2014年12月19日
Jリーグ経営情報開示資料2013年度版から、コンサドーレ札幌のチーム人件費(強化費)と現在地と目指すべき未来を探ります。 今回は、2013年J1/J2チーム人件費(強化費)に焦点を当てます。 ※チーム人件費は、主に以下の要素で構成されます。 「トップチーム選手・監督・スタッフ基本報酬、ユース監督・コーチ、勝利給、支度金、移籍金、レンタル料」
もくじ 1★2013年J1/J2営業収益(売上)ランキング(百万円)こちら 2★2013年J1/J2広告料収入ランキング(百万円)こちら 3★2013年J1/J2営業収益に締める広告料収入の割合ランキング(百万円)こちら 4★2013年J1/J2入場料収入+アカデミー収入+その他収入の合計ランキング(百万円)こちら 5★2013年J1/J2入場料収入ランキング(百万円)こちら 5-1★2013年J1/J2年度別入場料収入こちら 5-2★2013年J1/J2年度別スタジアム別入場者数こちら 5-3★年度別入場料収入と興行粗利こちら 6★2013客単価J1/J2 客単価(円) 興収(百万円)こちら 6-1★2013客単価+バクスタチケット価格J1/J2 客単価(円) 興収(百万円) バクスタチケ代(円)こちら 7★2013年J1/J2アカデミー関連収入順(百万円)こちら 8★2013年度J1/J2チーム人件費順(百万円)こちら←今回★ 9-1★2013年度J1/J2チーム人件費/勝ち点比率(勝ち点獲得の効率の良さ)こちら 10★2013年J1定着,残留,昇格/J2PO進出基準こちら 11★コンサドーレ札幌はJ1定着,残留,昇格/J2PO進出できるのか? 参考資料 2013年度Jクラブ経営情報開示 有価証券報告書平成25年12月期(PDF:6.24MB) 予算実績平成25年12月期(PDF:189KB) 経営状況で見るコンサの現在地(2011年度まとめ) コンサドーレ札幌はJ1定着,残留,昇格/J2PO進出できるのか?(2012年度まとめ)
★2013年J1チーム人件費順(百万円) 親 チー 人件 営業 人件費 順位 会社 ム 費 収益 割合 トヨタ名古屋2,348 4,226 56% 11位 日立 木白 2,118 3,412 62% 10位 三菱 浦和 2,016 5,786 35% 6位 住友 鹿島 1,701 4,122 41% 5位 日産 横浜FM1,701 4,315 39% 2位 東京ガF東京1,637 3,545 46% 8位 Docomo大宮 1,606 3,228 50% 14位 富士通川崎F1,557 3,214 48% 3位 エディ広島 1,449 3,198 45% 1位 == J1平均1,390 3,078 46%== ヤマハ磐田 1,369 3,298 42% 17位 鈴与 清水 1,251 3,084 41% 9位 ヤンマC大阪1,212 3,213 38% 4位 -- 仙台 1,169 2,429 48% 13位 -- 新潟 1,077 2,548 42% 7位 -- 鳥栖 1,012 1,704 59% 12位 -- 甲府 707 1,481 48% 15位 -- 大分 556 1,406 40% 18位 -- 湘南 530 1,191 45% 16位 (- 札幌 513 1,297 39% 3位★J2/2011) (- 札幌 495 1,347 37% 18位★J1/2012) (- 札幌 359 1,071 34% 8位★J2/2013) (- 札幌 483 1,341 36% 10位★J2/2014(予算)) ※2014予算を、リーグ発表の「チーム人件費」に合わせるには、 コンサ予算実績の「トップチーム人件費」+「ユースチーム人件費」が リーグ発表の「チーム人件費」を数千万上回った値になります。 コンサ予算実績の「トップチーム人件費」には「選手移籍金、レンタル料等」も含まれているので、 この金額を差し引くと、より精度があがりますが、有価証券報告書が出るまで分かりませんので、 そこは2013年の「選手移籍金、レンタル料等」=10,300千円を差し引き、 「トップチーム人件費:430百万円」 + 「ユースチーム人件費:63百万円」 -「選手移籍金、レンタル料等:10百万円 =483百万円 とします。 ビッグな親会社クラブの存在が嫌というほど思い知らされる指標だ。 親会社の規模がそのまま表れているかのようだ。 まずは、人件費の大小ではなく、人件費率に注目したい。 ★営業収益に占める人件費率が高いクラブ 名古屋、柏、鳥栖 名古屋、柏は伝統なので、やむなし。 柏はスタジアムの容量の関係で客単価は上がったが、入場料収入が頭打ちなのが痛い。 これが足を引っ張って、人件費率が上がってしまっている。 鳥栖は、営業収益の割に無理してるなーというのが正しいだろう。 その結果、約3億円の赤字となっている。 鳥栖の財政では、3億の利益を生むのは困難なのではないだろうか。 2012年に比べ、4億円も急増(6億⇒10億)しており、経営としては危うさを感じる。 増資で債務超過解消を図っているようではあるが。 人件費率が低いクラブ 浦和、C大阪、横浜FM 3クラブとも40%を下回ったのは素晴らしい。 この3クラブの共通点は、2013年の入場料収入が急増していることだろう。 C大阪に至っては倍増(495⇒954)である。 入場料収入増加に伴い営業収益も増え、結果として人件費率の低減につながっている。 ここからは、人件費の金額で。 J1平均に近い広島が2連覇を達成し、 20億円超えの3チームは、名古屋11位、柏10位、浦和6位と、ACLにすら届かず。 