2005年12月25日
【後半30分、コンサドーレはこの時間帯でもう1枚カードを切ってくるでしょうか。】
【当然、監督は考えている思いますよ。】
【攻撃的選手であれば、西が残っていますが、どの場面で使うでしょうか。】
どうやら、ラジオが復活したらしい。
「そういえば西は山形戦で相川にすごいスルーパスを出したな。」
唯志は西の入団したての初々しい笑顔を思い出した。
「白恋でも1時間位立ち往生してサインしていたけれど嫌な顔一つせずに気軽に応じてくれたっけ。」
【 後半35分いよいよ西が入ります。】
思えば今年の唯志はサッカー観戦に忙しかった。観光がてらアウェイで初めて神戸にも行ったし、コンサドーレの選手が出るので初めて海外にも行った。
練習も週に1回くらい、工場の休みの日に通った。
「監督のジャージ姿も違和感がないよな。今年、監督が育てた選手がかなり残っていたから、やりやすかったとは思うけど。」
【 いよいよロスタイムを迎えます。ここ札幌ドーム。コンサドーレが優勝するためにはとにかく点を取らなければいけません。】
【柳下監督がコンサドーレに復帰して1年目でよくここまでチームをまとめましたよね。昨年は4位で、今年初めての優勝に王手をかけているわけですが、それにしてもやっぱり、上里と藤田の日本代表コンビの活躍が大きかったですね。相川もおそらく、次に招集される代表には呼ばれるんではないですか。】
【いよいよロスタイム、ロスタイムは3分と出ました。】
【 さあ加賀が上がってきたぞ、コンサドーレ怒濤の攻撃だ。藤田から上里のホットライン。そして石井のポストプレーから西だ。西のシュート。入ったか?いやサイドネットだ。残念。】
【藤田と上里はワールドカップでもこのコンビで3点とっていますからね。このコンビでなんとかしてもらいたいですね。】
【またコンサドーレの怒濤の攻撃だ。こんどは左サイドからのセンタリングだ。これに対応したのが相川。ボールを奪われた。しかしもう一度今度は西が取り返した。そして上里へのパスそして石井とのワンツー。上里のシュート。キーパーはじいた。そして相川が……。入った。ゴールだ。コンサドーレロスタイムでのゴールだ。】
【 このサポーターの歓声をお聞きください。ついにコンサドーレが逆転しました。】
唯志は、この瞬間躍り上がった。
「もうないよな。時間もうないよな。」
【柏のキックオフ。同時に終了のホイッスルが鳴りました。コンサドーレ優勝です。悲願のJ1優勝です。】
唯志は過去の優勝のシーンを思い出しながら、遠い目で選手達の動きを追っていた。
「今、その時のメンバーは誰もいないよな。あれは5年前のJ1初優勝の時だっだっけ。藤田も上里もワールドカップ南アフリカ大会に出てから成長したからな。その後すぐ相川も代表に選ばれたし。でも藤田は今やスペイン。上里はセリエAか。林はオランダだったけ。藤田と同期だから林は今28歳か。ゴールキーパーだし、まだまだ活躍できるな。またコンサに帰ってきてほしいよな。」
「今、3連覇しているけど、あの年の優勝があったからだよな。
しかし、これからもコンサはいろんなことがあるだろうな。これからもずっと見守らないといけないな。」
唯志はまた遥か遠くの空を見つめた。
2005年12月24日
【 さあ後半戦が始まりました。両チームとも選手交代は…せん。】
【 平川さん。今日の上里はあまり決定的な……していないと思うんですが。】
【 今年……代表に選ばれましたけどね。代表ではなかなかいい調子でしたが。】
【 さて、藤田がサイドをドリブルしてセンタリングを……。そしていったんクリアされたが、鈴木が拾って上里にパス、上里の左足。入ったぁ…】
「よし。」唯志は両手をあげた。おかげでマフラーに手をおもいっきりぶつけた。
「いってぇ。次、もう1点とれるぞ。」
【平川さん。今年のコンサドーレは…に頼らないということで、監督がやってきましたが、やはり、自ら育て上げた選手がこのように活躍するのは嬉しいでしょうね。】
