札幌の広告収入依存度は低い?(2013年J1/J2広告料収入比率ランキング)

2014年12月17日

Jリーグ経営情報開示資料2013年度版から、J1/J2それぞれの広告料収入比率(依存度)ランキングです。
コンサドーレ札幌の広告料収入比率(依存度)と現在地と目指すべき未来を探ります。
今回は、2013年J1/J2広告料収入比率(依存度)に焦点を当てます。
※広告料収入依存度(%)=広告料収入(円)/営業収益(円)


もくじ
1★2013年J1/J2営業収益(売上)ランキング(百万円)こちら
2★2013年J1/J2広告料収入ランキング(百万円)こちら
3★2013年J1/J2営業収益に締める広告料収入の割合ランキング(百万円)こちら←今回★
4★2013年J1/J2入場料収入+アカデミー収入+その他収入の合計ランキング(百万円)こちら
5★2013年J1/J2入場料収入ランキング(百万円)こちら
5-1★2013年J1/J2年度別入場料収入こちら
5-2★2013年J1/J2年度別スタジアム別入場者数こちら
5-3★年度別入場料収入と興行粗利こちら
6★2013客単価J1/J2 客単価(円) 興収(百万円)こちら
6-1★2013客単価+バクスタチケット価格J1/J2 客単価(円) 興収(百万円) バクスタチケ代(円)こちら
7★2013年J1/J2アカデミー関連収入順(百万円)こちら
8★2013年度J1/J2チーム人件費順(百万円)こちら
9-1★2013年度J1/J2チーム人件費/勝ち点比率(勝ち点獲得の効率の良さ)こちら
10★2013年J1定着,残留,昇格/J2PO進出基準こちら
11★コンサドーレ札幌はJ1定着,残留,昇格/J2PO進出できるのか?←今回★

参考資料
2013年度Jクラブ経営情報開示
有価証券報告書平成25年12月期(PDF:6.24MB)
予算実績平成25年12月期(PDF:189KB)
経営状況で見るコンサの現在地(2011年度まとめ)
コンサドーレ札幌はJ1定着,残留,昇格/J2PO進出できるのか?(2012年度まとめ)


★2013年J1営業収益に締める広告料収入の割合順(百万円)   
親会社クラブ割合 広告料 営業収益
Docomo大宮 71% 2,296 3,228
トヨタ名古屋58% 2,457 4,226
日立 木白 57% 1,947 3,412
富士通川崎F53% 1,702 3,214
ヤマハ磐田 50% 1,645 3,298
-- 大分 48%  680 1,406
ヤンマC大阪47% 1,499 3,213
-- 甲府 46%  683 1,481
===J1平均46% 1,417 3,078==
住友 鹿島 45% 1,864 4,122
エディ広島 43% 1,373 3,198
東京ガF東京40% 1,422 3,545
三菱 浦和 40% 2,319 5,786
鈴与 清水 40% 1,219 3,084
-- 新潟 38%  963 2,548
-- 仙台 37%  901 2,429
-- 鳥栖 37%  632 1,704
日産 横浜FM35% 1,513 4,315
-- 湘南 32%  387 1,191
===============
(--札幌 31%  399 1,297★J2/2011)
(--札幌 35%  475 1,345★J1/2012)
(--札幌 40%  432 1,071★J2/2013)
(--札幌 43%  580 1,341★J2/2014予算)

大宮がぶっちぎり。
71%って、驚異的。オーナーに依存する東南アジアのクラブみたい。
大宮の問題は、入場料収入と客単価の低さなので、そちらが上がらないことには、
いつまでたっても親会社依存になってしまいます。

横浜FMの35%は、ビッグな親会社クラブにしては驚異的な低い値で、
親会社からの支援を極力無くして運営している結果といえる。
しかし、累積赤字解消のため最終的に+10億円の供出があったので、
この10億円を広告料収入に上乗せされるイメージでもよいと思う。
そうすれば依存度高いままですね。

ビッグな企業が少ない甲府のように、小口で多くの広告料収入を得るモデルもありなのだが、
増えすぎるとその分スポンサー様をケアする労力が増すので、一長一短といったところか。
リスク分散という意味で、メリットのほうが多いけれど。

鳥栖は、新潟や仙台なみの広告料収入を得られれば、
3億もの赤字を生まずに済んだと考えられるが、
佐賀県でそれを埋められるだけのパワーがあるかというと、疑問に感じる。
こちらも、小口大量スポンサー路線しかないのだろうか。
それでもここ2年で倍増しているので、ここは検証する必要がありそうだ。
鳥栖にできて、札幌にできなかったのは何故なのか?


