ひぐまスポーツJ村2007版(4)

2007年07月30日

「開き直って」東京を撃破(FC東京戦=29日)
 札幌の2戦目はFC東京。激戦の関東予選を1位で勝ち抜いた強豪である。
 この大会では過去3回対戦し札幌の1勝2敗。2001年には決勝でともに初優勝をかけ激突し、馬場憂太(現FC東京)の2ゴールの前に涙を飲み、翌2002年は準々決勝で鈴木智樹(現札幌)の先制ゴールによるリードをロスタイムに梶山陽平(現FC東京)のミドルシュートで追いつかれたもののPK戦で振り切るなど、大会の歴史に残る名勝負を演じてきている好敵手だ。

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<試合開始直前から雨模様となったFC東京戦。気温も24℃と札幌には恵まれた>

 初戦はガンバに屈した札幌とは対照的に、東京は大宮をわずかシュート3本に抑え2-0で勝ち点3を得ていた。東京としては札幌を葬って勝ち点を6としておき、ガンバとの最終戦は最悪引き分けでも双方次ラウンド進出という状況を作っておきたいところだろう。
 札幌は前日初戦の緊張からか本来の積極性が影を潜め敗戦を喫したものの、この日の試合前に財前恵一コーチに「昨日は選手の様子はいかがでしたか?」とうかがったところ、「落ち込んでいる選手はいませんでした。きょうはやってくれると思います」と答えが返ってきた。通称「谷底」と呼ばれる1番ピッチへと降りていく選手たちの表情も明るい。
 そんな彼らを後押ししたのがこの日の天候だ。13時キックオフで本来ならば太陽が最も高い位置にある酷暑の時間帯に行われる試合だったはずが、第一試合の途中あたりから雲が厚くなり雨粒まで落ちてきた。しかも風向きも前日とは逆の北寄りに変わる。ピッチサイドの応援の父兄の中には長袖姿も見られたくらいのこのコンディションはやはり北国チーム札幌に有利に働いた。
 序盤から札幌の選手の動きは明らかに昨日とは違った。赤黒のユニフォームが運動量豊富に緑の芝の上を駆け、青い東京を押し込む。ボールへの寄せ、奪った後の展開にも冴えがあり、再三に渡り東京ゴールを脅かす。
 そして待望の先取点がもたらされる。33分。右サイドを突破したMF打矢和祈の低く速いクロスにFW横野純貴がニアポスト際に飛び込むと、わずかに角度が変わったボールはFC東京ゴールに吸い込まれていった。横野よりも一瞬早くマークに付いた東京DFの足に当たったかにも見えたが横野は歓喜のガッツポーズ(公式記録は横野の得点)。チームにとっても今大会初ゴールとなった。
 さらに4分後。今度は左サイドDF松本怜大からの浮かせたアーリークロスをエリア内やや右で受けた横野が、東京DF2人にがっちりと付かれながらも、鮮やかなボディ・バランスで倒れることもボールを失うこともなくゴールマウス正面へ進出し、思い切り良く左足を振り抜く。四方田監督も「横野の良さが出た」と振り返ったゴールでリードを広げた札幌が2-0で前半を折り返した。

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<前半。開き直って戦う札幌は球際でも執念を見せた>

 後半になると東京も関東1位らしく勝利への執念を見せ猛攻を仕掛けてくる。FWの選手を続々投入し札幌イレブンに圧力をかけてゴール前に釘付けにし、次々と決定機を作り出す。GK平加涼、DF加藤大己、熊澤覚らが身体を張った必死の防戦を見せるものの、疲れの見えた左サイドを重点的に狙われ、ついに13分(通算53分)に札幌Pエリア内左で途中出場の東京FW米田のターンからクロスをゴール前に運ばれ、FW大竹に追撃のゴールを奪われてしまう。
 その後は東京も攻め疲れたか一進一退の時間が続くが、29分(同69分)、札幌は右サイドに攻め込んだところで横野が倒されフリーキックのチャンスを得る。MF鶴野太貴が蹴ったボールに東京ゴール前ファーサイドで横野が高い打点のヘッドで合わせ、ボールは大きな弧を描いて逆サイドのインゴールネットを揺らした。横野のハットトリックとなる3点目で勇気を得たイレブンはこのリードを守りきる。全員がよく動き、得点には絡めなかったものの途中出場のMF古田、玉岡らもハードワークし、この大会2年ぶりの勝利を得た。
 試合後はこの大会での札幌選手としては2001年の対GENIOS FC戦での新居辰基(3点)以来2人目のハットトリックを記録した横野をはじめ、ベンチ入りメンバーが勢揃いでサポーターの歓喜の歌声に合わせて小躍りする光景も見られた。彼らと、各地から駆けつけたサポーターたちにとって心地よい雨が浜通りの空から降り注いだ。

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<前半33分、FW横野(9)がゴールを決めチームメートの祝福を受けつつ戻る>

グループE・第2回戦(7/29・13:00・Pitch1)
 FC東京U-18 1-3(0-2/1-1)コンサドーレ札幌U-18
  得点者=横野(33分・札幌0-1)、横野(37分・札幌0-2)、大竹(53分・東京1-2)、横野(69分・札幌1-3)
 札幌のメンバー=GK1平加涼(3/cap)、DF3松本怜大(2)、4熊澤覚(2)、5加藤大己(2)、7岩月章太(3)、MF8鶴野太貴、17打矢和祈(2)→FW19玉岡營根(2)、18佐藤明生(2)、20竹内清弥(2)、FW9横野純貴(3)、10大西洋平(3)→MF14古田寛幸(1)


四方田監督のコメント「昨日は受け身になったと言うか、構えて戦ってしまった部分があったので、今日は開き直って積極的に行こうと話して選手たちを送り出した。思い切ってやってくれたと思う。前半のうちに2点が取れたのは大きかった。横野の良いところが出たゴールだったと思う。横野は去年の夏以降、力強さが出てきた。こうした全国レベルの公式戦で結果を出してくれて彼も自信になったと思う。きょうのチームの課題としては、結果論になるが2-0になった後、相手が前がかりになったとき、よく凌いではいたが凌ぐだけになってしまっていた。欲を言えば奪ったボールを相手の守備の薄いところに運び攻撃につなげたかった。ウラが空いていたのでもう少し上手く突けていればなと。道内の高校相手のプリンスリーグが終わったばかりで全国のJの(ユース)チームとの大会となり、レベルも戦い方も違ってくる。切り替えが難しい。この時点で今年の我がチームの熟成度を測ることはできないが、少なくともピークではないと思う。今大会を終えてから高校相手、Jユース相手と、それぞれの戦いをしっかりと分析をして、高円宮杯へとつなげていきたい。次の大宮も侮れない相手であり、勝っても他力次第(他の試合、他のグループの結果次第)だが、何とか決勝トーナメントへ進出したい」



post by higuma

16:35

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