ルヴァン杯札幌vs富山 斉藤宏則さんの「レポート」 

2024年06月06日

Jリーグ公式HPに掲載されています。


    レポートタイトル 「苦戦とも、善戦とも。第1戦はドロー決着」


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いよいよ始まったJリーグYBCルヴァンカッププレーオフラウンド。その第1戦、札幌ドームではJ1の札幌とJ3の富山が対戦。このラウンドで唯一となるJ1とJ3の対戦とあって、注目度の高いカードとなっていた。

ともに直近のリーグ戦から中2日の日程とあってスタメンを札幌は9人、富山は10人入れ替えてのスタート。どちらもコンディション的にフレッシュな選手を並べることで、2試合合計で争うこのラウンドでの勝機をうかがう格好となった。

立ち上がりから優位に進めたのは富山。最前線の碓井 聖生をターゲットに後方からシンプルなロングボールを蹴り、その碓井が体の強さを生かして競り勝ったり、おとりになったりして2列目以降の選手の飛び出しを引き出すなど、狙いは見えていた。富山はボールを失っても勢いを持って奪回に走り、その圧に押された札幌がアバウトなボールを蹴ってきたところを、今度は最終ラインが体を張ってはね返す。そしてそこから押し込む時間帯を作り出すなどし、相手を上回ってみせた。後方からの組み立てに関しても、札幌のプレスをまったく臆することなく外していた。8分に生まれた碓井の得点も、GK齋藤 和希が起点になってのものだった。一方、札幌は技術力とアイディアのある小林 祐希がボールに関与した際は落ち着きを感じるが、チーム全体としては富山の鋭い守備に臆していた印象だ。

それでも、札幌もパスを織り交ぜながら各選手がボールに触れる機会を増やしていく中で、次第と落ち着いて攻撃を仕掛けられるようになっていく。前半の終わり頃にかけてはサイドを起点にうまく内側を使いながらゴールに迫っていた。また、何度もCKを得ては惜しい場面を作っていた。

そうして進んでいく試合の中で、どちらも意欲的にボールに絡みつつも、大きなミスなく攻防が繰り広げられていたのは好印象だった。懸命に戦うがゆえのファウルなどは散見されたものの、集中力の高い見ごたえのあるゲームだった。

試合が終盤に近づくにつれて、より見ごたえは増していく。1点を追う札幌は選手交代を織り交ぜつつ攻撃に厚みをつけていき、それに対して富山が堅い守りで応戦し、より激しい戦いになっていった。札幌が攻めて好機を増やし、それを富山がしのぐ展開が続く。

そして81分、ペナルティーエリア左手前から長谷川 竜也が狙ったコントロールショットがゴールに吸い込まれて札幌が1-1の同点に追いつくのだが、これはやはり札幌が前がかりになって押し込み、チャンスの回数を増やしたからにほかならないだろう。富山も後方の人数を増やして粘り強く守っていたが、守備の時間が長くなってしまったことを考えれば、仕方のない展開だったとも言える。

その後も互いに足を動かし合う熱戦が続いたが、結局そのままのスコアでタイムアップ。札幌が苦戦したとも言えるし、富山が善戦したとも言える、さまざまに評せる結果となったが、いずれにせよまだ第1戦が終わったのみ。決着は9日、富山のホームでつけることになる。


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