2015年03月01日
2015年J2所属クラブのチーム人件費(いわゆる強化費)をランキングにしてみました。 どのくらいの位置にいるか現状を正しく理解するために、作成しています。 ただし、Jリーグ経営情報開示資料2013年度版が数字の元なので、2015年の予算ではありません。 2013年の数字から、劇的に増減した(例えば5億円くらい変動した)クラブはないでしょうから、 あくまで、どのくらいの位置なのか基準を知るためと認識してください。 ★これから挙げる数字を見て、クラブの目標をどこに設定すべきか考えてみてください。★ ★私なら「○○を今季の目標とする」というのをコメントでいただけると刺激になります★ ※チーム人件費は、主に以下の要素で構成されます。 「トップチーム選手・監督・スタッフ基本報酬、ユース監督・コーチ報酬、勝利給、支度金、移籍金、レンタル料」
★2015年J2チーム人件費ランキング(百万円) (注:数字は2013年度のJリーグ経営情報開示資料より) 順 親 チーム 人件費 営業収益 人件費率 1Docomo大宮 1,606 3,228 50%(2013/J1) 2ヤマハ磐田 1,369 3,298 42%(2013/J1) 3ヤンマC大阪1,212 3,213 38%(2013/J1) 4JEF千葉 994 2,330 43% 5京セラ京都 692 1,930 36% 6大塚 徳島 601 1,211 50% 7-- 大分 556 1,406 40%(2013/J1) === J2平均 519 1,277 41%=J2平均(2015J2クラブに入れ替えた場合) (- 札幌 483 1,341 32%★J2/2014(予算※1)) ★ 8-- 横浜FC 482 1,152 42% === J2平均 467 1,090 43%=2013J2平均 9-- 岡山 411 1,034 40% 10-- 栃木 410 876 47% 11-- 福岡 390 871 45% === J2平均 387 981 39%=J2平均(2015J2から10億以上クラブ除いた場合) 12-- 札幌 359 1,071 34% ★J2/2013★ 13-- 東京V 357 1,236 29% 14-- 富山 273 701 39% 15-- 熊本 261 680 38% 16-- 北九州 249 686 36% 17-- 愛媛 247 547 45% 18-- 岐阜 241 576 42% 19-- 水戸 230 508 45% 20-- 長崎 229 718 32% 21-- 鳥取 207 646 32% 22-- 群馬 163 469 35% =============== (- 札幌 513 1,297 39% 3位★J2/2011) (- 札幌 495 1,347 37% 18位★J1/2012) (- 札幌 359 1,071 33% 8位★J2/2013) (- 札幌 483 1,341 36% 10位★J2/2014(予算)) ※1 2014予算を、リーグ発表の「チーム人件費」に合わせるには、 コンサ予算実績の「トップチーム人件費」+「ユースチーム人件費」が リーグ発表の「チーム人件費」を数千万上回った値になります。 コンサ予算実績の「トップチーム人件費」には「選手移籍金、レンタル料等」も含まれているので、 この金額を差し引くと、より精度があがりますが、有価証券報告書2014が出るまで分かりませんので、 そこは2013年の「選手移籍金、レンタル料等」=10,300千円を差し引き、 「トップチーム人件費:430百万円」 + 「ユースチーム人件費:63百万円」 -「選手移籍金、レンタル料等:10百万円 =483百万円 とします。 ★↑の数字を見て、クラブの目標をどこに設定すべきか考えてみてください。★ ★私なら「○○を今季の目標とする」というのをコメントでいただけると刺激になります★ おまけ。 2015J1昇格組 (注:数字は2013年度のJリーグ経営情報開示資料より) 順親 チーム 人件費 営業収益 人件費率 --- 湘南 530 1,191 45% --- 松本 368 939 39% --- 山形 468 1,041 45%
