2014年01月28日
Jリーグが東南アジア各国と提携し、2013年にコンサドーレ札幌がベトナムの英雄レコンビンを獲得し、 Jクラブが提携国にビジネスアプローチを展開するなど、徐々に活発な動きを見せています。 中でも、Jクラブの選手獲得は甲府を始めインドネシアに注目が集まり、 多くのJ所属選手の移籍先としてタイを選ぶなど、 東南アジアの中でも、インドネシアとタイに偏りを見せています。 それはなぜでしょう?
前回記事 Jリーグ初のインドネシア選手イルファン・バフディム獲得 なぜタイへ移籍しインドネシアから獲得するのか?(背景はFIFA公認代理人数?)←★ なぜ甲府はイルファン(インドネシア)を獲得したのか?(インドネシアは大国?) なぜJリーグはインドネシアとようやく提携したのか?(リーグ分裂⇒合併そして) インドネシアのプロサッカーリーグはどのくらい強くて、人気があるの?
その答えの1つに、移籍の仲介役を担うFIFA公認代理人の存在が挙げられます。 フットボール界の移籍制度や商慣習が整備されている目安になると考え、 「FIFA公認代理人(FIFA Football Officials - Agents )」の人数を Jリーグ提携国別でカウントしてみました。
■東アジア 日本:32人 韓国:52人 中国:23人 ■東南アジア(Jリーグ提携国+インドネシア) タイ :14人 シンガポール:8人 カンボジア :3人 ベトナム :1人 ミャンマー :0人 インドネシア:15人(2014/1/26に提携!from JsGoal)
日本と比べると半分以下ですが、東南アジア提携国の中でも、 タイとインドネシアが突出して多いことが分かります。 かつてタイのプロリーグは、観客数が少なく商業的に成り立たない時代が続き、 多くのタイの選手が海外(ベトナムなど)でのプレーを選択していました。 これを受けて、タイ・サッカー協会は、イングランドへ関係者を派遣し、本場プレミアリーグの運営方式を学び、 彼らが帰国後に新リーグの設立に着手。これらが大きな転機となって現在の盛り上がりにつながります。 その後も、イギリスから専門家を招いて改革に着手。 東南アジアの中では、順調に商業的成功を納めています。 (参考記事ベトジョーより(日本語) 注:タイ・プレミアリーグという名称になったのは1996年。リーグが大きく変わったのは2007-2008年です。 そんな背景もあり、タイは、いわゆる「フットボール・ビジネス」が東南アジアの国々の中でも進歩しており、 その結果が「FIFA公認代理人が14人」なのでしょう。 インドネシアの人数がそれを上回る15人である背景を探る必要がありそうです。 それに対して、ベトナムやミャンマーはまだまだ遅れている。 こんな状況なので、日本の商慣習や常識だけで対ベトナムで発生する物事を判断していては、 事実はおろか背景も理解できずに、大事なことを見逃してしまいます。 全てを相手に合わせる必要もないですが、なぜそうなったのか考えるくらいの柔軟さも持ち合わせないと、 東南アジア戦略を継続する意味を理解できないままに終わってしまいます。
Jリーグは、日本市場を頭打ちと言っているが、実際には縮退・漸減する市場と認識しているでしょう。 これはJリーグに限った話ではなく、ほとんどのスポーツ共通の認識です。 プロという観る市場を持つ多くのスポーツで、入場者数が少しずつ減り、競技人口も少しずつ減っている。 日本の人口が今後減っていくのだから、減るペースを抑えることはできても、増やす方向のはきわめて困難。 であるならば、日本の近くにあって「サッカーが人気No.1スポーツ」な国を巻き込んでいく。 日本で評価されて、ある程度売れるものを、他の国でも売る。 これまでの日本経済を振り返ればわかりますが、ごくごく一般的な考え方です。 日本のとあるメーカーの自動車販売台数が、日本国内より海外のほうが多く、 数年前からアジアの販売台数は、日本国内を上回っています。 地域別海外販売台数の推移(単位:千台) そういった動きに、JリーグやJクラブがようやく追いついてきたと認識するのが正しいでしょう。
まとめ Jリーグのクラブにインドネシアが注目されている理由 1)FIFA公認代理人が東南アジアの中では多く、移籍市場の成熟度がやや高めであること ★ ⇒しかし、選手への給与未払いが発生するなど、フットボール・ビジネスとしてはまだまだ未成熟 2)持続的な経済成長が予測され、潜在能力が高く、日本企業からの投資が今後も続くため ⇒投資を行う日本企業と連携が可能。スポンサー企業、パートナー企業の獲得。 3)人気No.1スポーツで日本よりもサッカーに関心のある人が多い ⇒潜在能力の高いフットボール市場が存在する つづく
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