やっぱり強くないとダメだという話になる。
想像するに、そういう雰囲気だからJ1を目指さないと
スポンサーの受けも良くないと思うわけです。

そして、一部のこうした声が反映され、
選手補強に積極的に投資をしても結果を出せば元が取れる、
また、結果を出さなければサポーターもスポンサーも付いてこないからという理由で、
本来的には、経営責任の所在がはっきりせず赤字ができない経営体質でありながら、
毎年、HFCは博打的な予算を組むことを強いられていると予想されます。

若干、好意的な表現ですが・・・。

それが、HFCの構造的な経営問題の本質だと思います。


だから、HFCとして、

「J1昇格を掲げながら、経営の健全化も図る」

という“方針そのものに矛盾を含んだ”困難な方針を、
HFCが目指さねばならないことに事態の難しさがあります。


この問題を来季の話に具体的に当てはめるならば、


「来季の昇格にできるだけ望みを残したまま(≒チーム人件費の維持)、
経営の健全化を図る(≒チーム人件費の削減)」


ということになるでしょう。


さて、次回はこの現状を認識した上で、どうすべきか考えていきたいと思います。



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