★2013年J2営業収益に締める広告料収入の割合順(百万円)   
親会社クラブ割合 広告料 営業収益
大塚 徳島 68%  821 1,211
JEF千葉 65% 1,515 2,330
京セラ京都 64% 1,235 1,930
パナ G大阪61% 1,696 2,786
-- 富山 56%  393  701
-- 栃木 54%  474  876
-- 横浜FC50%  579 1,152
== J2平均49%  533 1,090==
-- 群馬 46%  217  469
-- 岐阜 46%  266  576
-- 東京V43%  534 1,236
-- 岡山 42%  439 1,034
-- 鳥取 41%  268  646
-- 松本 41%  386  939
-- 熊本 41%  278  680
-- 札幌 40%  432 1,071★
-- 愛媛 40%  217  547
-- 北九州40%  272  686
-- 水戸 37%  189  508
-- 福岡 37%  324  871
楽天 神戸 35%  682 1,960
-- 長崎 35%  248  718
-- 山形 25%  258 1,041
===============
(--札幌 31%  399 1,297★J2/2011)
(--札幌 35%  475 1,345★J1/2012)
(--札幌 40%  432 1,071★J2/2013)
(--札幌 43%  580 1,341★J2/2014予算)

徳島もなんだかんだと、大塚資金頼みですね。
成績が振るわないので、親会社からの資金提供を・・・という発想は明らかに誤りで、
その前に、広告料以外の収入をもっと増やさないと、親会社としても出す気にはならないだろう。

神戸は、おそらく横浜FM同様の「なるべく親会社に依存しない経営」を目指したと思うが、
クラブの売り上げ規模からすると、トップチーム運営費と販管費が異様に高いことがネックとなっている。
最終的に親会社からの補てんとなるだろうが、そういった状況にもかかわらず、
その辺の経費を抑えることなく、3億7千万円もの赤字を出した経営には疑問を感じる。
クラブが主催するイベントは参考になるものが多いだけに、それが入場料やMDへハネかえってきてない。
なかなかよい球技場があるので、潜在能力は高そうなのだが。
関西圏は「サッカー<野球」という図式がひどいので、苦戦しているのかも。

地方クラブが爆発的に売り上げを伸ばすとしたら、ここしかないのだけど、
地元だけで営業していても、地域の経済力に依存してしまうので、
結局のところ、市場を拡大(=東南アジア戦略)で以下に成果を上げるかにかかっているといえる。
岡山、岐阜、北九州のように工業地帯がある地域も潜在能力ありそうですし、
こと東南アジア戦略の面では、地理的にも近いから九州って有利です。

さて、札幌。
ここを10億円超えを果たすには、外から札幌の価値を高める作戦がよい。
北海道内でどんなにコンサドーレの素晴らしさを説いたところで、成績や報道に左右されるので、
むしろ東南アジアで「サッポロ」を徹底的に売り込んで、
「東南アジア各国で最も知られるJクラブは札幌」という地位を確立し、
観光、商業で北海道経済を活性化した結果、コンサドーレの価値向上につながるサイクルを描いている。

一言でいうと道民は「○○で有名」というのに弱いので、
たとえば「ベトナム人は誰もが札幌を知っていて、札幌に憧れている」と流布されるにはどうすればよいか?