平均を僅かに下回った磐田が17位で降格し、その約半分の人権費である甲府が15位残留。 2013年ほど、チーム人件費の大小が説明つきにくい年もなかったと言える。 しかし、説明つきにくいといっても、傾向に大きなブレがあるわけでもなく、 平均を下回ると降格圏に近く、平均を上回ると優勝やACL争いに近い。 最も低い5億円台の2チームはともに降格している。 こうしてみると、以下のような基準が見えてくる。 優勝争いはJ1平均以上14億円 降格圏からの脱出には10億円 ギリギリでの残留には 7億円 残念ながら降格するのは5億円 野々村社長が定期的に述べる「7億円で昇格(or残留)」には、 この辺の数値がインプットされているのだろう。 まずはチーム人件費7億円。 確実な残留には10億円。 といったところか。
★2013年J2チーム人件費順(百万円)
親 チー 人件 営業 人件費 順位
会社 ム 費 収益 割合
パナ G大阪1,486 2,786 53% 1位
楽天 神戸 1,160 1,960 59% 2位
JEF千葉 994 2,330 43% 5位
京セラ京都 692 1,930 36% 3位
大塚 徳島 601 1,211 50% 4位
-- 横浜FC 482 1,152 42% 11位
-- 山形 468 1,041 45% 10位
===J2平均 467 1,090 43%==
-- 岡山 411 1,034 40% 12位
-- 栃木 410 876 47% 9位
-- 福岡 390 871 45% 14位
-- 松本 368 939 39% 7位
-- 札幌 359 1,071 34% 8位
-- 東京V 357 1,236 29% 13位
-- 富山 273 701 39% 18位
-- 熊本 261 680 38% 19位
-- 北九州 249 686 36% 16位
-- 愛媛 247 547 45% 17位
-- 岐阜 241 576 42% 21位
-- 水戸 230 508 45% 15位
-- 長崎 229 718 32% 6位
-- 鳥取 207 646 32% 22位
-- 群馬 163 469 35% 20位
(- 札幌 513 1,297 39% 3位★J2/2011)
(- 札幌 495 1,347 37% 18位★J1/2012)
(- 札幌 359 1,071 34% 8位★J2/2013)
(- 札幌 483 1,341 36% 10位★J2/2014(予算))
※2014予算を、リーグ発表の「チーム人件費」に合わせるには、
コンサ予算実績の「トップチーム人件費」+「ユースチーム人件費」が
リーグ発表の「チーム人件費」を数千万上回った値になります。
J2も人件費順ではなく、人件費の割合に着目する。
親会社クラブを除いて考えたほうがよさそうだ。
親会社のないJ2クラブは営業収益が低い分、どうしても人件費率を抑えざるを得ない。
販管費が固定費として存在する以上、固定費率が高くなるため、
自然とチーム人件費の抑制につながってしまっている。
J2平均は43%となっているが、自動昇格したG大阪、神戸を除くと、J2平均は39%まで落ちる。
"J2クラブ"の平均は30%台なのだ。
人件費率を抑えている東京V、長崎、鳥取、札幌はより健全な経営といえる。
他に差が出る要素は、人件費以外の支出がどれだけ占めるか。
営業収益が札幌より低い栃木、福岡、松本が、チーム人件費を札幌より多く支出できるのはなぜか?
ここがよく言われる、「試合関連経費≒スタジアム使用料の差」である。
2013年J2の試合運営経費で2億円を超えたのは、G大阪と札幌だけ。
しかし、バカ高いと言われる札幌の試合関連経費(212百万円)は、J1平均未満なのだ。
J2で見たらバカ高くても、J1で見たらそうでもない。
実際にJ1にいた2012年でも、J1平均未満であった。
ここからは人件費の金額ベースで。
J1平均をも上回るG大阪が順当にJ2優勝。
10億超えの神戸も人権費順通りに2位昇格。
その下には、ビッグな親会社をもつ3クラブが順当にPO進出。
そこからは数千万単位で徐々に人件費額を落としながら必死に少しでも上位を狙うチーム。
それらのJ2クラブを差し置いて、見事に6位で滑り込んだのが、
人件費では下から3番目、僅か2億円強で戦い抜いた長崎。
割り切った戦術とハードワーク。
チームを作り上げていくリーグ序盤戦にポイントを稼ぎ、
その後はペースを落とすものの最後まで粘って6位フィニッシュは見事でした。
少ないチーム人件費で、より上位に行くためのセオリーをキッチリ守り
結果を残した監督の手腕やクラブの力は、
ビッグな親会社がついていながら何年も昇格できずにいるクラブよりも
称えるべきことだろう。
2013年の水戸や、2014年の北九州もそうだ。
札幌はかつて、その割り切った戦術で昇格を手にしたことはあっただろうし、
それを繰り返すのではなく、魅力のあるサッカーをしつつ結果も残すという
とても困難で時間も金もかかる道を歩んでいる。
長いシーズン中、全てでそういったサッカーを見せずとも、
勝つためのサッカーをすることだってあるだろう。
それでも、見て面白いサッカーと、勝つこと、さらには育成することを両立させるのが、
今の札幌のミッションのはず。
ピッチ上のサッカーの魅力を上げるのもよいけれど、
サッカークラブが持つ魅力も高め続けてほしい。
そこはブレずに行ってほしい。
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