【彼らは基礎から監督に育てられましたからね。そんな……が今や…になったり、指導者冥利につきますね。】
【さあ後半20分になりました。レイソルは選手交代です。コンサドーレも選手…です。】
【相川が登場しました。現在、日本人得点王ですが、ここ3試合はかかとを痛めて試合に出ていませんでした。】
【今度は柏の攻撃だ。…がドリブルで抜いていく。そしてシュート。おお、林が横っ飛びでクリアした。】
「ナイス。いつもの林だな。」
コンサの守護神は今年は、安心して見ていられる。
【コンサドーレの鈴木がカットした。相川にあずけた。相川のポストプレー、こんどは上里が右の藤田にパス。こんどは藤田がドリブルでペナルティエリアに入っていく。かわした。そのままシュート。キーパーがこぼした。そして……シュート。バーの上だ。】
「わぁー。さすが藤田だけどおしい。」
唯志は今年、白恋の練習で藤田の写真をとりのがしたことを思いだした。
2005年12月23日
唯志はもどかしさでじりじりしていた。
【 …のパスを…がスルーして決まってしまった。】
「えっ。」
【 前半40分レイソル1点をリードしました。】
「なんだよ。この段階でリードされると、かなりきついな。」
唯志はヴィッツの下から出てくると軽く伸びをした。
思えばコンサドーレの今年はすばらしい年だった。集大成の年だった。
それもこれもこの試合に勝たなければ意味がない。
本当に行って応援したかったのに。
【 前半を終わりまして、0-1でコンサドーレがレイソルに1点ビハインドです。】
「おい唯志、次、ヒーターコア交換が待ってるぞ。」父親の声で我にかえった。
「ちょっと、少し休憩させてくれよ。」唯志は、熱い紅茶を飲むために、工場の上にある自室に入った。
ここには大好きなコンサの歴史がほんの少しだけあるのだ。唯志が唯一落ち着ける空間なのだ。
初めてエメルソンを見た時の鳥栖スタジアムのチケット、ビジュとの肩を組んだ写真。 札幌ドームの開幕戦でたたきすぎて壊れたメガホン、偶然撮れた天皇杯の相川のvゴール、試合日程を手書きで書き込んだ自分だけのオフシャルガイドブック、新聞や雑誌を切り抜いたスクラップブック、試合を録画したビデオテープやDVD、そして洗濯をしすぎてぼろぼろになったマフラー。雨の試合でシミがついてしまった赤と黒の帽子。これらは唯志だけの大切なものだ。コンサの思いでが詰まっている。
「そういえば、今日、試合に出ている藤田との写真もあったっけ。ちょっと色あせてるな」「さて、後半だ。」
唯志はまた工場にもどり、今度はティーダの下にもぐった。
2005年12月22日
ようやくラジオ受信状態がよくなった。
【どうですか平川さん。コンサドーレの序盤の戦いは。】
【試合前の選手の表情を見ると、ちょっと緊張していましたね。】
「唯志、次は入り口の近くのやつ、マフラーの取り替えだ。」 「なんだよ、またラジオを動かさなきゃだめだ。」
唯志はふてくされて、またラジオの位置を変えたが、変えた途端
また状態が悪くなってしまった。
【今日の…のちょう…はど…】 唯志は頭に来てラジオを思いっきり揺らした。 そうしたら少し
は聞こえがよくなった。
【コンサドーレのチャンス、コーナーキックだ。蹴るのは…。】 【ショートコーナーだ。石井のヘッド。惜しくも…はずれた。】 【今度は石井、一人で持ち込んだぞシュート。またはずれた。】
いまはコンサの時間帯らしい。 ここで点をいれなければ、相手に点を入れられることが多いの
がサッカーだ。
しかし、今年のコンサド-レはチャンスを逃さず、確実に点を
入れていた。
パスミスもあまりなくなり、そのためか体力の消耗も少なくな
って、伝統のロスタイムでの失点もほとんどなくなった。
今年の観戦は結構楽しかった。なにより勝ち試合を多く見れた
からだ。
ホームは15試合行くことができた。そのおかげで仕事が後回