J1のビッグな親会社クラブにできなくて、J2札幌にしかでいないことをやる。
それが何なのか。答えはもうすでに出ている。
あとはそれを受け入れる勇気があるのか、それを徹底し続ける忍耐があるのかが試される。


この記事に対するコメント一覧

フラッ太

Re:札幌の広告収入依存度は低い?(2013年J1/J2広告料収入比率ランキング)

2014-12-17 11:10

>ビッグな企業が少ない甲府のように、小口で多くの広告料収入を得るモデルもありなのだが、 >増えすぎるとその分スポンサー様をケアする労力が増すので、一長一短といったところか。 >リスク分散という意味で、メリットのほうが多いけれど。     広告費の依存度は低ければ低いほど良いと思っていましたが、あんまり低いのも問題なんですね。それでも親亀コケたら皆コケたになるよりはマシだとは思ってますが…。コンサの広告収入依存度は40%ですが、もうちょい低くてもいいのかなという気はします。むしろ肝心なのは広告主が誰か。海外マネーを引っ張れれば軍資金が増えやすくなるので。その点、大宮はJ2降格でけっこう重大な岐路に立たされていると思います。docomoは本業で独り負け状態なので資金のボリュームを絞られたら万年J2暮らしなんてことも…。   >むしろ東南アジアで「サッポロ」を徹底的に売り込んで、 >「東南アジア各国で最も知られるJクラブは札幌」という地位を確立    拙ブログでも少し書きましたが、コンサドーレを売るよりはサッポロを売る方が近道でしょう。その意味で札幌は親会社のあるJ1に比べれば小回りや機動力という意味で有利な点は多い。もっとも、潜在能力は地理的に近い九州、 とりわけ今年躍進して近く専用スタジアムができる北九州が怖いかな、と。福岡は七社会がすったもんだした挙げ句、会社組織がボロボロで地元選手に敬遠されているし 北九州は下部リーグから着々と上がってきたので福岡よりはイメージが良さそうなので。   >あとはそれを受け入れる勇気があるのか、それを徹底し続ける忍耐があるのかが試される。    scaさんのように「J2だっていいじゃない!」と割り切れればいいんですが、やっぱりJ1でのコンサを観たいってのはある。エレベーター上等!でいいんですけど、あんまり沈みすぎてもそれはそれで困る。成績ではJ1のボーダーライン上をキープしつつも経営面で独自色を出せれば…なんてうまい話はそうそう転がっちゃいないとは思いますが、その土壌はあるように思うし作れると思いますね。

sca

Re:札幌の広告収入依存度は低い?(2013年J1/J2広告料収入比率ランキング)

2014-12-18 08:39

コメントありがとうございます。 >それでも親亀コケたら皆コケたになるよりはマシ これが1番ハイリスクなパターンですね。 いまは不況を乗り越えてきた企業が親会社やってるケースが多いので、比較的現実路線で湯水の如く補填することは減りました。 それでもいつ危なくなるか分かんないですからねえ。 リスク分散するに越したことはありません。 >大宮はJ2降格でけっこう重大な岐路に たぶん一年で戻らないとチーム人件費は落とされるんじゃないかと。 G大阪や神戸のようにJ2降格を活かして出番の少なかった若手を使って成長を促してほしいです。 力のある大卒選手が多いので。 >その意味で札幌は親会社のあるJ1に比べれば小回りや機動力という意味で有利な点は多い。 残念ながら機動力は親会社クラブの方が上ですね。 社内外のネットワークの規模、人材の数がケタ違いなので。 日産、パナ、日立は縦横無尽に動いてますし。 唯一上回るのがトップの選手を獲得して出場機会を得る可能性が高いこと(J2なら)。 1番インパクトあるところなんで続けてほしいです。 >とりわけ今年躍進して近く専用スタジアムができる北九州が怖いかな、と。 スタジアム完成を境に福岡を超えると思います。 官民ともに東南アジア進出が活発ですから。 有名どころだと北九州の水道局とか。 >やっぱりJ1でのコンサを観たいってのはある。エレベーター上等!でいいんですけど、あんまり沈みすぎてもそれはそれで困る。 J1見たいですし見たいと思う人が増えるでしょう。 エレベーターの雄として成り上がりますか。 個人的には毎年J2で3位になって賞金500万+PO興行したいです。 でも今年みたいな北九州旋風があると興行ないから、 より興行開催する可能性が高まる4位のほうがよいのかな。

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