■解説■ チーム人件費10億円未満でビッグな親会社がないクラブが3つ昇格し、 チーム人件費10億円以上でビッグな親会社があるクラブが2つ降格しました。 これにより、J2平均が上昇しています(467→519)。 2015のJ2には、チーム人件費10億円以上のクラブが3つ(大宮、磐田、C大阪)いて、 ほぼ10億円の千葉がいる。 この時点で、4チームのプレーオフ進出以上(自動昇格2位以内+プレーオフ)が非常に固い。 残り2つの枠を他のクラブが争う構図か。 昨年よりも厳しい昇格orPO進出レースが展開されそうです。 2015年度の札幌は、2014年度よりさらにチーム人件費を増額し約5億円にするそうですが、 増額してもなおPO圏内である6位に手が届くかどうかというところ。 もっとクラブが大きくならないと、「昇格」が現実的な目標とはいえそうもありません。 とはいえ「昇格」というキーワードが分かりやすく伝わりやすいのも事実ですから、 立場によってはそれを口にする者もいるでしょう(特に選手)。 こればかりは、サッカーという競技の性質を考えると、避けられないといえます。 以前はよく出た「昇格できなかったら責任が云々」という話は、 実のところ、それが現実的な目標といえる事業規模にならないと、 口にする意味が無いと思います。
昇格やプレーオフという言葉をもう少し分類すると、以下のようになると考えています。 自動昇格(リーグ戦2位以内) PO昇格(リーグ戦3位~6位でPO優勝し昇格) POホーム開催(リーグ戦3位or4位) PO進出(リーグ戦3位~6位) POのホーム開催まで手が届けば、経営的には大助かりでしょうけれど、 ホーム最終戦でPOをチラつかせて集客の見込める興行ができるとよいですね。 2013年度は最終戦でPOが進出がかかっていたので、2万人を超えていました。
■チーム人件費基準 これらの数字は、2013年の経営情報開示資料の数値から導いたものです。 J1定着==14億円(J1平均1,390) J1残留--10億円(J1,15番目1,012) J1自動昇格11億円(J2,2番目1,160) J2PO争い 5億円(J2,6番目482) J2クラブ 4億円(2015J2クラブから10億以上クラブ除いた平均387) 売上も加えると↓このくらい大きくならないことには、J1に上がっても相手になりません。 チーム人件費/売上基準 J1定着14億円/30億円 J1残留10億円/17億円 J1昇格11億円/20億円 J2PO争い5億円/12億円
こういう話題を書くと 「人件費どおりにはいかない」「お金がすべてではない」「夢が大事」など 過去にコメントいただいたことがあります。 目先の勝利や通年の目標に対して一喜一憂するのはサッカーの醍醐味でもありますし、 心の栄養として必要なので、否定するつもりはありません。 ただ、人件費どおりにいくかどうかが問題ではなく、 人件費が多いほうが選択肢が広がり、競技においてより有利に運ぶことは事実です。 ならば、これを増やすためにやるべきことをやり、 その輪を拡げていくことが先決なのではないかと言いたいのです。 クラブを大きくすることに参加して、せっかく協力できるメニューが用意されているのですから。 サポーターへ毎年1億円を供出するパートナー企業を見つけてこいとは言いませんが、 成すべきことやできることは明確になっていますから、 できる範囲で知恵を使って全力を尽くして輪を拡げて結果を残せばよいですね。 (有料客を年間40人以上連れていく、サポートシップパートナーを見つける、など) 「勝てば客が増える」「魅力あるサッカーをすればサポーターが増える」 という考え方が先に立つと、これまでと同じことを繰り返すと思います。 まず先に「クラブを大きくする」ことや「クラブが持つ価値を高めて広める」ことが大事かなと。 もう少し言い換えると、 「魅力あるサッカーができる選手が集まるようになるためにクラブを大きくする」 という考え方で接していきたい。(注:[集める]ではなく[集まる]) そしてこれは、少しずつ成果が出始めています。 かつては中学卒業すると道外へ流出していた人材が、コンサドーレを経由するようになった。 トップチームに小野伸二選手が加入した。 これもまた、クラブが大きくなり魅力が高まり、人材が集まるようになってきた一環だと感じています。
■まとめ■ 今回のチーム人件費を整理した結果、 目先の勝利や昇格にだけ惑わされることなく、昇格することだけを目標とせず、 いつかは定着することを最終目標にして、 まず先に「クラブを大きくする」活動をすべきと改めて強く認識しました。 そして、コンサドーレ札幌には「お金がない」のではなく、 「北海道は潜在能力あるが、お金がコンサドーレ札幌に集まる魅力が不足している」 という感覚が正しいと思います。 年間売り上げが兆単位くらいのビッグな親会社が無いので、 会社の規模を少しずつ高めて、クラブを大きくする道が、遠回りのようで最短な気がします。 「クラブを大きくするのが先か」か「目先の勝利や昇格が先か」。 どちらかに偏り過ぎず、そのバランスを見失わないようにしたいですね。 「クラブを大きくすることに参加する」ことを楽しみましょう。
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