攻められたときに、引かない守り。

2009年07月28日

昨日も話題にしたCS8月号の石崎監督のインタビュー記事。

その中で、キャンプ中に、攻守の切り替えについて、
スペインのバルセロナの映像を見ていたことについて。


「奪われたときに引いてしまわないで、奪われたときこそ前に出てプレーしている。
だから、カウンターをなかなか受けないんですよね。

ボールを奪われたからといってポジションを下げると、
相手に簡単にパスを蹴られてしまうからカウンターを受けてしまう。

だから、カウンターを受けないためにも、
ボールを奪われたらすぐに前へ出ることを選手には強く意識させています。」


空手の“かわし”のコツと同じだなぁと。






人間は相手に攻められると怖いので、だいたい後ろに下がって避けようとする。

しかし、後方に下がって避けようとすると、
相手の突きや蹴りの勢いが増すために十分な助走の時間も与えてしまうので、
結果的に、下がると突きや蹴りの勢いは増してしまう。

そして、勢いがついた突きや蹴りは、止めにくくなるし、当たると痛い。


だから、そこであえて相手の方に踏み込んで攻めを“かわす”。


攻守が入れ替わって、相手が技を繰り出す瞬間や直後は、
技にまだ勢いがないので、案外脆いし弱い。

突きや蹴りは、伸びきる一歩手前の瞬間が強い。

そこで相手の懐に敢えて飛び込むことで、
相手に技の勢いを増すための助走の時間を与えない。
そして、飛び込むことで、当たったとしても一番強いところで当たるのではなく、
勢いの乗っていないまだ弱い段階で当たるので、
実際、当たったとしてもそれ程痛くはない。


攻守の切り替えの際、最初の守備を相手に攻撃的に行うことの重要性。
それは、多分、空手もサッカーも同じだろう。



しかし、理屈がわかっていても、これを実践するのはなかなか難しい。

なぜなら、相手が迫ってくるその方向に自ら飛び込むからだ。

単純な話が、刃物を持った人間でも、近づいた方が危なくないと言っているのだから(苦笑)。

それが一番被害が少ないと頭ではわかっていても、
相手の懐に飛び込むのは怖い。

人の本能的な部分で恐怖を感じて、腰が引けてしまう。

しかも、前に出たとしても、腰が引けているとかえって危ないので、
自信を持って前にスッと入らなければいけない。


守りに替わった瞬間に、自信を持って前に出られるか。

今の札幌の守備の課題も“かわし”のコツと同じなのではないかと。



この記事に対するコメント一覧

はげお

Re:攻められたときに、引かない守り。

2009-07-28 22:52

面白いですね。 >守りに替わった瞬間に、自信を持って前に出られるか これをしないと布陣のコンパクトさを維持できない場面は多いですね。 岡山戦の2失点目を見直すと、特にそう感じます。 改めてその失点を見ると、「あらあら、そのやられ方はひどいねぇ…」と誰しも思うのではと。 後方から縦パス→くさび→落とし→縦パス→くさび→落としでコンサゴール前まであっさり運ばれる。くさびのところに人数かけてはいて…でもマイボールにできない(-_-;) そこでマイボールにできれば、逆にショートカウンター気味に攻撃できるのに…と。 結果として失点した場合、選手の心理として 「前に出てやられた」よりも「下がっていたけどやられた」の方が"納得"できるのでしょうか…

whiteowl

Re:攻められたときに、引かない守り。(はげおさんへ)

2009-07-29 17:22

>これをしないと布陣のコンパクトさを維持できない場面は多い 意図的ではなく、無意識に下がり続けると恐らく際限なく下がってしまう。 その辺りが、間延びする要因なんじゃないかなと。 >「前に出てやられた」よりも「下がっていたけどやられた」の方が"納得"できる これは心理的には、あるんじゃないですかね。 でも、下がっても相手にプレッシャーをかけないと本当は全然守れていないんですよね。 ゴールから離れている場所でも、プレッシャーが弱ければ、 一気に前線に良いパスが供給されてしまいますから。

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