2006年10月22日
札幌、浦和に大勝で全日程終了-サテライトリーグ 【熊谷】Jサテライトリーグは22日、Aグループの15日目が行なわれ、コンサドーレ札幌は埼玉県熊谷市の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で浦和レッズと対戦し、5-1(前半2-1、後半3-0)で勝利を収めた。 札幌はこれで今期のサテライトリーグ全8戦の日程を終了。通算成績は3勝3分2敗となった。 札幌の出場選手=GK佐藤(→高原)、DF=池内、曽田、和波、MF=セバスチャン(→西)、上里(→鈴木)、岡田、藤田(→石井)、川崎、FW=清野(→千葉)、中山 得点=19分札幌0-1(清野)、38分札幌0-2(中山)、39分浦和1-2(宮川)、46分札幌1-3(曽田)、54分札幌1-4(中山)、84分札幌1-5(和波) -ミス多いものの大勝で有終- J1リーグでは首位を快走する浦和が相手だが、きょうのメンバーを相手に負けるわけにはいかなかった。 先発11名の平均年齢は全員がプロ選手で臨んだ札幌の23.27歳に対して、ユース選手が4人もいる浦和はなんと18.55歳。今期リーグ戦への出場試合数を比較してみると、J1とJ2の違いこそあれ札幌は11人合計で140試合出場で浦和はわずかに細貝が1試合に出場したに過ぎない。 つまり札幌としては勝つのは当たり前の試合で、より充実した内容が望まれるところだった。 しかし若干グラウンドが荒れていたことや、サテライト戦慣例の当日早朝の札幌からの移動という要素を加味しても雑なプレーが多すぎたように見受けられる。 それでもフィジカルを中心とした力の差が時間の経過とともに現れ、時折り勿体無いミスから冷やりとするシーンも作られたものの、最後は地力の差とプロのメンツで寄り切った。 先制点は前半19分、中央で相手ボールをカットしたMF上里が正面やや右のFW清野へ送って右足でゲット。38分には負傷前の切れ味を取り戻しつつある上里独特のぐいと落ちるシュートが浦和GK大谷を襲い、前へはじいてしまったところに詰めてきたFW中山が反転しながら押し込んで2-0とする。 直後に守備のパスミスから浦和FW宮川に1点を返されるが、後半立ち上がり45秒にMFセバスチャンからの右CKをゴール正面でDF曽田が頭で決めて3点目。その後は徐々にフィジカルの差が出はじめたこともありほぼ試合を支配。9分には右サイドMF岡田からの長いクロスをゴール前で受けた中山がDF2人をかわしてゲットしこの日2点目。39分には途中出場のMF西が中山とのコンビネーションで受けたボールを左サイドに進出していたDF和波に素早く送り、ダメ押し点を演出。5-1のスコアで大勝となった。 スコア的には大勝だが、前述の細かいミスや雑なプレーの多発、フリーのシュートを外したり枠に当ててしまったり、ゴール前で勝負を避けたりといった少々残念な面があったことは否めない。 が、「上(J2リーグ戦)で使ってもらえるようになるために何をどうしなければいけないかを知り、積極的に挑戦していくという意味でサテライトの参戦の意義は果たしていると思う。来期のことはまだ具体的に動いていないし、予算の面でも厳しいが、チーム力の底上げのためにできる限り今後もサテライトへは参戦を続けていきたい」(城福強化部長)と、クラブとしては前向きに捉えている。 前夜、10周年感謝ディというメモリアルな舞台で来期のJ1昇格を絶たれてしまったコンサドーレ札幌。既に2007年のJ2に向けた戦いは始まったと言える。 -サテでも大観衆- この日は14:00からのサテライト戦の前座試合として11:00から女子のなでしこリーグも開催され、入場はすべて有料の試合となったが、さすがに日本一の動員力を誇る浦和である。ホームさいたま市から離れた熊谷開催といえども多くのサポーターが足を運び、2,338人というちょっとしたJ2公式戦並みの数字を記録した(なでしこ戦は1,254人)。 若手ばかりのメンバーであってもホーム戦での大敗は見過ごすことはできないとばかりに、試合後は挨拶に並んだ選手たちに厳しいブーイングも飛んでいた。このメンタリティが良いか悪いかは別として、いかにも浦和らしいと言える光景ではあった。 -サテライト戦の指揮を執った財前コーチ- 「きょうは攻撃は動き出しを早くして、いい状態だったら前へボールを運ぼうという指示を出した。選手も意識して前半からできていたのではないかと思う。守備では特に前半、ズルズル引きすぎるところがあった分、後半はそれを修正して、できるだけ前からボールに行けるようにしようと指示した。その部分は後半はできるようになったのではないかと思う」 -2アシストを記録した上里- 「2点目(シュートをGKがはじいてこぼれ球を中山が決めた)もアシストですか?トップ下よりもボールにたくさん触れるのでボランチの方がやりやすいです」 -途中出場の石井、シュートは1本- 「もっとシュートを打てた(記録は1本)と思う。昨夜の試合(敗戦で昇格消滅)の悔しさを皆が持って試合に臨んでいたのでこういう結果(大勝)になったと思う」 -札幌出身ストライカー・北本綾子が道産娘サッカー少女にエール- サテライト戦の前には同競技場で女子のなでしこリーグ・プレーオフ上位リーグの「浦和レッズ・レディース-TASAKIペルーレFC」戦が開催された。首位日テレ・ベレーザを追うリーグ2位の浦和と3位のペルーレは、ともにプレーオフ3試合の結果で優勝を狙える位置にいるだけに熱のこもった試合を繰り広げた。 試合は前半を無得点で終えた後半5分に、司令塔安藤梢からのパスを受けたFW北本綾子(札幌市出身・文教大明清高校卒)がGKとの1対1を決めて浦和が先制。この得点を持ち前の堅守で守りきり、詰めかけた1,200人余りのサポーターに勝利を捧げるとともに、2年ぶりのリーグ制覇に向けて貴重な勝ち点3を手にした。 高校卒業後、東京女子体育大学に進み現在は浦和に籍を置く北本は元なでしこジャパン(日本女子代表)。現在はメンバーから外れてはいるが、まだ23歳と若く、日本女子としては恵まれた体格とスピードを武器に、浦和のポイントゲッターとして活躍し、代表復帰も期待されている。 北本はここまでの自身の歩みを「サッカーが好きというだけで仕事をやりながらでも続けることができた。その陰には親など昔から支えてくれている人たちがいるので感謝している」と振り返り、後に続く北海道のサッカー少女たちには「辛いことがあっても『サッカーが好き』という気持ちを持ち続けて頑張ってほしい」と、笑顔でエールを送った。 ※プロフィールに誤りがありましたので訂正しました。申し訳ございませんでした。