しになり徹夜も何度もしたが。勝った試合は徹夜も苦にならなか
った。
【さて、時間は前半20分を過ぎました。ここまでの…方はどうで
すか】
「改めてアナウンサーが聞くってことは膠着状態なのか。」
【…は相変わらず…パスを出していますがなかなか前線でキープできませんね。】
【 コンサドーレは本来は…がためをつくるはずですが、ちょっと今日は…柏のプレスは…ね。】
「今日はあんまり調子がよくないということか。」 唯志はため息を一つついた。
2005年12月21日
「今日はいい天気だなあ。」唯志は雲の向こうの空を見上げた。ポカポカ陽気でボールを蹴る音や、仲間を呼ぶ声がBGMとなって眠気を誘われる至福の時だった。……
「おい、唯志、今日は12台だぞ」
父の声が冷たいコンクリートに響きわたる。
「行きたいんだけどな。」あきらめきれずに唯志がつぶやいた。
「今日は無理だって。」
「しゃあないな。ラジオをつけるよ。」
唯志は20年前に父親が買ってくれたラジオを作業台に置き、スイッチを押した。
「やっぱりあんまし聞こえないな。」
受信状態が悪い上、ラジオが旧式のため、聞こえる言葉はたどたどしい。
【ここ…は、…な一戦を迎え、サポーターの応援で盛り上がっております。…対…結果が求められる重要な戦いです。解説の…さん。今日の…の状況は…ですか。】
「おい、ラジオを聞いても良いけど手を動かせよ。」父の声が嫌みに聞こえる。
「わかってるよ。」
仕事で行けないことはわかっているけど、今日の一戦だけは行きたかった。
10年間のサポーター歴の唯志は、これまでいろいろな試合を観てきた。
vゴール勝ち、逆転勝ち、大差での負け。ロスタイムでの失点。胃の痛くなるような接戦。
喜び、涙、怒り、大声。このチームの歴史は、そのまま唯志のサポーターとしての歴史だ。
チームには10年分の思いがある。降格の時は涙したし、昇格の時は思いっきり祝杯をあげて、居酒屋で見知らぬ人と抱き合った。
下げたくない頭を下げて父に頼み込んでサポートシップ・スポンサーにもなってもらった。もう自分のチームだ。
それだけにこの試合は本当は10年分の思いを乗せて応援しなければならなかったのに。
【いよいよ…オフです。…さあロングボールだ。いきなり…キックです】
ねじを持つ手が動かない。
【ク…した。そのまま…だ。】
いったいどっちだよコンサは。唯志はラジオのアンテナを延び縮みさせ、方向をいろいろと変えてみた。
2005年12月11日
今期の試合、コンサドーレの選手にキープ力があったらと何度か思っただろう。インターセプトをしてもすぐまた取られる。1点差で勝っていて、何度キープ力がある選手がいればもっと楽な展開になっただろうと思ったか。
昔で言えばよけいなキープ力のマラドーナ。超人的なバルデス、そして吸い付くとなかなか離れないすっぽんのようなウィル。
やっぱり、ウィルのキープ力は秀逸だった。
来年のコンサは誰に期待か。新外国人FWか去就が注目される西谷か。
しかし、やっぱり私は上里に期待したい。
彼の体力はまだまだ向上する。
彼の特徴は体の柔軟さである。あの独特の間合いはだれもまねができない。
このまま、伸びていってもらいたい。本当に楽しみである。
2005年12月08日
甲府と柏の入れ替え戦が話題になっている。
マスコミはJ2降格を一種のドラマの悲劇のような扱い方にしている。また、J2に降格した選手の涙を大きく取り上げていた。J2降格が奈落の底に突き落とされたようにだ。
まあ、これは毎年のことだが。
私は降格を2回経験したコンサのサポとして、免疫ができているのかどう
か、これを何か冷めた目で見てしまう。
まあサポの目から見ればJ2だってやって見れば結構楽しい。これは負け惜しみ?ではない。
厚別だってドームだってよけいな混雑はないし。うるさい相手サポーターの声援も小さいし。
なにしろ、J1より勝つ確率の方が高いし。(今年はね。)
やっぱり負け惜しみか?
