移籍に伴うトレーニング補償と連帯貢献その3

2013年02月06日

・Solidarity Contribution(直訳すると、連帯貢献)
選手が海外移籍をすると、12歳のシーズンから23歳のシーズンまでに所属した
全てのクラブに対し、連帯貢献(金)を配分しなければならない。

■補償が発生する条件
・選手が別の協会に所属する別のクラブへ移籍する場合(すなわち国際移籍)
  (i.e. international transfers).
・連帯貢献金は、新しいクラブによって選手の古巣へ支払われている限り、プロのキャリア全体を通して支払われます。
 (引退するまで?)

■計算方法
A)12歳のシーズンから23歳のシーズンまでのトレーニング年数(最大12シーズン)
 (where this player played between the ages of 12 and 23. )
B)移籍補償(いわゆる移籍金、違約金)の5%を、按分
 (distribute 5% of this transfer compensation)
C)12歳~15歳までの4シーズンは、按分総額のうち1年当たり5%(=違約金の0.25%)
 (from the season of his 12th until the season of his 15th birthday, ... i.e. 0.25% of the total compensation.)
D)16~21歳までのシーズンは、按分総額のうち1年当たり10%(=違約金の0.5%)
 (As from the 16th birthday of the player, ... i.e. 0.5% of the total compensation.)

例2)
1つのクラブでジュニアユース→ユース→トップに昇格し、
22歳のシーズンに最初の海外へ完全移籍し、
24歳のシーズンに2回目の海外移籍をした場合。
2回目の海外移籍の移籍金が100万EURとする。

ジュニアユース~ユースでの1年(12歳から始まり15歳のシーズンまで):4年
ユース2年+プロになって3年(16歳から始まり21歳のシーズンまで):5年
最初の海外チーム(22歳のシーズンから23歳のシーズンまで):2年

移籍金の5%を按分するので、
最初の国内クラブには・・・
[100万EUR×0.25%×4年]+[100万EUR×0.5%×5年]=1万EUR+2.5万EUR
=3.5万EUR

最初の移籍先の海外クラブには・・・
[100万EUR×0.5%×2年]=1万EUR

ということは、30歳くらいまで海外移籍を2~3回繰り返す選手は、
元をたどればその回数分請求し続けられるという解釈。
しかし、海外クラブとの請求交渉の費用を考えると、
1回の請求が5万EURを超えないと、メリットが低いと思われる。

とはいえ、高額な移籍金が発生するケース自体、極めて稀なので、
・Training Compensation(直訳すると、トレーニング補償)を優先した方が得策。
・Solidarity Contribution(直訳すると、連帯貢献)は、更なる成長を遂げた副産物的位置づけ。

つまり、12歳から21歳まで自前で選手を育てることが、
ビジネスとして成立する市場があるということですね。

複数年契約や、高額年俸、違約金設定ができないコンサの現状を踏まえると、
この期間に所属していなかった大卒選手を獲るとか、
選手発掘のスカウトに力を入れるなどするよりも、
コンサが育成に力を入れている=育成部門に投資する理由が分かります。


この記事に対するコメント一覧

ナオヤ

勉強なります

2013-02-06 03:54

拝見させて頂きました。 今まで曖昧でなんとなく分かっていたつもりのものが理解できました。コンサの今年のスローガン及び目指すべき経営戦略がここなんでしょうね。

sca

Re:移籍に伴うトレーニング補償と連帯貢献その3

2013-02-08 09:16

コメントありがとうございます。 私自身、きちんと理解してなかったので、理解を深めるために書き起こしました。 wikiでももまとめ記事になっていますし、 FIFAルールを正確に書いてる日本語記事が、なかなか見つからず。 自分で調べた方が早かったです。 結果としてクラブの意思が垣間見えた気がします。

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