2006年02月05日
「ママはおおきくなったらなにになりたいの?」 当時4歳の息子が真っ直ぐな視線を私に投げかけ私に聞いた。 「・・・ママはね、・・う~ん結婚しゃちゃったし・・そうだよね。 大きくなったら何になりたいのかな?考えてみるね。」 下の子は1歳にも満たなくて、自分の事に時間をかける事もなく 毎日バタバタと繰り返される日常。 対面キッチンのカウンターには、22歳の頃の私が幼馴染とくったくなく子供のような顔で笑ってる写真。 夏になると休みの度に海へ行っていたので真っ黒に日焼けしてビキニを着て日焼けして笑ってる写真。 気が付くとその写真を見入ってた。 1週間だけ、あの頃に戻ってみたいなって真剣に思っていた。 過去の自分に戻れない事は、解ってる。 家族が寝静まって、対面キッチンのカウンターの横にあるダイニングテーブルにレポート用紙とボールペンを置いた。 イスに座り、まだ何も書かれていない横線の引いてあるレポート用紙を眺めた。うまく言葉にまとまらなくて箇条書きに将来の自分を考えてみた。 考えてみてみると、“将来の夢”なんて、学生時代から真面目に考えてみた事なんてなかった。 *化粧品会社復帰 *定食屋さん *自信を持つ事 この3つ目を書き終わったとき、なんだかとても悲しくなった。 子供も生まれて家族がいてこの上なく幸せなはずなのにいつのまにか“あの写真”のように笑っていない自分に気がついた。 百貨店で化粧品会社に10年勤めていた。人と関わり人前で話す事だって出来たのに、もう何年も家族や親しい知人や公園で知り合う限られた人との会話だけになってる。 いつの間にか一人で何かを始める事も、一人で行動する事さえ出来なくなってる。 いずれ子供達は、手から離れていく。今は何も始められなくても時期がきたら始められる準備をしなきゃ・・って思った。 写真を眺めて思う。体重を元に戻せないかな・・って。 女の浅はかさというか、私の浅はかさだけど、やってみようって。 これなら今の私に出来るんじゃないかなって。 自信の種類はたくさんある。 いつの間にか体重は“あの頃”より10㌔以上増えていた。 グラフを作って体脂肪計も買ってきた。 私だけ連日の「お鍋生活」が始まった。主人の帰りをまっていた一緒に食べる遅い夕食を諦めて夕方6時に子供達と早めの夕食に切り替えた。 どんどん体重が落ちて、デニムが大きくなってくる。買い換えてもまた大きくなってくる。 公園では、子供を見てるだけだったけれど、一緒に走り回って遊ぶようにしてみた。 そんな事で毎日が楽しくなってきた。 手入れの簡単だったショートの髪もいつの間にかセミロングになった頃、体重はすっかり戻った。 なんでも出来るような・・そんな気になった・・。 定食屋さんになりたいなら、いろんな料理をもっと作ってみようと思った。 パンを焼いたり、うどんを打ったり、土鍋でご飯を炊いて炊き立てを家族に食べさせた。毎日の生活に張りが出て楽しくなっていた。 ワールドカップの事務局で働いていた主人の仕事が2002年の暮れを持って終わった。 1月から主人は札幌のコンサドーレに行きたいと言った。 いよいよ、ここから離れる時が来たんだなと頭ではわかっていながら住み慣れた家を離れる事が不安になった。 そんな時、以前勤めていた会社の上司が新しく立ち上げた化粧品会社に再就職の話を持ってきてくれた。 箇条書きの*一つ。この機会を逃したら化粧品会社勤務は更に厳しくなってしまう・・。 主人と相談した。「単身赴任で札幌に行くから、やってみたいなら頑張ってみれば?」と言ってくれたので残る事にしようかと思った。 1月の主人の誕生日に札幌に向かった主人を見送った時、これでいいのかなと思った。 小さい子供を守りながら主人のサポートなしで仕事を抱える事が私に出来るのか?と思った。 下の子供の保育園を探した。何年も着る事のなかったスーツも買った。 でも、不安で一杯だった。 「選手の栄養管理の一貫で食事を作ってくれる人を探してる。やってみない? 2日間で決めて返事を頂戴。」と主人から電話が来た。 ・・・・・2日間かぁ。・・・・ 料理の勉強か、化粧品会社・・。どちらも私“夢の道”に繋がってる。 2つの道に真剣に迷った。 「行く。」と連絡して保育園を断ってバタバタと引越が始まった。 2週間後には、札幌で新しい生活が始まった。 4歳だった息子は10歳になりました。 この質問の答えをちゃんと答えられるように・・いつも考えてます。 “おおきくなったらなにになりたい?”
プロフィール
寮メシ作りに関わって、今年で6年目になりました。 毎年、シーズンが終わる頃、課題を発見しています。 昨年は、本になったしまふく寮通信と厚別競技場での売店「しま福」 この2つのお陰で、たくさんの方とお会い出来るチャンスが増えました。 たくさんの方と笑いあう事が出来ました。 寮メシを大事にして、周りの人に感謝して、しまふく寮を愛して。 新しい寮生も加わって、また時間が流れていく。 J1という新しいステージを目の当たりにする。 凹んでも笑っても。 しまふく寮は、しまふく寮で。
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