チームがある限り、長い目で見ればいろんなことがこれからあるだろう。
まあJリーグ100年構想って言うし、岡田元監督もそんな格言を言っていたし、これからもコンサはいろんなことがあるだろう。
コンサだって10年後はJ1の常勝チームとして優勝争いをしているチームになっているかもしれないし。
来年、チームはJ1に真剣に挑戦するつもりだ。当然私はそれを応援する。
でも長い目で見たいなと思う。時々短気になるだろうが。
2005年12月05日
最近どうも来期への運を感じる。
それは第1に清野。
清野は第4クールだけで9点もとっている。
最終戦の同点弾は余裕さえ感じられる得点だった。
これが第1クールからコンスタントに得点を取っていたら、もちろんコンサの順位も上がりJ1昇格の可能性も高かっただろうが、J2にとどまった場合には清野の移籍話があっただろう。もちろん、今もその可能性はあるだろうが、10点という総得点から見るとその可能性は非常に低いように思われる。今のままの調子で来年も戦ってくれれば、ゴールが量産され、得点力不足の解消でJ1への道が開ける。
第2にデルリス
残留するかどうかわからないが、最終戦のパフォーマンスを見ると相当できる選手である。来年連携を深めた場合は相当活躍すると私は思う。
出来るならば完全移籍させたい。今年中途半端に活躍していたら、どこかに移籍している可能性がより高かっただろう。来年爆発してくれることを信じている私にとってはかえってよかったと思っている。
第3に西谷
上里の怪我が彼を呼び寄せた。来年のコンサになくてはならない戦力である。もちろん上里の怪我は残念だったが、西谷が来てくれたことはよかった。
来年のことはもちろんどうなるかわからないが、来年に向けコンサに運を感じるのは私だけだろうか。
2005年12月05日
西谷は良い意味でも悪い意味でも試合を左右する選手だ。
他の選手が、ちまちまパスを回していたら、「なにやっているんだおらぁ」とばかり、一撃でFWを走らせるパスを配給する。
見ていると小気味良いが、失敗すると独りよがりのプレーとしか見えない。
一撃必中のパスは、コンサの必殺技である。
来年も「いけおらぁ」パスを何度も見てみたいものである。
そのために清野やデルリス、相川との連携を深めてもらいたい。
2005年12月03日
最終戦2-1となんとか勝ってまあ、ブーイングせずにすんだけど、
2点目をとってから3点目がとれないじれったさ。相変わらずだった。
極め付きは特に1対1の決定力のなさ。
プロが決められないので難しいのだとは思うけど、練習をもっとやるべし。 どうしていつもキーパーの正面に蹴るのか。切り返しができないのか。
昔バルデスの切り返しを嫌というほど見たので、歯がゆいったらありゃあしない。
また、ちょっと心配なことは西谷が結構からまわりしていたことだ。
来年も残ったとして連携がうまくいくかどうか。
後、ボランチ。智樹がボールを持つと、どうも簡単にとられそうでドキドキした。
まあ、それでも最後のホームで勝ったから今日はまず良しとするか。
2005年12月01日
昨日、今日と戦力外の選手の件でサポータはざわついている。
もちろん私も、誰が戦力外通知をされたのか非常に興味がある。
今朝の情報が待ち遠しかった。
噂が先行しているので、「早くオフィシャルで発表しろ。」という人がたくさんいる。個人的な願望では私もそう思う。
でも選手の立場から考えるとどうなのかな?
「しばらく秘密にしておいてくれ。」とか「そっとしておいてくれ。」とか「ほっておいてくれ。」とか思っている選手も多いのではないのかな。
周りから同情されることが嫌いな選手もいるだろう。
一方サポーターの立場から考えれば戦力外になった選手のことを早く知りたい、特に入れ込んで応援している選手が戦力外になった場合には今まで以上に応援したい気持ちもあるだろう。
なかなか難しい問題だな。戦力外の選手にはなるべく過剰にならず、暖かく接するしかないのかな。
プロフィール
名前:孔明(まさあき) リンクはフリーです。 「あ」とか「ああ」、「あああ」 とかいうHNには基本的には削除するかコメントを返しません。 「通りすがり」も同じです。 また、ふざけたHNやコメントは削除します。 コメントはコテハンでお願いします。 そして誹謗中傷のコメントは有無を言わずに削除します。 コンサとの出会いは1996年6月2日の日本電装戦。 それまでコンサの試合はテレビでは見ていたものの、妻とスタジアムに見に行ってすっかり生のサッカー観戦にはまってしまった。 それ以来、アウェーにも何度か出かけ、妻と共々コンサを応援し続ける。 これまでのコンサの思い出は、 1996年9月12日の本田技研戦、ペレイラの負傷退場後の厚別にこだました救急車の音、 1997年5月25日川崎F戦、バルデス3連発の間で厚別のS席で自発的に出たすさまじい声援 1998年12月5日福岡戦、3点目をとられた時の室蘭の静寂 2000年3月12日、エメ3連発で鳥栖のサポータに「幼稚園児の中に大人がいるのは反則だ」と言わしめた鳥栖スタジアムでの開幕戦 2000年7月29日浦和戦、殴り込んでやろうか思ったお行儀の悪い狼藉ファンをだまらせた両サイドの得点 2001年9月15日清水戦、堀井の移籍後初試合でのVゴールに歓喜する劇場(ドーム) 2007年最終戦試合終了後ドームの電光掲示板に写ったCHAMPIONの文字 2011年最終戦で決めた内村の2ゴールで昇格を確信したこと。 など数えきらず。もうコンサなしではいられない。
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